第114話 全ギルド統括会議(2)
ハヤトの所に数人のギルドマスターと職員がやって来て模擬戦を申し込んで来た。
「時間も勿体無いので皆さん同時にお相手しますのでどうぞ」と言って相手をした。
一度に一瞬で全員が気絶してしまう。
職員は何をしたらギルドマスターの高ランクの人達が気絶させられたのか解らない。
ただ統括のケントが言うように、ハヤトという冒険者が人外の強さだということはわかった。
ハヤトは食事に戻りファミリーと一緒に食事していた。
「ハヤト、お疲れさん。すまなかったな!」とケントさんが頭をかきながら謝って来た。
「ケントさん、後ほど魔族が今どれ程潜り混んでいるのか、各国に情報をお教えしますよ」
「そうしてくれるか?」
「スキルがあっても魔族だけを炙り出すには皆さんの手持ちの駒では大変でしょうから」
昼食休憩を終えて又会議室に全員が集まった。
「昼食休憩にハヤトと模擬戦をした人間もいたようだが彼の実力はこれでわかったと思う。ここで改めて今回オブザーバーとして来てもらったハヤト君に話を聞こうと思う」とハヤトにケントが話を振った。
「皆さん、お疲れ様です。私が今迄知り得た情報を皆さんにも知って頂きたく今からお話しします。先ず最初に異世界の龍がこの世界に出現した事が古代人滅亡に繋がった事を知ったのは、"古代文明ダンジョン"で古代人のミイラから私の脳に直接語り掛けた事が最初です。その時魔界龍対策として彼らは人工の銀龍とアンドロイドのアレンを私に託しました。ここに居るアレンがそうです。1万度の熱にも耐えられ、自由に姿が変形できます。銀龍は魔界龍と同等の力を持った龍ですが、彼等だけでは倒せません。同等な力では防ぐ事は出来ても倒す所までは行かないのです。私は古代人の意思に従って更に難度の高いダンジョンを踏破し、やっと魔界龍を切り倒す魔剣を手にいれる事が出来ました。その間、何ヶ所かの国で魔族が暗躍して魔王が復活した時に魔王の手土産として、人間達の魂を捧げる為に動いていたのを全て潰して来ました。あと2年、更に魔族達は人間界に入り込み魔王復活を確かなものにする為、人間達の魂を奪おうとして来るでしょう。その為にも私達は国の諍いなどやって居る場合では無いのです。特にオルバル帝国が色々周りの国に手を伸ばしている事は即刻辞めて人間族、獣人族が力を合わせて戦わないと滅びると覚悟して下さい。もし、オルバル帝国が今のままであれば、私はギルドが反対しても国ごと消し去る事も吝かではないと思っています」
「後ほどケントさんの所に魔族が侵入して居る場合が分かるようにして資料をお渡しします。直ぐに対応をお願いします」とハヤトは一気に捲し立てた!
ケント達はハヤトの説明を聞いて更に対応策を話し合っている間に、ハヤトは【サーチ】で魔族が入り込んでいる場所を地図に落とし込む作業を始めた。
一番気になっているオルバル帝国を真っ先に【サーチ】すると、やはり心配していた
通り、何と、オルバル帝国の宰相が既に魔族に心を乗っ取られ、帝国を意のままに動かそうとしていた。
これにはハヤトも焦り、直ぐに会議中のケントに連絡を入れた。
オルバル帝国の冒険者ギルド統括はケントもよく知るデクスターだ。
「デクスター、ハヤトを紹介するよ」とケント。
「ハヤト、こちらはオルバル帝国の冒険者ギルドを統括しているデクスターだ、俺の親友だから信頼できる人間だぞ!」
「ハヤトです。宜しくお願いします」
「デクスターです。お噂はケント殿より良く聞かされておりますよ、我が国の阿呆なお偉いさんが周りに迷惑をかけていてほとほと困っている。近いうちに君に大掃除をお願いしようと思っているよ」
「デクスター、実はその大掃除を今すぐにでもしないと不味いことになったぞ!」
「ええ?どういうこと?」
「実は今、ハヤトに【サーチ】を掛けて各国に魔族がどれだけ、どこに潜入しているか調べてもらっていたのだが、真っ先に心配なお主の国を見てもらったら、宰相の奴が既に魔族に乗り移られている」
「なんだって?あのアーロンがか?」
「そうだ、それ以外にあと二人、騎士団にいるそうだ」とケントが困った顔で伝えた。
「デクスター、緊急を要するからハヤトと一緒に帝都の宮殿に行き、3人の魔族を討ち取って来てくれ。帝都のギルマスも一緒に行った方が良いかもな!」
「わかった、すぐルソンと俺とでハヤト君達と行くが帰ってくる間に会議が終わってしまうよな」
「いや、大丈夫だ!ハヤトは【転移】が使えるから一瞬で帝都の宮殿に行けるぞ」
「でも、ハヤトくんは宮廷の中には行ったことがないだろう!」
「ハヤトに関しては従来の魔法の考えは通用しないから心配するな、なぁ、ハヤト?」
「はい、別に行ったことがなくても【マッピング】と【転移】を併用して【サーチ】もかければ、宰相のいる場所にすぐ行けます」
「本当か?それではルソンを至急連れてくるから、待っててくれ」
デクスターが帝都のギルマス・ルソンを連れて急いでハヤトの所に走って来た。
「ケントさん、それでは行ってきます。お二人共僕の肩に手を置いてください。アレン、ガードマン行くぞ」
デクスターもルソンも【転移】を初めて経験する。
二人は一瞬、船酔いの様なめまいを感じたが、殆ど一瞬の事だった。
一瞬で王宮の皇帝と宰相がいる広間に突然と現れた。
「デクスターではないか!何用じゃ」とハンニブ皇帝。
「しかも、ルソンまでも?その若い奴は何者・・・」
「彼は貴方が一番会いたがっていた『空飛ぶ船』の製作の冒険者ですよ」
ハヤトは瞬間的に宰相と二人の騎士を【結界】で閉じ込め皇帝に向かって声を上げた。
「皇帝ハンニブ様、貴方は魔族に身体を乗っ取られた宰相の口車に踊らされて、周辺諸国に色々策を弄して侵略をしていたが、貴国の人民とあなた自身も含めて、魂を
取られるのを平気で見過ごすおつもりですか?」
「何を言う!我が帝国の宰相が魔族だというのか?」
「ええ、そうですよ!今その証拠を見せて差し上げましょう」
そう言うと、ハヤトは先ず初めに宰相を閉じ込めている【結界】の中の空気をどんどん抜いていく。
すると、最初は怒って【結界】を叩いていた宰相アーロンの顔が見る見る歪んでいき
醜く崩れて、角が生え、黒々とした魔族の姿に変貌して行った。
「おのれ、おのれ、もうすぐで帝国を我ら魔族に従えさせることが出来たものを・・・。ゆるさんぞぉー!貴様ぁぁぁー」
「いつまでも強がっていられるのかな?そろそろ空気は無くなるよ」とハヤト。
魔族は遂に倒れ、ピクリとも動かなくなり、最後は紫色に変色して、黒い霧状のものが体から出て干からびていった。
「次はお前たちだ!」と騎士団に化けている二人の兵士の【結界】をどんどん縮めて最後は魔石ごと砕いて1センチ四方にして、【イレージング】で消し去った。
「ハンニブ皇帝様、これでおわかりでしょう?今我々は人族、獣人族が生きるか滅びるかの瀬戸際に来ており、私とルソンが世界冒険者ギルドの全体会議で打ち合わせをしている時に、ハヤト殿が真っ先に帝国を心配してくれて【サーチ】を掛けてくれて、宰相が既に魔族と入れ替えられていることを教えてくれたのです」
「皇帝、目を覚ましてください!この国など一瞬で灰にする異世界龍が2年後にはこの世界を蹂躙するのです。他国に領土を広げるなどと言っている場合ではないのです」
「うううう、まさか我が帝国の宰相が魔族と入れ替わっていたなどとは・・・、ヘルカ王国に病原菌を撒いて滅ぼそうと宰相が言っていたのは、全て魔王復活のための布石じゃったというのか?儂はまんまと魔族に騙されて、踊らされていたと・・・」
「そうです、この世界で一番の大国が魔族の言いなりになればこの世界は崩れていくのは目に見えているでしょ!皇帝、今こそ世界の人族、獣人族と一つになって、魔王と異世界龍の復活に対抗してください」とデクスターが悲痛な声で訴えた。
「デクスターよ、心配をかけた、予も世界の人族、獣人族のために魔王と異世界龍と戦うぞ。今までの予を許してくれ。それと、ハヤト殿と申したか?色々迷惑をかけた。許してくれ」
「いえ、今後は貴国が大国として世界を引っ張っていくことに私も微力ながら協力いたします」
「そうか!よろしくお願い申す」
「皇帝閣下、我らは未だナルジェでの、ギルド全体会議の途中なので戻ります。後ほど会議が終わり次第、ご報告に参上いたします」とデクスターとルソンはハヤトたちとともに【転移】でバスタードの会議場に戻って行った。
戻ってきたデクスターは他の冒険者ギルド統括にオルバル帝国での出来事を伝え、やはり魔族は狡猾で恐ろしい相手であることを伝え、ハヤトの異次元の力に支えられたと皆に伝えた。
デクスターの報告を聞いたギルドのトップの連中は一様に緊張感を漂わせて、1日目の会議を終えた。
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