彼の洋燈のあかりが必要だ。一歩先を照らす強い光

夢を見た。

寄宿舎の床一面に赤い花びらが散らばっている。先生が育てていた薔薇の花だ。その赤はどこまでも続いている。だけど、誰の声も聞こえない。

「カノープス」

声が出た。まだ喉は潰れていないようだ。「何処だ」

彼の洋燈のあかりが必要だ。一歩先を照らす強い光が。

「答えてくれ。君は、何処に」


2022/7/11

星満つるギムナジウム

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