第29話 スタンピード
迷宮のダンジョンを制覇して1週間程古代文明の資料を整理して読んだり、セリーヌと簡単なクエストを受けたりして過ごしていたら、『遠距離通話器』でギルドマスターのケントさんから至急セリーヌとギルドに来てくれと緊急連絡がきた。
いつものメンバーでギルドに行くと・・・、
ケントが「ケープの隣町のロゴニー地区のダンジョンで魔物の氾濫(スタンピード)が起こりかかって居るそうなんだ。このまま行くとロゴニーの街がやばいのでスマンが行ってくれないか?あとから領主のギルバート侯爵様と騎士団500人も行くことになっているから」
「分かりました!どなたのところに行けば話が通じますか?」
「スマン、行ってくれるか!それならギルドマスターのロイドと言う奴の所に行ってくれ。話は通してある」
「それじゃ今から行って来ます」
そう言ってその場で【転移】して4人はロゴニーのギルドの裏に現れた。
直ぐに表に回り、受付にカードを出してギルドマスターのロイドを呼んで貰う。
ロイドはハヤトを待ち望んで居たらしく、直ぐに飛んで来た。
「ハヤト君か?待っていたよ。此処から7キロ西のダンジョンで、既にこの街に向かって魔物が押し寄せて来ている。あと5キロ程でロゴニーの街に到達する。城門前に冒険者400人程防衛で出張って居るが彼らだけでは無理だ。殆ど全滅に近いだろう!何とか彼らを助けてやって欲しい!」
「分かりました、ロイドさんも一緒に前線迄行って彼等に説明して欲しいので来て下さい」
ハヤト達は城門前に行き、皆に城門の中側に入るようにロイドから言って貰い、彼も中側に入って貰った。
ハヤトはロゴニーの街全部を【バリア】で囲い、ハヤト達が撃ち漏らした魔物がいても街に入れない様にした。
『万能乗用車』に乗り込み、銀龍には本来の大きさになって貰い、既に動き出している魔物の先頭集団に最大の【火炎咆哮】を好きなだけ放ってくれと伝えた。
ハヤトは”レーザー砲”を射程6キロまで上げて放った。
数千の魔物が一気に灰になり消えて、上からは銀龍の【火炎咆哮】が炸裂して矢張り数千の魔物が消えた。
城門の上からその状況を見ていたロイド以下数百人の冒険者達は驚愕と恐れを持って眺めていた。
車から降りたハヤトとセリーヌは更に湧き出てくる魔物に向かって先ずハヤトが【火炎地獄(インフェルノ)】を初めて人前で使用する。
物凄い轟音とともに放たれた数万度の灼熱の炎の塊は魔物が出て来るダンジョンの入口迄も全てを飲み込んで焼き尽くしていった!
銀龍の【火炎咆哮】とハヤトの【インフェルノ】で殆ど スタンピードは収束だ。
数頭の魔物が出てくるが、セリーヌの矢で全て頭を射抜かれ死んでダンジョンからはその後1匹も出てこなかった。
その間およそ30分程、ハヤトはバリアを解除して城門の方に戻って来た。
ロイドはハヤトの凄まじい力を見せつけられ唖然として声を掛けるのも忘れてしまって居る。
皆が歓声をあげた声で我に返ったロイドはハヤトに駆け寄り感謝の言葉を口にした。
「ハヤト君、君のおかげでこの街は救われた、本当にありがとう!」
「いやぁー、僕らがお役に立てて良かったです。侯爵様が来なくても大丈夫だと至急連絡入れてあげて下さい」
ロイドは慌ててギルドに戻り連絡をするのだった。
ハヤトとセリーヌはゆっくりロゴニーのギルドに戻り受付嬢から街を救った報奨金白金50枚を貰って、ロイドに挨拶してケープに【転移】した。
ケープのギルドでは既に大騒ぎになっており、応援部隊を出す準備をしていたほどで、ハヤト達を見てキャロルが慌ててケントを呼びに行った。
ケントがハヤトを見ると駆け寄り肩を叩いて感謝し、丁度その時ギルバート侯爵がギルドに入って来た。
「ハヤト君が一人で数万の魔物を消し飛ばしたって?」
「いやぁーひとりじゃなく"熱き絆"でやった事です」
「それにしても君がこの街に居てくれて本当に助かった!ありがとう」
キャロルがハヤトとセリーヌのカードを受取り依頼達成の履歴を打ち込みクエスト料、白金30枚をくれるのでハヤトは、キャロルにロゴニーで既に頂いたと言ったらあれはスタンピードの制圧の報酬でクエストの報酬はケープが持つそうで、有難く頂いた。
ハヤトとセリーヌは歩いて家に帰って行った。
残ったギルバート侯爵はケントとハヤトについて話をしている。
「ケント、彼はまさしく化け物だな!数万の魔物を30分も掛からず独りで片付けることなど出来るものじゃないぞ。どんな魔法を使ったのだ?」
「俺もロゴニーのロイドからの又聞きで詳しくはわからんが、何でも神級魔法の【インフェルノ】で全て灰にしたそうだ」
「【インフェルノ】ってそれほど凄いのか?」
「この世の中で現在使える者があいつしかおらんから解らんが、何でも言い伝えでは黒竜の火炎咆哮の何十倍もの威力だと言い伝えられている」
「何?黒竜の火炎咆哮でさえこのケープの街が無くなる程の威力だぞ!その数十倍の威力だと?想像もつかないな」
「兎に角彼が敵じゃ無くて良かったです」とケントが言った。
「ハヤトの件は近々王様とも話す必要が有るな」
「侯爵、その時も注意してくれよ、折角我が国に居着いてくれている彼が他所へ行くなどと言い出さないように」
「わかっておる、その辺は十分注意する」そう言ってケントと侯爵の会談は終わった。
ロゴニーでのハヤト達の活躍はたちまちケープだけでなく王都の王様の耳にも届く様になっていた。
王様は弟のブレット公爵から既にハヤトのことは聞いていたが、噂では数十万の魔物を一発の魔法で殲滅させた若き冒険者と聞くに及び、ギルバート侯爵に何とか彼と会う算段をしてくれと頼むことになってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます