深い夜の底は、花たちの領域だ。星は指ひとつふれることができない

深い夜の底は、花たちの領域だ。星は指ひとつふれることができない。

「先生は、夜をみたことある?」

少年の指先が夕暮れに染まる。地下室の柩から抜け出してきたのだろう。彼は、やけに夜に執着する個体だった。

「空がまっくらで、太陽が金色に光ってて、それから」

「身体に障ります。もう休みなさい」


2022/6/27

星満つるギムナジウム

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