第43話 ハヤト一家の冒険の旅その3
マールの街で”岩盤のダンジョン”を制覇した時に魔族の一人を打ち果たし、ダンジョンも制覇したハヤト達一家はマールから東の街ハーゼルに向かった。
途中遅めの昼食を車の中でドリスが作ってくれて、オークの月見バーガーに果実ジュースでアレンが運転してくれて、ハヤトとセリーヌは後ろでのんびり昼食をとりながら魔族が話していた魔王の件をセリーヌと考えている。
「セリーヌ、これで魔族と対戦したのは2回も有るけど、このブルネリア王国には他の場所にも何人かいるのではないかな?」
「そうですね、魔王の復活で更に魔王の力で魔界の魔界龍を復活させると言ってましたよね!」
「魔族の国って、どこに有るのかな?」とハヤトはセリーヌに聞いた。
「詳しくは知りませんが、オルバル帝国の北に有るヘルカ王国の更に北のノルディー帝国の北に隣接していると聞いてますが・・・」とセリーヌが答えた。
「まぁ、『地図帳』で調べれば正確なところはわかるのでいずれ調べるとしてまずはハーゼルの街に着いたらいつもの通り宿を紹介してもらおうね!」
そんな話をしていたらハーゼルに入る城門に着いた。
兵士が来たので、ハヤトは冒険者カードを提示して、目的を冒険者ギルドのクエストを受ける事と伝え、すんなり街に入れた。
冒険者ギルドはすぐ見つかり、ドリスとアレンに待って貰ってギルドの扉を開きセリーヌと入って行く。
エルフの綺麗な冒険者のセリーヌは【認識阻害】魔法をかけていても目立って困るのだが受付嬢にカードを提示してお勧めの宿を聞いて貰った。
「このギルドの3軒隣にある、”ハーセルの並木道”という宿が食事も美味しく安いですよ」と丁寧に教えて貰った。
ギルドを二人で出て、ハヤトとセリーヌ歩いて向かい『万能乗用車』に乗ったドリスとアレン達は宿の裏の空き地に車を止めた。
「いらっしゃい!、お泊まりですか、お食事ですか?」と人族の娘さんが聞いてくる。
「ダブルの部屋1泊お願いします」と言って、冒険者カードを出した。
「あっ!Sクラスの方は半額なのでお二人で銅貨50枚です」
「おお、安いねぇ」
「はい、その代わりSランクハヤトご夫妻が宿泊したと宣伝させてください!」と宿のスーミンが言う。
「全然構いませんよ」とセリーヌ。
「夕食は5時から10時まで、ラストオーダーが9時半。朝は5時から10時迄で同じく9時半がラストオーダーです。お部屋は2階の一番奥の210号室です」と鍵をくれてた。
「裏の庭に魔動車を置いて有るけど構わないよね!」とハヤトがいい、
「馬車等の管理は個人でお願いしますね」とスーミンが言って厨房の方に行ってしまった。
ハヤトは裏庭に行って、ドリス達に「今までと同様明日朝まで頼むね」と言って
【結界】を張って、セリーヌと2階210号に向かった。
二人で先ずはシャワーを浴びて着替えてからケーキと紅茶を出して楽しんでしばらくハーゼルの街の事を『賢者の本』を出して調べた。
ハーゼルはドロン辺境伯が治める中都市で人口7万で国境に接している街だが治安は辺境伯の騎士団達の士気が高く非常に治安がいいと出ている。
ただ、魔物の数が多く、冒険者達の出入りが頻繁だと書かれている。
ハヤト好みの街のようだ。
「セリーヌ、なかなか面白そうな街みたいですよ!」
「そうですか!是非楽しんで過ごしましょう」
二人は階下に降りて行き食堂に入って夕食を頼んだ。
定食はファングボアの生姜焼き定食でとても美味しかった!
食べ終わって二階に上がり、部屋でゆっくりコーヒーを二人で飲みながら翌日のクエストの話しで花が咲いた。
翌朝いつものように二人で朝練してシャワーを浴び、階下に降りて朝食を食べてから冒険者ギルドに4人で向かった。
クエストの中にサウンドラー2匹の討伐依頼が金貨20枚で有った。
通常よりかなり高いのには何やら訳が有りそうである。
ハヤトはこのクエストを剥ぎ取った。
更にクエストを見ると同じ地域の森の沼に居るケルピー3匹の討伐があった。
同じ地域の森と沼なのでこのクエストも取って受付に出した。
受付嬢から詳しい場所を聞いて4人は『万能乗用車』に乗り込み北門から国境近く迄走り目的の森で車を回収して、森に入って行く。
キラービーがサウンドラーの映像を皆に送って来た。
1匹が上位種なのか、通常の2倍の大きさが有り、耐魔法が強いと【鑑定】に出ている。
サウンドラーは30メートル先にいる。
鳴き声をあげて威嚇して来るが4人とも低周波音には動じない。
セリーヌが通常のサウンドラーに矢を放ち瞬殺し、上位種のサウンドラーにはアレンが向かって行く。
上位種のサウンドラーは前足でアレンを弾き飛ばそうとするが、軽く躱して首を切りに行くが首を振られて弾き飛ばされてしまう。
すぐに体勢を立て直して間合いを詰めて前足を切りに行くが相手のシールドに阻まれて切れない。
ハヤトが【次元収納ボックス】からバスターソードを久々に朝練以外で出し、上段から一気にうち下ろすとシールドもスパッと切られサウンドラーまでも首の付け根から切り落とされてしまった!
これにはセリーヌも呆気に取られて声も出ない。
「さすがご主人様です」とドリスが感嘆の声を発した!
サウンドラー2匹を回収してさらに奥の沼地に向かった。
黒く澱んだ沼が見えて来た!
『万能乗用車』に乗り込み、車で潜行する事にした。
視界が悪いが【サーチ】を掛けると正確な位置が分かり、1匹ずつレーザビームで倒して回収し、陸に上がって車に【クリーン】魔法を掛けて【次元収納ボックス】に入れた。
今度取り出す時は新車のようになって出てくる。
ハヤトは沼の澱みが気になり【サーチ】を更に強めにすると禍々しい魔力を検知する。
沼の水を【聖魔法】で浄化すると水面が波打って、人型のようになって現れたのがまたしても魔族だった。
ドリスが剣で横に払って切るが相手が液体なので糠にクギだ!
ハヤトはつかさず【アブソリュートゼロ】魔法で水面も含めて人型を一瞬で凍らせて、その後ドリスに剣で切って貰う!
すると人型の氷は溶けだし黒く光った魔族の死体が凍った水面に現れた。
死体を一応【結界】で覆ってから回収した。
黒く澱んだ沼は綺麗な沼へと変わっていた。
「セリーヌけっこう魔族は我々の国に入り込んで魔王復活と魔界龍復活を企んでいるようだね!」
「冒険者ギルドのケントさんに話をして置いた方が良いと思いますわ」
とセリーヌが言うので車の中から『遠距離通話器』でケントさん呼び出した。
"おお、ハヤト元気か?何かあったか?"
"実は色々な街でクエストを受けて今日もハーセルの街でクエストを達成したのですが、今まで何箇所かの街で魔族に遭って、3人を殺して回収してます。彼等は魔王の復活をもくろみ、魔界の魔界龍の復活を算段しているらしく人間族や獣人族が滅びるのももうすぐだと言って死んだのが気になり連絡しました"
"何?魔王の復活だと?奴らはそう言ったのか?"
"はい、魔王様の復活はもうすぐだと・・・3人とも独特な魔法を使いますね!"
"ハヤト一旦ケープに戻って来て明日の10時頃俺の所に夫婦で来てくれないか?侯爵様も呼んでおくから"
"分かりました今から戻ります"
ハヤト達は『万能乗用車』に急いでのりギルドで精算して、城門を出て走行しながら浮上して時速800キロで空を飛び午後2時頃には自宅に着いた。
ドリスが遅い昼食を作ってくれて二人で食べ、リビングでコーヒーを飲んでひと息ついた!
久しぶりに我が家に戻って、旅の疲れも有ったのかシャワーを浴びたら二人で遅い昼寝をして、夕食迄寝てしまった。
ドリスに起こされるまで二人は分からず寝ていて、起きたら既に夕食の準備が出来ていた。
「ドリス、申し訳ない!すっかり寝込んでしまったよ」
「ご主人様、全然問題有りませんわ!きょうはホイコーローをご主人様のを真似て作って見ました、お味はいかがですか?」
「うん、美味しい!完璧だよ」
「ああ、良かったです!」
セリーヌも美味しいと言って、完食した。
夕食後はコーヒーを飲みながらのんびりしたひと時を四人で会話しながら過ごしたのち、ハヤトとセリーヌは2階に上り久しぶりにベッドで愛の営みをしながら翌朝を迎えるのだった。
翌朝、いつもの通り二人で朝練をしてドリスが用意してくれた朝食を食べ、ギルドのギルドマスターのケントを訪ねる準備をする。
ケントがギルバート侯爵も呼んでおくというので、あまりラフな格好でも失礼なので冒険者の格好でも気持ちきちっとした身なりの洋服をセリーヌに選んでもらい、着込んで時間までお茶を飲みながら過ごしている。
セリーヌは珍しくスカートで行くようだ。
いつもクエストを受けていたのでスラックス姿ばかり見ていたのでとても新鮮に映って、素敵だ!
「旦那様、どこか可笑しい?」
「いやぁ〜、久しぶりにセリーヌのスカート姿に惚れ直した・・・」
そんな会話をしてギルドに四人で歩いて向かう。
受付のキャロルに「ギルドマスターにハヤトが来たと伝えてくれる?」と言ってまっているとすぐにキャロルが2階のギルドマスター室に案内してくれる。
「ケント様、ハヤト様ご夫妻がいらっしゃいました」
「大入ってもらってくれ」
「おはようございます」とハヤト。
中には既にギルバート侯爵み見えていて、
「おお、ハヤトくんおはよう!きょうは又難しい問題が持ち上がりそうで心配しておるところだ」
「そうですねー、今後の問題をご相談したいと思いまして・・・」
「ハヤト、二人とも取り敢えずこちらに座ってくれ、アンドロイドくん達は後ろで
立っていても大丈夫だろ?」
ハヤト夫妻はケント、ギルバート侯爵の座っているソファーの前の椅子に座った。
「取り敢えず、この魔族3体の死体を見て下さい」とハヤトは【次元収納ボックス】から魔族の死体を出して見せた。
紫色に変色している3体の死体はケントが詳しく観察し、
「確かに3体とも魔族に間違いないな!」
「ケント殿、魔族は羽も生えているのか?」とギルバート侯爵が聞いた。
「ええ、頭には角が背中には羽を持ち全ての魔族は人間の3倍から5倍の魔力を持ち闇魔法を巧みに使う連中です」
「ハヤト、この3体をどこで遭遇したんだ?」とケントが聞いて来る。
「はい、魔族順位1位と自称するオイゲンという魔物はフェルトンの街の”暁のダンジョン”の15階層に、もう1体はマールの街の”岩盤のダンジョン”の2階層でもう1体はハーセルの森の沼地で遭遇して倒したのですが、3体とも魔王の復活を企てているのと魔界から魔界龍を復活させようとしていると”岩盤のダンジョン”で遭遇した魔族が話してました」
「随分広範囲に魔族が侵入して来ているということだな!」とケントが厳しい顔でいう。
「ケント殿魔族1体は冒険者のクラスではどの程度のクラスなのだ?」とギルバート侯爵が聞く。
「そーですねぇ、クラスではAランクとSランクのあたりじゃないでしょうか?」
「戦ったハヤト君はどう感じた?」とギルバート侯爵。
「彼らが本格的に魔法を発する前に剣で仕留めたので詳細は分かりづらいですが全員独特な魔法というか闇魔法だと思いますが使っていましたね、オイゲンという奴は最後は自分の影を巨大化して襲って来ましたし、一人は亜空間魔法を使い、もう一人は水で人型になり、剣で切っても死なない魔法でした」
「亜空間魔法を使っていた魔族は冒険者のAクラスやBクラスの数人を既に殺していたようです」
「侯爵様、問題はハヤトが言うように魔王が復活して、魔界龍が再出現したら古代人の二の舞になる恐れが有ります。今のうちに魔族が近隣諸国を含め人間族、獣人族の国にどれだけ進出して来ているのか、【サーチ】魔法ができる人間が各国魔族をあぶり出して討伐していかないと手に負えなくなる恐れが有ります」
「確かに、魔王が復活してそれにとまない魔界龍まで出現したらこの世界が終焉を迎えてしまうな!ケント殿、貴殿は各国の冒険者ギルドに今の件を伝えて討伐する方向で動いてくれぬか、私は王様に進言して各国に注意喚起を促してもらう」
「わかりました、冒険者ギルドに関してはすぐに『遠距離通話器』で各国の冒険者ギルドに連絡を取ります」とケントがギルバート侯爵に話をした。
「ケントさん、私はブルネリア王国内だけでも【サーチ】をかけて魔族をあぶり出しましょうか?」とハヤトがケントに話をすると、
「ハヤト、頼めるか?君がやってくれればこころ強い!」とケント。
「ハヤト君、この国だけでも取り敢えず魔族を一掃してくれ頼む!」と侯爵。
「取り敢えず、魔族の死体はギルドか国の研究施設で調べて見て下さい」とハヤトは言って死体を素材置き場に置いて行くことにした。
「それじゃ、死体を置いたら早速【サーチ】をかけてブルネリア王国内を見て回ります」
そう言って、ハヤト達は冒険者ギルドを後にした。
残ったケントと侯爵は、魔王が復活したらおそらくこの世界の魔族以外のあらゆる種族の半分は滅亡すると話し合い、ケントも各国の冒険者ギルドに連絡を取り、侯爵も王様に連絡をとるのだった。
ハヤトは自宅に戻り早速【サーチ】してみる。
ブルネリア王国では幸い3体だけのようで【サーチ】には1体もかからなかった。
ハヤトは隠蔽をかて隠れている可能性も含めて強力な思念で【サーチ】したので一応大丈夫であることを確信した。
ケントと侯爵にはすぐその結果を連絡した。
「ハヤト、他の国の状況によっては他の国に遠征することがあるかもしれないことを一応考えて置いてくれ」
「わかりました、その準備もしておきます」
ハヤトとセリーヌはすぐにでも長期で国外移動が出来るように準備をするのだった。
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