彼の残骸がみつからなければいい、と、私はひそかに祈っていた
ゼフィルス・アルヴェンシスの姿を、最後にみたのはいつだろう。
人形師をのせた船の中に、紛れ込んでいただろうか。人形の心臓を探すと旅に出た彼のゆくえはわからない。
鉱玉船の損傷は激しく、乗組員の身元を確認するだけで骨がおれた。
彼の残骸がみつからなければいい、と、私はひそかに祈っていた。
2022/2/6
鉱玉標本録
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