幼き日に、母がくれた優しさを、弟に捧げたかった

母の手のぬくもりも、やさしい声も、おぼえている。

生前の母がのこした日記や手紙の類は、薄桃の箱の中におさめられていた。

ちいさな鍵をまわして、とじこめられた古い記録をたどる。

「……星のミルクのつくりかた」

少年の指先が繊細な文字をなぞる。幼き日に、母がくれた優しさを、弟に捧げたかった。


2022/2/23

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る