“弟”がゆるりと濃紺のリボンをほどく
かたちのよい指先がやわらかな栗色の髪を撫でる。
「ふわふわ」
「……あまり触るな」
兄の視線は勉強机に広げられた教本に向けられている。そうと覗き込めば、むずかしい数式が並んでいた。
「これ、ぜんぶ、わかるの」
「嗚呼、」
「すごいね」
“弟”がゆるりと濃紺のリボンをほどく。 「君は、……本当に」
2022/7/12
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