おとなになんて、なりたくない
結晶花のかけらが風に舞う。オパールの指先が真紅の破片をとらえた。
「……こんなところにいたのですか」
鉱玉師の手が標本の肩に触れた。いびつなぬくもりがまざりあう。
「もうすぐ卒業の儀です。学舎へ帰りましょう」
「僕は翼なんていらないのに」
「オパール」
「……おとなになんて、なりたくない」
2022/3/18
結晶庭園
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