救済機関の救いの手は、荒れ果てた界隈で生きる僕たちのところへは届かない
幼いころにかかった病で僕は右目をうしなった。闇の中で、片方だけが月に似た黄金色の光を帯びる。兄さんのうつくしい淡紫の双眸がうらやましかった。
「ほら、……今日の夕食だ」
乾いたパンをわけあって食べた。救済機関の救いの手は、荒れ果てた界隈で生きる僕たちのところへは届かない。
2022/4/17
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