第80話 ラッティーのハヤト家での初めてのクエスト

ラッティーに『炎のダガー』、『魔法の鎧』、『100倍時計の指輪』に『次元ポシェット』と一応装備できるものを地下の工房で作り与えて、後は体術と魔術、剣術を頑張るだけになった。


ケープの街に戻ってきて1週間、ひたすらラッティーの訓練に付き合っていたハヤトとセリーヌ達は朝食をいつもの様に食べ終えてラッティーのステータスを再び見ているところだ。



人種:ウサギ族

名前:ラッティー

年齢:16歳

職業:冒険者・斥候・魔法剣士


体力:1850

魔力:1200

レベル:8


【魔法】

 火:レベル6

 水:レベル5

 風:レベル5


【スキル】

 武術:レベル8

 体術:レベル7

 両手剣:レベル10



全ての項目で大幅に数値が上がりこれならば皆んなと一緒に行動しても足手まといにはならない。


それどころか職業に魔剣士が追加されており、大幅な戦力アップにつながる。


「おお、すごく全体のレベルが上がったね!これで晴れて”熱き絆”のメンバーだ」


ラッティーは1週間の苦しい訓練が身を結んだ事に感激して涙が溢れてきた。


「それじゃ久しぶりにケープの冒険者ギルドに行って見ようか」


そうハヤトが言って、久しぶりに冒険者ギルドを訪れた。


キャロルが目ざとくハヤト達を見つけ「お久しぶりです、随分お姿を見かけませんでしたが何方かに冒険に行かれていたのでしょうね!あら、新しい方がくわわったのですか?」


「うん、これから一緒に活動するラッティーです、”熱き絆”のパーティーとして登録してください」と言ってラッティーの冒険者カードを渡した。


「はい、メンバー処理しました。ラッティさんも直ぐにSSランクに上がりますわ、この中にいれば・・・」


「それじゃ、クエストを見てくるよ」


そう言って、ハヤト達は掲示板の方に向かった。


ギルドの冒険者達は久しぶりに見るハヤト達を眩しそうに眺めているが中には久しぶりに来るハヤト達を知らない冒険者達も多くいた。


ドリスがワイバーン2頭の討伐と、オークの群れの殲滅のクエストを見てハヤトの顔を伺う。


「ドリス、良いよ、それで。今日は新メンバーの肩慣らしだからね!」


受付にクエストを剥がして持って行き依頼を受けた。


ギルドを出て『万能乗用車』に乗り込み、受付で聞いた生息地に向かう。


ケープの北ハースの手前の海寄りの場所3キロ辺りにワイバーンが2匹いるらしい。


20分ほどして、【サーチ】にワイバーンが掛かった。


ドリスが残って車の中にいる。


「ラッティーまずはワイバーンの翼を【ファイアスプラッシュ】で2匹を飛行不能にしてそれから彼らの咆哮を避けて首を切り落としてごらん。『100倍時計』もかけてね・・・」


「はい、師匠”100倍”」と念じるとラッティーの目に映る全てが止まっている様に見えるほどゆっくり動いている。


ワイバーンが炎をラッティーに向かって放って来るがゆっくり向かって来る炎を難なくかわしてジャンプして1匹のワイバーンの首を両手剣で切り落とす。


続けてもう1匹に向かうと強烈な尻尾の攻撃を受けるがまるで止まっている様な動きの一撃をかい潜り、首を『炎の魔剣』で簡単に切り落とした。


「やったじゃん!」とハヤト。


今まで数人がかりで満身創痍の状態で倒していたワイバーンを一人でしかも2匹も倒せた事に自分自身で驚いているラッティー。


自分が間違いなく動きも剣術も数段レベルが上がったことを確信した。


「それじゃ、次はオークの群れの方だね、こちらは4キロほど北東の方に行ったところだから、ドリス頼むね」と運転するドリスに伝えた。


ドリスはゆっくり車を走らせ30分ほどして現場に到着した。


オークは平地に集落を形成してオークキングを筆頭にシャーマンが一人いる。


全部で40頭ほどの集落を形成していた。


ここは全員で行こうとハヤトがいい、車を【結界】で保護して全員が降りた。


まずセリーヌが”殲滅の弓”で20匹のオークを遠距離から頭を撃ち抜いて殺した。


続いて【瞬足】で5人があっという間に群れに詰め寄り、ガードマンがシャーマンに、ハヤトがオークキングに対峙して戦いを始めた。


シャーマンが呪術師らしく、何やら詠唱を始めるが、ガードマンの魔剣『霞』が光り始めシャーマンの呪術を吸い取って行く。


シャーマンが持っている杖をガードマンに向けて「いやぁー」と叫ぶがガードマンは盾で防ぐ様子もない。


「何故じゃ?何故効かぬ?」再び何やら呪文を詠唱し始めるシャーマン、その間ガードマンは間合いを詰めて簡単に首を落としてしまう。


一方ハヤトと対峙したキングは大剣をハヤトに振り下ろす。


紙一重で躱すハヤト、ぎりぎりかわしたと思っているキングが薄ら笑いを浮かべているが、見切っているハヤトがわざと紙一重でかわしているのがわからないようだ。


下段に構えた大剣を下から振り上げそれを防がれると、更に横に薙いだ大剣をハヤトは素手で折り、首を手刀で切り落とした。


雑魚のオークの群れ20頭あまりは、ラッティーとドリス、アレンがそれぞれ華麗に動き回ってあっという間に葬ってしまった。


全て血止めをして、【次元収納ボックス】にいれて、6人は再び車で冒険者ギルドに向かって帰って行った。


冒険者ギルドの裏の素材置き場に持って行き、久しぶりにチーフのクリフォードに挨拶をして獣人国に行った時の素材も含めて、魔物の山を置いて行く。


「ハヤト、相変わらずの量を持ってきたな!久しぶりにきたと思ったらこれだもんな!」とあきれ返るクリフォード。


先に5人をギルドに向かわせて、クリフォード達の納品書が出来るまで解体の仕方をしっかり観察しているハヤト。


ハヤトは『解体マスター』のスキルを得ているが、実際にワイバーンの様に大きな魔物は未だ解体したことがないのでその辺を勉強しようとじっくり観察していた。


結局1時間以上かかると言われて、ワイバーンの1頭を解体し終えたところでギルドにハヤトは戻って行った。


ギルドの食堂で5人と合流して野菜ジュースを頼んで待つ事にした。


待っていると、ハヤト達を知らない冒険者の4人ほどがセリーヌとドリスに色目を使って寄ってきたが、周りのハヤト達を知っている冒険者から何やら言われ、驚いた様にハヤト達から離れて行った。


1時間半ほど待って納品書ができたので受付のキャロルに持って行くといきなりラッティーがAランクに上がったと言われてびっくりする。


6人分のカードを提出して清算金、金貨45枚、銀貨75枚、銅貨80枚を受け取り近くの定食屋ダニーの店に久しぶりに行く。


「親父さん、おひさぁー、新しく入った仲間のラッティーです。よろしく」


「おお、ハヤトのにいちゃん、久しぶりだな。定食でいいのか?」


「ええと、セリーヌは大丈夫?ラッティーは?」


「それじゃ、定食3人前と野菜ジュースを3個頼みます」


そう言って、銅貨16枚を渡した。


「師匠、ここってそんなに安いのですか?」


「うん、定食が銅貨10枚で飲み物はお酒が銅貨4枚、ジュース類が1杯銅貨3枚なんだ」


「すごーい!安いですね」


「安いだけじゃなくお肉でも魚でも美味しいよ」


「はい、お待ち!今日はマナバイソンのステーキにサラダ盛り合わせとパンにスープ。野菜ジュースは食後でいいね?」と親父さん。


「どもありがとう」とハヤト。

食後にきた野菜ジュースを美味しそうに飲んでいるラッティー。


6人とも歩いてハヤト邸に戻ってきた。


ラッティーは少しベッドで休んで地下室の訓練所に行き、火、水、風の魔法の訓練を開始する。


瞬時に発動出来る様に何度も何度も繰り返しして、次は強く、更に強くと繰り返していた。


ハヤトは部屋で古代人の資料を読み解いて、新たな魔法の工夫、応用などを考えながら資料の山を整理している。


セリーヌはのんびりとリビングで紅茶とケーキで時間を潰していた。


セリーヌはそろそろうちの旦那様は古代都市がらみのダンジョン制覇の病気が始まる頃だと紅茶を飲みながら微笑んでいた。






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次話はダンジョン攻略なので少々長くなります。2話分ほどを1話にしましたので

すみません。 

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