第87話 深層ダンジョンに挑む

『スラ』と『イム』の耐魔法の程度をハヤトが訓練所で検証して、味方の能力も完全に把握したハヤトファミリーは翌日朝練をいつもの様に終え、朝食を早めに食べて皆で歩いて冒険者ギルドに行った。


「おはようございます、ハヤトご夫妻、今日は例の”深層のダンジョンですね?」


「はい、場所はセリーヌが知っているのでわかりますが、いつも通りこちらで申し込んで潜る時管轄のソムレドの冒険者ギルドに伝えてから潜れば良いかな?」


「はい、納品等はダンジョンコア含めてこちらで結構ですが潜る際は一声ソルムドのギルドにも伝えてから入ってください」


「わかりました、階層が深いと言うので1日では戻れないけど、頑張って制覇して来ます」


「くれぐれもご注意ください!」とキャロルに見送られてハヤトファミリーの”熱き絆”はソルムドの西の平原に向かった。


ケープの冒険者ギルドの裏から『万能乗用車』を垂直浮上させて、およそ2時間半の空の旅で10時少し前にソルムドの冒険者ギルドに着き、ダンジョンに潜る旨伝えて”熱き絆”の6枚のカードを提示してダンジョンに向かった。


入り口には衛兵四人がおり、ハヤトファミリーを見て、最敬礼で見送ってくれた。


さすがブルネリア王国内では”熱き絆”のチームは有名になっていた。


階段をおりていき、ラッティーが【ライティング】で足元を照らしながらガードマン、アレン、セリーヌ、ドリス、ハヤト、『スラ』、『イム』と続く。


1階層はスライムが50匹ほど、『スラ』kと『イム』を見つけて全員が道の両側に並んで服従の意思を示していたので、敢えて討伐せずにスルーした。


その先にはゴブリンが37匹いたが、ラッティーとガードマンがあっけなく剣で切り倒して、耳だけ切り落とし回収する。


2階層はファングウルフの30頭の群れとマナバイソン5頭がいる。


セリーヌが20本の矢を『連射の弓』に魔力を流して放ち、瞬殺、残り10頭をガードマンとラッティーが刈り取った。


マナバイソンは大切な食料になるのでアレンとドリスが綺麗に首を切り落として回収した。


3階層になるとオークアーチャーとオークキングが15匹、その背後にリザードマンとリザードマンジェネラルが20匹いた。


ラッティーとガードマンがオークの群れを担当し、リザードマン達をアレンとドリスが10分程度で片付けた。


4階層に行くと平原にワイバーンが2匹居て、こちらを認め襲いかかってくる気配だ。


ガードマンが素早く2匹のワイバーンの翼をレーザービームで飛べなくして、ドリスとアレンが【瞬足】で一瞬にして近づき、首を切り落とした。


5階層にはオークが3頭もいる。


しかも通常の2倍弱ほどの巨体で、1歩歩くごとに池面が揺れるほどだ。


ラッティーが【エアカッター】連射で3頭の足を狙って放った。


2頭のオークは脛から両足を切られて倒れたが1頭はジャンプしてそれを避けラッティーに棍棒を振り上げて襲ってくる。


セリーヌが『連射の弓』で3本の矢を放ち、両目と眉間にあたり、首より上が浮き飛んだ。


両足を失ったオーク2頭はガードマンとアレンが剣で首を切り落として回収する。


6階層、ここには以前セリーヌが片足、片手を食いちぎられたドラゴンがいるいわばステージだ。


見ると当時と変わらない岩場ステージに赤龍が2匹いる。


セリーヌが『連射の弓』に魔力を流し込み5本の矢を全て1匹の頭めがけて放った。


硬いドラゴンの頭も何のその、全ての矢が頭に深く突き刺さりドラゴンの頭を爆殺させてしまった。


「セリーヌ、昔の仇を打ったね!」


「ええ、これでトラウマで魘されることもなくなりますわ」


もう1匹のドラゴンをガードマンが盾で火炎咆哮を跳ね返しながら魔剣『霞』で持って切り落とし、2匹を回収した。


「しかし6階層辺りで上位種のドラゴンがいるのが変だね」


「今後の階層も上位種がいると思われるから気を引き締めて進もう」とハヤトが皆に注意喚起した。


7階層に向かう。


7階層は目の前に海が広がったステージだ。


『万能乗用車』に乗り込み、航行を開始する。


【サーチモニター】にクラーケンが2匹映し出された。


ドリスが運転席からレーザー砲を連射して一瞬で2匹の怪物モンスターを仕留めた。


更に先に進んで行くと、ケートスがいる。


こちらもレーザー砲を撃ち放ち葬る。


暫くは何事もなく進むが陸が見えて来たときに巨大な魔力をハヤトは感じた。


『万能乗用車』を瞬時に50メートルほど【転移】で避けた。


今まで居たところに深海からものすごいスピードで浮かび上がって来たシードラゴンが姿を表して居た。


【転移】が一瞬でも遅れたら車はぐしゃぐしゃに破壊されてしまって居ただろう。


【結界】でも防げたかもしれないが【結界】をも破壊する力だった場合を考え一瞬でハヤトは【転移】を選んだ。


そして一瞬でシードラゴンの裏を取り、直ぐにシールド砲を巨体に打ち込んで葬った。


8階層は岩に囲まれた洞窟で死臭がする。


アンデッド系のバンパイアキングが待ち構えて六人に向けてダークアローを放った。

ハヤトが『白兎』をを一閃すると黒い矢は一瞬で霧散して消えた。


更にバンパイアキングに向かって『白兎』を一閃するとバンパイアキングの体が横にずれて二つに分かれた。


しかし、再生能力のあるバンパイアキングは瞬く間に再生する。


ハヤトは更にバンパイアキングに向かって【ファイアストーム】を放った。


ハヤトの火炎系の魔法は同じ魔法でも常人の数十倍の威力のため一瞬のうちに全てを焼き溶かす威力で、バンパイアの骨も体も、内臓も全て蒸発して再生さえもできずに消えた。


9階層に行く。


9階層は密林の中にポイズンスネークがいる。


大きさは太さだけでも1メートル、長さが12、3メートルもある大蛇だ。


ハヤトは大蛇の革が魔道具として重宝されているのでここは切り刻まないで『魔石師』のスキルで大蛇の魔石と心臓を奪い取ることにした。


思念を大蛇の魔石に送り込み【スティール】を発動させてハヤトの右手に奪い取った。


続いてハヤトは心臓を『思念の手』で握りつぶして13メートルの大蛇を葬った。


やっと10階層にたどり着いた。


大きな扉があり、ここがボス部屋だと言う感じの禍々しい魔力が漏れてくる。


ガードマンが扉を開けるとヒュドラが塒を巻いている。


ラッティーが首を切り落としていき、ガードマンが切り口をレーザーで焼いて再生を防ぐやり方で1時間ほどかけて9本の首全てを切り落として殺した。


ボス部屋には宝箱があり、中にポーションのような小瓶が入っていた。


【鑑定】して見るとエリクサーとあり、最高級ポーションで全ての病、全ての状態異常を即座に直して健康体に戻すポーションと出て居た。


【次元収納ボックス】に入れて、このボス部屋で昼食休憩することにした。


床がヒュドラの吐いた毒物や毒ガス、血などで汚れて居たのでセリーヌが【クリーン】をかけて、床も室内の空気も綺麗にして『万能乗用車』をハヤトが出した。


ドリスがハヤト、セリーヌ、ラッティーにピザのマルゲリータ、『スラ』と『イム』にはオークの照り焼きを出して昼食休憩をとった。

「師匠、こう言うところで暖かい食事で、しかもすごく美味しい食事が取れるのは最高ですね!」


「そうだね、【次元収納ボックス】は本当に便利なマジックアイテムだよ」


「お茶を飲んで1時間ほど体を休めたから11階層に向かいましょう」とセリーヌが皆に言って、腰をあげた。


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