第75話 皇后様からのお誘い

皇后様のお母様の状態異常をハヤトは直して上げ皇后様の前で奇跡の【回復術】を披露したハヤトはウエストバレーを翌日の朝朝食を終えたら発つことになった。


首都モルディナまでは早朝に発てば夕方には着く。


朝7時に宿を引き払って、冒険者ギルドで待ち合わせて再びモルディナに向かって隊列を組んで行く。


2時間程した時にやはり野盗の集団が30人待ち伏せしているのを【サーチ】が検知した。


野盗のふりをしているが、どうも統制が取れて馬まで用意しているところを見るとどこかの貴族の騎士団の様だ。


ハヤトはダラス達に「2キロ先で30人ほどの野盗が待ち伏せしているので1キロほど進んだら馬車を停止させて、僕らが討伐するので皇后さまの馬車を守ってくれ」と告げる。


ダラスは「俺たちも迎え撃つ」と言っているが、「モルディナに着くのが遅くなるのでここは自分たちだけで大丈夫だ」とダラスの言を退けて、騎士団達にも伝えた。


果たして1キロ程行ったところ先方から30人の野盗が固まって押し寄せてくる。


セリーヌが『殲滅の弓』で20人の頭を全て矢で打ち抜き、瞬殺する。


相手の弓はこちらに届かず遥か手前で勢いを失くし地面に落ちる。


ハヤトが『白兎』を抜いて一瞬で残り10人の片腕、片足を切り落とし、マジックアイテム『呪縛の縄』で縛りあげ騎士達の元に連れて来た。


セリーヌが葬った20人は【イレージング】で一瞬にして消し去り、片足しかなく『呪縛の縄』に囚われた野盗もどきは【闇檻(ダークジェイル)】に入れて運んだ。


騎士3人のリーダーが「ハヤト殿、この檻は継続して維持できますか?出来るならモルディナ迄こいつらを連行して王宮で尋問したいのですが・・・」


「分かりました、檻の魔法は継続可能で止血もしたので私の『魔道車』が引いて行きましょう」と騎士に伝えた。


騎士3人の獅子人種と皇后さまはハヤトとセリーヌの戦いを見て人間族の中でも身体能力が獣人を遥かに凌駕してとてつもない強さのものが居ることを知った。


ダラスやラッティー達も信じられない強さを目の当たりにして、今更ながらSSクラスの冒険者パーティーの恐ろしさを肌で感じている様だ。


途中お昼を先日食事した平原で昼食休憩をとり、一路モルディナに向かってひた走る。


その後は魔物にも出くわさずモルディナの城壁の門に3時ごろについた。


騎士達が10人の野盗を【ダークジェイル】から出して、『呪縛の縄』を再度通常の縄で束縛してマジックアイテムの縄をハヤトに返し、ハヤトは【ダークジェイル】の魔法をを解くと跡形もなく檻は消えた。


騎士も衛兵も驚いていたが騎士の伝令が伝わったのか衛兵4人ほどが馬車で野盗達を王宮に連行する様だ。


「ハヤト殿、この度は本当に世話になった、皇后さまがハヤト殿の宿泊先を聞く様にとのことで、どちらの宿にお泊まりでしょうか?」


ハヤトはボスノーが予約していた宿”獣人の里”を伝えた。


皇后様達と門の中で別れて、ハヤト達は冒険者ギルドにクエスト達成の報告をしに向かう。


受付に依頼達成のサインを出してそれぞれ金貨70枚ずつを受け取った。


ダラス達はそこで解散する様で、ラッティーがハヤト達のところに寄って来た。


「ラッティーさん、僕らと同じ宿にあと2泊程するので一緒に部屋を予約しに行きましょう」


「お願いします」


ハヤト達はボスノーさんが予約した宿に再び戻り二人部屋と一人部屋の二部屋を抑え部屋に上がった。


すぐラッティーがノックして「ハヤト様、これからの予定は?」と聞いてくる。


「実は僕らは友人一家が魔道具の出店を開いて居るところの様子を見にこれから行くのだけどラッティーも行かないか?」


「一緒に行っても良いですか?」


「もちろん構わないよ、気に入ったものが有れば買ったら良い」


3人はボスノーさんの出店に向かった。


出店は今日も繁盛してボスノーさんの所だけが獣人族や人間族がたむろして商品を漁っていた。


「ボスノーさん、今戻りました。どうですか商売は?」


「ハヤトさん、貴方のおかげで数年分の商いが出来てます。魔剣とマジックテントにマジックカップどれも大人気で数を調整しながら出して居るのですが今日の夕方には底をついてしまいます」


「ボスノーさん、ちょっと紹介します。我が家で弟子をとりまして、兎人のラッティーさんです。ラッティーさん、こちらボスノーさんと奥様のルビアさん、娘さんのジュリエッタさん」


「ラッティーです、ハヤト様ご夫妻の弟子にさせていただいた者です。よろしくお願いします」


「こちらこそよろしく。いつもハヤトご夫妻にはお世話になっているんですよ」


「ところで、あと2泊宿を抑えて来たのですが、ボスノーさん達もあと2泊でよろしいのですか?」


「私たちもそこまで抑えています。2泊して、午前中に宿を発って、ギゼーに泊まり帰りは来た道を同じ様に帰りたいと思っておりますが宜しいでしょうか?」


「全然問題ないです。ギゼーで1泊してから来た道を帰る感じでケルンの冒険者に寄って帰ります。それで僕らは今から不足しがちな魔剣とテントなどの補充を作って来ますね!」


「何だか申し訳ないです。材料費だけでも後ほどお渡ししますのでよろしくお願いします」


「ラッティーさんは、ここで僕らが戻ってくるまでお店の手伝いをしててくれる?」


「はい、了解です」


ハヤトとセリーヌは急いで宿に戻りハヤトは『炎の魔剣』5本、『氷の魔剣』5本、『マジックテント』5張り、『マジックカップ』5個を急遽作って再びボスノーの出店に持って行った。


出店はそれ程広くない中でジュリエッタと奥さんのルビアが依頼された魔法具の修理とか忙しそうに動いて居るので、ハヤト夫妻とラッティーは宿に戻ることにした。


ラッティーは裏庭で【ファイアスプラッシュ】の訓練をすると言って宿の裏庭で練習を始めていた。


夕方近く、ハヤトの部屋を訪ねてくる騎士団がいた。


「ハヤトご夫妻いらっしゃいますか?」とノックがし、騎士のリーダーが入って来て、「今回は色々ありがとうございました、改めて皇后様と王様よりお礼がしたいと明日の昼食会に是非来ていただきたく参上しました」とキビキビした態度で口上を述べる。


ハヤトはちらっとセリーヌの顔を伺うと頷いて居るので、


「分かりました。有り難くご招待を受けさせていただきます。11時ごろお城に伺えば宜しいでしょうか?」


「はい、11時に王宮の入り口で私がお迎えに出ておりますので、それではよろしくお願いいたします」


「ご丁寧にわざわざ来ていただいてありがとう」とハヤトが応え、騎士団3人は出て行った。


「王様ってこの国で一番強い人なんだろうね!獅子族の長だからきっとすごい威厳のある人なんだろうなぁ」


「旦那様は獣人族の強さを見て見たいとおっしゃっていたから良い機会じゃないですか?お会いすればその強さがわかるでしょうから・・・」


「そうだね、この国に来た目的がそれだからちょうど良いかな?」


ハヤトは獣人族の身体能力に興味があってこの国に来たが、確かにダラスやラッティーは人よりは身体能力は優れて居るが人間族でもその程度は魔法をかけなくても強靭な体を持った人は多いので余り参考にはならなかった。

騎士団のリーダーの獅子族もそこそこだがドリス達の足元にも及ばないのは直ぐにみてとれた。


武道大会に出た獣人の様に身体能力が高い獣人は未だあっていない。


王様に期待しようと密かに思うハヤトだった。

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