鏡の中で、袖口をとめていたはずの真珠釦が揺れた
ぼんやりとした灯りが少年の輪郭を照らし出す。
鏡の中で、袖口をとめていたはずの真珠釦が揺れた。制服のまま眠っていたのだろうか。毎晩つけている日記には、日付すら書き込まれていなかった。昨晩、友の部屋を訪れたあとの記憶がない。
(……僕は、いったい何を)
淡いすみれの残影が脳裏を過った。
2022/3/24
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