第92話 バスタードでの会議
翌朝朝食を少し早めに皆で食べて、目的地バスタードにむかった。
出発して1時間ほどで国境に到着して、出入国手続きを済ませ、バッキスの町で昼食を取るために向かった。
11時半ごろバッキスに着き昼食を食べてから1時間の休憩をとって王都バスタードに出発した。
途中でワイバーンが1匹襲ってくるが『万能乗用車』に搭載されているレーザー砲
で頭を破壊されて瞬殺されてしまった。
それを見た第二王子は何故か肩を震わせて唇を噛みしめていた。
その後は問題もなく4時頃にバスタードに着き王宮にとりあえず公爵様、クラウディアさん、宰相のスミスさんを送り届けてボスノーさんの魔道具屋さんに行ってみる。
「ボスノーさん、ご無沙汰しております。どうですか商売の方は?」
「あれっ、ハヤトさんどうしてここに?」
「たまたま護衛依頼があってジュネバからバスタード迄の往復の護衛で今こちらに着いたのです」
「いやぁー、ハヤトさんがいらしてくれて良かったです、ハヤトさんが卸してくれた魔道具がすごい人気で、あっという間に底をついてしまって・・・」
「ハヤトさんのところにお伺いするのは未だ3ヶ月以上先だったので、それまでどうしようかと思案していたところなんです」
二人で話していたら奥さんのルビアと娘のジュリエッタも出てきて、お互い抱き合って再開を喜んだ。
「早速ですがあれからダンジョンで討伐した魔物の素材と、お宝の一部を持ってきました。ドラゴンは大きすぎるからどこかで解体してからじゃないとここに出せないね」
「それでしたら、良いところが有ります。私の友人の所の解体場が今空いているので早速借りられるかすぐに行ってきますから、皆さんお茶を飲んでゆっくりしていてください」
そう言うと、ボスノーは走ってどこかに出ていった。
「ラッティーさん、ハヤト先生に習ってその後魔法力は上がりましたか?」とルビアが聞いてくる。
「はい、おかげさまで私も全ての魔法の中級迄撃てるようになり、ランクもSランクまでになりました」
「ええ?もうSランクになったの?」と驚くジュリエッタ。
「ラッティーも必死に付いてきてよく頑張ったので魔力量も1000を超えましたからね」とセリーヌ。
「凄いですわ、獣人族の最高限界値は魔力100以下と聞いているのにその10倍を超えたなんて・・・」とジュリエッタ。
少し胸を張って、赤くなった顔が可愛いラッティー。
耳をピンと立てて、しっぽがブンブン揺れている。
ボスノーさんが走って戻ってきて、解体場の鍵を持って入ってきた。
「今は何もなく、使っていないので貸してくれました。家のすぐ裏なのでそちらに行きましょう」とせわしなく動くボスノーさん。
ハヤトはその解体場に岩竜と赤龍、キマイラを出し、解体を始めた。
岩竜は甲羅を剥がして、1枚ずつバラバラにして40枚の甲羅を取り出した。
更に、足の爪、牙など細かく使う部位を切り分けて、【次元収納ボックス】に入れた。
次は赤龍を頭の部分から牙をとり、頭皮を剥がして、本体は4分割程度に切り分け腐食しやすい部位を取り出して焼き、残った肉はボスノー家のしょくざいにする。
赤龍の鱗は全て魔道具になるので全てを【次元収納ボックス】にいれた。
キマイラも皮膚や頭部の炎を吐く部位は貴重な魔道具になるらしくきれいに取り、革などと一緒に【次元収納ボックス】に入れてお店に戻ってきた。
ボスノーさんとハヤトが店の裏の作業場に解体した岩竜の素材、赤龍の素材、キマイラの素材をきれいに整理して棚に並べて収納する。
赤龍の肉は奥様に渡して、夕食の肉として使ってもらう。
「ハヤト様達は宿はどこに泊まる予定ですか?もし決まっていないのであれば依頼の間は私共の家にお泊まりください、3食食事付きで無料です(笑)」とルビアが笑いながらいう。
「お前、無料どころではないよ!岩竜と赤龍の素材だけでも白金何十枚の金額だもの」とボスノーが気色ばって言う。
「あらあら、お父様冗談が通じないほど興奮してるのね!」
「だってお前、岩竜丸々1体と赤龍丸々1体、それにキマイラだぞ!俺は丸々本体を見るのでさえ初めてだもの、興奮するよ」
「ハヤト様、是非我が家にお泊まりください」
「お邪魔にならなければ、お世話になります。1週間弱程滞在する予定ですのでよろしくお願いします」
「ジュリエッタ、2階ののゲストルーム2部屋を用意して」
「はい、お母様」
「それとボスノーさん、『マジックアイテム』ですが、先ず『マジックテント』5張り、『炎の魔剣』、『水の魔剣』、『風の魔剣』それぞれ5本ずつ、それと『マジックカップ』を3個卸します。支払いは次回卸しの時で良いですから」とハヤトが目の前にマジックアイテムの品物をズラッと並べた。
ボスノーはそれを見てワナワナ震えだし、感激して泣き出してしまった!
奥さんのルビアもあらあらといった顔だがとても喜んでくれている。
その日のボスノー家の夕食は豪勢な夕食で、通常では貴族しか手に入らないドラゴンの新鮮な肉を皆で美味しく食べた。
ボスノーさん達に『スラ』と『イム』を紹介して食事は彼ら夫婦も床でおとなしくたべて部屋はラッティーの部屋の床で寝ることになった。
食事をしながら、ハヤトは気になる帝国側の動きをボスノーさんに聞いてみる。
「2週間ほど前、帝国側の兵士1000人ほどが国境を超えて侵入してきたのをなんとかナルジェ国の兵士が押し返したと聞いております。ここ数ヶ月で3回目なんですよ」
「そんなに度々越境してきているのですか?」
「帝国ではナルジェの国の魔道具が優秀だと聞いてそのへんの力を欲しているのだろうと思いますが、実はナルジェの魔道具が有名なのはハヤト様のお陰であることがわかっていないのです」
「ええ、僕が関係しているの?」
「はい、うちから何点か買って帰った帝国の騎士たちから噂が広まり特に魔剣に関して今度いつ手に入るのかこれを作った魔道士、錬金術師はどこにいるのかとかうるさく付きまとわれてしまいました」
「そんな話があったのですか!今回の魔剣はあまり帝国兵士にはうらない方が良いですね、ナルジェの兵士というか騎士に売るように心がけてください」
「ただ私服で買いに来る人もいて、ナルジェ騎士団だけに売るというのは難しいかも知れません」
「ああ、無理にとは言いませんので、あくまでも分かる範囲で・・・」とハヤトは慌てて言った。
その日は久しぶりの再会で楽しく夕食を食べて夜遅くまで皆で話し込んでいた。
翌日、ナルジェ王国会議室ではナルジェ国王ジェル国王、第一王子クラミネル、第二王子ジムとブルネリア王国筆頭公爵ブレット・スミロフ、宰相スミスが深刻な顔をして話し合っていた。
「すると侵略し始めたのはここ2ヶ月余りからの事ですね?何か原因らしき事柄は有るのですか?」とスミス宰相が聞いた。
「未だはっきりとは確定しておりませんが、何でも我が国の『マジックアイテム』が帝国側の騎士たちにえらく評判がよく、きっと我が国にとんでもない技術の魔導
師か錬金術師がいるのではと疑って居るのです」「侵入してきた兵士を捕虜にして聞き出したところ、この王都で店を開いているボスノー魔道具店で売られている『魔剣』は物凄い威力でこの世界では見られないほどのマジックアイテムだそうなんです」と第一王子のクラミネル王子が苦々しくのべた。
「そのボスノーは自分で『魔剣』を作り出して居るのですか?」とスミス。
「聞いたところによると、自分ではそれ程の技術がなく何でも親しくしている魔道剣士から定期的に仕入れているのが実情らしいです」とクラミネル。
「それでは先ずボスノー氏に会って、どこの誰から仕入れているのか問いただすのが先決かもしれませんね」と公爵のブレットが言う。
「今からでも我々が内密に伺ってみましょうか?」
「いきなりこの国の王様や王子が訪れたら先方も驚くので、ここは顔も知られていない私とスミスと騎士団長でも伴って店を訪ねて見ますよ。その話を持って帰って再度お打ち合わせしましょう」と公爵様が言った。
公爵とスミス宰相は騎士団長ジムを伴って王城の城門を出て、すぐ近くの商店街の入口付近のボスノーの店へと入っていった。
「いらっしゃいませ!あれっ、公爵様に宰相様、それに騎士団長様どうなさったのですか?」
「えええ、ラッティーがどうしてここにいるの?」と公爵が驚いているところに、
「ラッティー、どうした?あれっ公爵様にスミスさん?どうしたのですか?」
「いやいや、それはこちらが聞きたいよ!どうしてここにハヤト殿が居るの?」
ハヤトはボスノー家との馴れ初めを娘さんのジュリエッタ救出から獣人族国に行く迄の話を説明していたら、ボスノーも出てきてことの成り行きを聞いて驚いていた。
「これで大体の話はわかった!つまりボスノー殿の店の高級マジックアイテムは全てハヤト殿が作ったマジックアイテムを売っているということですね」と公爵。
「はい、お恥ずかしい話ですが我々ではとてもこれ程のアイテムを作り出すことが出来ないので定期的にハヤト様から仕入れるお約束をしたのです」
「たまたま噂を聞きつけた帝国の副騎士団長が『魔剣』を買って帰ったところ、とてもその評判が良く、以来時々来てはマジックアイテムを買って帰るようになりました」
「相判った!ボスノー殿とハヤト殿、お時間を取らせて申し訳ないが昼食後に王城に私を訪ねて来て頂きたい。今回の侵略の原因がお二人に有ることがはっきりしたので、今後のことを含めて王様達と話し合いたい」
「ええ、私とハヤト様が原因で戦争が始まるとか?」
「ええ、帝国側はそれ程までに魔道具に長けた人間を欲しているということですね」とスミス宰相がが言った。
騎士団長のジムが店に並べられている『炎の魔剣』を手にとって、「ご主人これはおいくらですか?」と聞いてきた。
それは白金3枚ほどします。この店でも一番高価な魔剣です。
「この剣はすごい力を秘めている。是非欲しいな!カード払いでも可能か?」
「はい、勿論冒険者カードがあれば問題ないです」
「それじゃ冒険者カードなど久しぶりに使うがこれで」とジム騎士団長はAクラスの冒険者カードを出して『魔剣炎の剣』を購入した。
「とこれでこの剣もハヤト殿が?」とジム。
「ええ、ここの魔剣は全て私が作って魔法を付与したものですよ」
・・・、皆が呆れてしまっていた。
公爵一行が王城に戻ってからハヤトとボスノーは少し早めに昼食をとり、正装に着替えて王城に向かった。
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