第67話 バトロワ2 感想戦
リスポーン地点でバッと起き上がると、「コメオ先輩ぃいいいいいい!」とねむが抱き着いてきた。
「すごいですぅ~! 流石ですぅううううう!」
びえー、と泣きじゃくりながら俺にしがみついてくるねむだ。俺は俺で感極まってるので「勝てた! 勝てたよ! お前のお蔭だねむぅううううう!」と泣きながら抱きしめ返す。
そこに、拍手をしながら現れたのが三人。
「おめでとう、コメくん☆」
「ああ、大変にめでたいことだ。素晴らしい戦いだった」
現れたのはミルキィちゃん、スペさん、そして表彰がかりのお姉さんだ。俺たちは我に返って、身なりを整えつつ立ち上がる。
「ああ、こんなに死力を尽くした戦いはそうないぜ。ベストバウトだったよ、ミルキィちゃん。スペツナズさんも、かなり訓練して対策した甲斐がありました」
「へへ、照れるね」
「む、そうか。少し恥ずかしいくらいに思っていたのだが、対策してくれたのだな。そう思うと、何だか面はゆい」
俺たち四人はそれぞれ敵チームと握手を交わして、それから表彰係のお姉さんに視線を向ける。
「では、本日の
「えっ。マジかそんなに巨額貰っていいのか」
「いやまぁそのくらいの苦労はしたじゃないですか」
「確かにしたかもしれん……」
二分割しても爆発熊の二倍以上だ。これはかなりおいしい。
俺たちは500万、と書かれたデカくて軽い看板のようなものを持たされる。
「また、お二人は
「挑戦権?」
そこでハッとしたのがねむだ。
「あ、そうでしたね先輩に説明してませんでした。簡単に言うと、
「やば」
マジかよそれ。強敵に挑みたい放題じゃん。何なら総当たりじゃん。優勝!
「ちなみにミルキィちゃん様は
「自動繰上りってことか」
「ボクの二位維持のために、適当なところで負けといてね☆」
「ははっ。全員下して一位になるっての」
俺が売り言葉に買い言葉で言うと、ミルキィちゃんは「一位かぁ……」と呟く。
「あの人は意味わかんないくらい強いけど……コメくんなら行けるのかな。アハハ☆ 期待してるね、コメくん。君も意味わかんないくらい強いし、可能性はあると思う!」
俺たちの会話の終わりを察して、係のお姉さんが続きを説明する。
「また、準・
言われて、へーそうなんだ、という感じだ。元々相性が抜群すぎる俺たちだが、確かに俺一人ならミルキィちゃんには勝てなかった。そういう戦力の変動を鑑みての制度なのだろう。
するとねむは俺の腕に抱き着いて、すり寄るように言う。
「ですって、先輩っ。ずっと離しませんからね♡」
「……」
アレ? ねむってこんな感じだっけ?
何か自覚がない内に、ねむの好感度が限界振り切って天元突破している感じがある。いや、好意そのものは嬉しいし、好感度のズレも理解はしてるのだけど、そんなに? というか。
「ねむ……結局さ、どのくらい繰返したんだ?」
「はい? ああ、そうですね今のコメオ先輩には言ってませんでした。……大体一か月くらいじゃないですか?」
一か月!? この数時間を!? そりゃ感情の差くらい生まれるわ! 何か物分かり良いしツーカーだなと思ったら!
「え、あれ? 二人って、そう言う関係……なの?」
そして何故だか傷ついている様子のミルキィちゃん。え、そっちも何で? スペさんもえって顔してるよ?
「……話を続けても?」
「あ、はい。どうぞどうぞ。続けてもらって」
係のお姉さんがいて助かった。と俺はそっと胸を撫でおろす。一体俺の周りで何が起こってるんだ。
そんな感じで、いくつか準・
「コメオぉおおお! すげぇよお前! 流石過ぎる!」「大魔法使いさんを相手に一歩も引かないのやべぇよ! つーか最後の空中飛翔何だよ! 何をどうしたんだアレ!」「ネムネムちゃんもすげぇ! 命かなぐり捨てて援護なんて誰にでもできることじゃないって!」
「大魔法使いさん! ドンマイです!」「お疲れ様でした! 本当にいい戦いでした!」「惜しかったですね! いつかリベンジするときはたくさん応援します!」「スペさんもお疲れ様でした!」
たくさんの声援に包まれつつ、俺とねむは恐縮しきりで凱旋だ。一方ミルキィちゃんは慣れっこのようで「次は絶対勝つから、応援してね☆」と返している。スペさんは腫物扱いで可哀そう。ごめんな一瞬で殺して。時間かけたらこっちが負けるからさ。
そんな感じで出口に向かっていると、「そうだ、コメくん」とミルキィちゃんが俺を呼ぶ。
「ボクとしては屈辱だけど、君にとってはとてもめでたい日だと思う。だから、是非一緒に祝賀会といかない? ボクもそれなりに稼いでるから、財布はこっち持ちでいいよ☆」
「お、マジかありがたい! ……あー、でもやっぱこっちで出すよ。代わりに他の連れも呼んでいいか? 元々そいつらと食べる予定でさ」
「連れ?」
「俺の身内と友達。前八尺様戦やったじゃん? その時のメンツでさ」
「……つまり、八尺様もいるってこと?」
「そうだよ」
「すっっっっっっっっごいそれ! え! ぜひ会いたい! 誰よりも有名人だ! いいよいいよ! お金は全部ボクが持ちましょう!」
「マジかよやりぃ」
そんな訳で、俺たちはぞろぞろと祝賀会の流れになった。こんな祝い日なら、流石にちょっと飲んでもいいだろう。
……キス魔出現にだけは、気をつけないとな。女の子が多いから、洒落にならん。
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