第23話 古代都市ダンジョンに挑む

ケープの街に家を構えて三日目、家の方も落ち着いたので、今日はセリーヌ、ドリスと冒険者ギルドに行ってみる。


受付にキャロルが居たので、古代文明関係のダンジョンを教えてもらうと、ケープの北東方面6キロの平原に”古代都市ダンジョン”が有ると教えてくれた。


彼女に「そこに潜って来ます」と言って冒険者ギルドを出て、『万能乗用車』で城門迄行き、カードを提示して三人は城壁の外に出た。


『万能乗用車』の3人は6キロ北東のダンジョン目指して動き出した。


ハヤトは時間があった時に『万能乗用車』の機能に一工夫加えて周り500メートルに人間を含めて生物反応が有る場合は自動で【透明化(インビジブル)】が発動して見えなくなる魔法が付与される様に改良した。


勿論、城門での出入りに透明化で見えなくなるのは不味いので、ボタン解除も設置

してある。


道が無くなっても平原や岩場でも平気で走れる車なので10分ほどで目的の場所に

着いた。


周りには衛兵の姿は見えない。



屋台らしき店もなく入り口に表示がなければわからないほどだったが、入り口の注意事項がふるっている。


”命知らずの冒険者達よ、命が惜しいと思う人間は今からでも遅くはない。すぐにこの場から立ち去れ。勇気ある者が仮に最後まで到達できれば至福の時がその者には

訪れるであろう”


「へぇ〜、それでは我々はその至福の時を得るために頑張ろう」


ハヤトが先頭でセリーヌ、しんがりをドリスが務める。


なかは真っ暗なので【ライティング】魔法で照らして1階層に降りていく。


”古代都市ダンジョン”というのだからやはり魔物は全て人工的な魔物なのだろうか?


そんなことを考えて進むと、普通にゴブリンの群れが向かってくる。


その数は20匹が以上向かってくる。


ハヤトが【ファイアボム】で全て一瞬で殲滅した。


死体もそのまま放置して更に進むとファングウルフの群れが15匹ほど居る。


セリーヌが弓で連射して10匹の頭を射抜き、残りをハヤトの【エアカッター】で首を切り落として【次元収納ボックス】に全て回収した。


2階層に進むとファングボアが5頭向かってくる。


2頭をセリーヌが弓矢で狩ると、残りはハヤトが2頭、ドリスが1頭首を切り落として血止めして回収した。


3階層に行くと遂にというかやっとというか古代人が作ったと思われる人工物のミスリル製ウルフが1匹いる。


体調が5メートルほどもある。


ハヤトは【鑑定(アプレイザル)】をすると、再生能力、俊速、破壊力、レベル7と出ていた。


ハヤトは『白兎』を構えて先ず首と胴を二つに分けて、再生が始まる瞬間をレーザービームで焼き、阻止する。


しかし、首がないウルフは未だ攻撃を仕掛けてくる。


『魔石師』スキルを発動して【引き寄せ(アトラクト)】魔法と【奪取(スティール)】魔法を同時に行い、手に大きな魔石が現れ、その瞬間ミスリル製ウルフは動かなくなった。


首と胴体のミスリル製金属を回収して更に進むと地竜が居る。


人工物ではない!


岩礫を飛ばしてくる。


ドリスが間合いを詰めて、首を出した瞬間をはかった様に剣で切り落とした。


レーザービームで焼き切り血止めをする。


ハヤトが【次元収納ボックス】に回収した。


4階層には古代都市の残骸と思われる遺跡群が出て来た。


全く無傷で立って居る5階建の建物が1棟とその隣に建つ2階建の比較的大きな建物以外は土台しか残っていない。


ハヤトは土台しかない瓦礫の下にも古代人の遺物があるやもしれないと【サーチ】をかけながら進むと瓦礫の下に反応が有った。


瓦礫を丁寧に退けながら見ると割れずに残って居た綺麗な水晶のネックレスが落ちている。


【鑑定(アプレイザル)】と見て見ると『具現の水晶』、思い描く物に変化してその物の持つ魔力、スキル、性質全てを継承し、解除するまでそれは続くと出た。


ネックレスなのでセリーヌにかけてあげて、あとで検証して見ることにした。


その後も【サーチ】しながら進むがヒットする物はなかった!


2階建の1階に足を踏み入れると、金属製のキラービー、数千がハヤト達を襲ってくる。


瞬時にセリーヌと自分に【シールド】を掛け、キラービーに対して【結界(バリア)】で全部のキラービーを囲い切って【結界】をどんどん小さくして行き、数千の金属製キラービーを潰しにかかった。


キイキイ金属音をさせながら潰されて行くキラービーは最後には丸い金属の塊となって死滅した。


小さいながらも魔石も全て粉々になって再生も何もできない単なる金属の塊だ。


【次元収納ボックス】にボール状の金属になった残骸を入れて更に進むと、未だ3匹程キラービーが居て襲いかかってくるが一瞬で【結界】に閉じ込めて魔石に強烈な念を3匹同時に放ち、ピシッと音がしてその後念話で”支配権がハヤト様に移りました”と聞こえた。


”マスター、ご指示をください”そう脳内に響いて来てそれとともに3匹のキラービーが見ている映像がハヤトの脳にも見えて来た。


”なるほど、ビーが僕の従魔になった様だ”と呟き、【結界】を解いてやり、念話で3匹に”この1階と2階をくまなく見回って映像を僕に見せてくれ”と指示を出した。


1階には特に人工的な魔物はおらず、色々な本と資料が有る。


研究事務所だった様だ。


ハヤトは全てを回収すると【次元収納ボックス】にいれた。


2階に行ったキラービーが金属で出来たゴーレムの映像を送って来た。


念話で”良くやった、ありがとう”とキラービーにお礼を伝えると”マスター大好きです”って帰って来た!


”さて、2階のゴーレムはやはり魔石を奪い取るやり方で行くか”と独り言を言いながら、


「ドリス、あのゴーレムの気を引きつけておいてくれるか?レーザービームなどの飛び道具に注意しながらね、僕が隙をついて胸の魔石をえぐり取るから」


「わかりましたご主人様」そういうと一瞬で間合いを詰めて剣で斬りかかる。


ミスリルの腕が切れるがすぐに再生して、すごい力でドリスに殴りかかる。


ゴーレムの後ろががら空きになり、ハヤトは背中から手刀で背中のミスリル製を

突き破り魔石を瞬時に奪い取った。


その瞬間、ゴーレムは動きを止めて床に倒れてしまった。


魔石を含めてゴーレムを回収した。


2階建の建物には他に何もない様で一応各部屋の扉を開けて見て見るが資料も何もなかった。


外に出て、5階建の建物に向かう。


1階にはキラービーが送ってくれた映像からアダマンタイト製のオーガが1頭居るのが分かっていた。


再生能力は無いが剣のレベルが7有りそこそこ強い。


ドリスが倒すと言って一瞬で間合いを詰めるが相手の剣の振り下ろしも恐ろしく早い。


その剣を回避して裏を取り肩から胸にかけて袈裟懸けに斬りおろして殺したが魔石が生きており未だ動いて抵抗してくる。


ドリスが手刀で魔石を抜き取るとやっと止まった。


ハヤトが回収して建物の2階に上がる。


2階そのものにはかなり強力なシールドが施されていて入ることが出来ない。


中を見ると、椅子に人が座って居る。


良く見ると人は若干今の異世界人と違うのか髪の毛が全くなくどこか宇宙人ぽい感じがするが眉毛も何も無くというか既にミイラ化して動かない。


ハヤトが『白兎』でシールドを切り裂いて解いて、2階に入ってい行った。


するとハヤトの頭の中にミイラの古代人からのメッセージが飛び込んで来た。


”異世界から来た旅人よ、良くぞここまで来た、私達古代人は生殖機能が衰え遂には

魔界からの龍に敗れて滅んだが、お主はその龍さえも凌駕する力を持って居る。

是非、魔界龍が再び現れた時にはこの世界を救って欲しい。私達の知識を君に伝えるので私の頭に手を差し伸べてくれ”


ハヤトは一瞬罠かなと思ったが古代人の言葉を信じてミイラになった彼の額に手をかざすと、膨大な古代人達の知識がハヤトの脳に入って来た。


念話で”古代人の方、確かにこのハヤト、貴方方の意思を受け継いだ。安らかにお眠りください”と念じると、ミイラは崩れる様に霧となって消えて行った。


ミイラが霧となって消えて行く瞬間彼から”ありがとう”とメッセージを受け取る。


2階にはその他に何もなく、3階に行くとアダマンタイトとプラチナ合金製ゴーレム?が1体居るがゴーレムというより人型のアンドロイドの様だ。


ドリスが身構えて戦闘体制に入ろうとするが、ハヤトが止めて、「ドリス、彼はもう敵ではなく僕のしもべの様だよ!」


「ええ、ご主人様どういうことですか?」


「先ほど古代人の意思を受け継いだ瞬間から、ここを守る様にして居た人工的に作られた全てのものは私のいうことを聞く筈だよ見ててごらん」そう言ってハヤトが

1体の人型のアンドロイドに念を放ってひざまずかせた。


”はじめましてマスター、私はアレン。マスターの命じるままに動きますご指示をください”


【鑑定(アプレーザル)】を使って、アンドロイドの能力を見るとほぼドリスの力と同レベルで自由に変形し動物にも化けれるし、人間にも化けれる。


再生能力が有り、その速度は瞬時に近い。


剣のレベルは10、体力のレベルも1000。


レーザービームを放つ事が可能。


耐圧;10トン 耐熱;1万度


「アレン、我が家の執事としてドリスとともに私達をサポートしてくれ」


「勿体なきお言葉、マスターの意のままに私アレンをお使いください。私とこの上の階に居る『シルバードラゴン』は前のマスターがー命をかけて魔界竜と戦う為

の最後の切り札として作られたものですが、生憎前のマスターが命尽きて役目を果たさずにこの地を守っておりました」


「今後は僕がアレンに指示を出すから頑張ってくれ」


「かしこまりました」


ハヤト、セリーヌ、ドリスに加え今アレンが加わり四人で4階に向かった。


4階にはヒュドラが居た。


人工物体では無いので火を吐いて威嚇してくる。


「ドリス、首を切ると同時に再生を防いでレーザービームで切り口を同時に焼いて行くのがコイツをやっつける方法だよ」


「わかりましたご主人様」


そう言うと飛び上がりながら順番に9本の首を切っては焼きして殺した。


ハヤトが回収して、遂にはこの建物の最上階に上がった。


何とそこには頭を下げてハヤトを待ち構えて居る銀色に光って居る40メートルを超えるヒヒイロカネとプラチナ合金の銀色に光っている”シルバードラゴン”の龍が居た。


”マスター、お待ち申し上げて居ました。今後はこの世界をマスターとともに魔界龍

から救うべく戦います。何なりとご指示ください”


”君がアレンが言う『シルバードラゴン君』だね?


”銀龍君、とりあえずその大きいガタイを僕の肩に止まる程度に小さくなれるよね?

小さくなって僕の肩にとまってくれる?”


”お安いごようです”というと一瞬で20センチ程の銀龍に縮小してハヤトの肩に止まり頬ずりして来た。


セリーヌは驚いて居たが、ハヤトといると驚きも今更だと思う様になって来て居た。


5階に向かうとそこには人工物でない本物の魔物、ミノタウロスがハルバードを構えている。


【鑑定】すると再生もなく魔法も使わないがハルバードのスキルが8と高かった。


「ドリス、ハルバードに気をつけて特に再生も無いから剣技で戦って見て」


「はいご主人様』と間合いを詰めて剣を振るうが、ハルバードで軽くいなされる。


ハルバードを振るう速度が半端ではない。


しかしドリスもその速度に軽くついて行き、ハルバードを持つ腕を根元から切り落とした。


すぐに裏に回り首も切り落として止血した後【次元収納ボックス】に回収した。


すぐそばに大きなダンジョンコアと宝箱がある、宝箱には罠もなく開けると『魔石製造機』で念を込めると魔力の強さによりランクの違う魔石を創り出す事が可能、とでた。


これは今後魔石を必要とするマジックアイテムを作ったりする時に非常に便利だ。


【次元収納ボックス】に回収した。


このダンジョンは階層はなかったが建物構造が結局階層の様になっていて結局5階層で終わる様な感じの壇上だった。


1階に降りて来てギルドに戻ることにした。


『万能乗用車』に乗って、城門の1キロ手前迄来てハヤトは悩んだ。


ケープの街に根を下ろして生活をするからには毎回城門の前で乗用車を降りて歩い

て入るよりしっかり乗用車を見てもらって、魔道具の乗り物だと説明しておけば

今後は説明せずとも出入りできる。



そう思って、『万能乗用車』で城門までいき、兵士に今後はこの魔道具の乗り物で

出たり入ったりしますからよろしくお願いしますと伝えて、他の兵士達、詰所から

呼んで見せてから街に入って、ゆっくりギルドまで『万能乗用車』で走って行った。


道行く人たちが奇異なものを見る目で驚いて居たがそのうちなれるだろうと、スルーして、ギルド脇に停車した。


ハヤトとセリーヌとドリスがギルドに行きアレンが乗ったまま車に【結界】を張って待っている。


裏手に回り、【次元収納ボックス】から回収した魔物やミスリル製魔物の数々を納品して、冒険者ギルドの食堂でお茶をしながら待つこと30分、納品書ができて受付のキャロルにダンジョンコアと地図を渡した。


「ハヤト様、セリーヌ様それとドリス様三人のカードもお預かり致します」そう言ってカウンターの奥に消えて行った。


暫くすると、「計算ができました、地図とダンジョンコアの代金も入れて白金57枚金貨53枚銀貨38枚銅貨68枚ですがカードに全部入れますか?」


「白金だけ全部カードに入れてあとは受け取ります」


「わかりました白金57枚をカードに入れましたのでカードには白金136枚金貨

104枚銀貨58枚銅貨260枚になってます。それとドリス様の冒険者ランクは

Bランクにアップしております」


「ありがとう」とハヤトが答えた。


「セリーヌ、家に帰ってからお昼食べようか?」


「そうしましょう!ハヤト様の作るお昼が美味しいですから」


三人はギルドを出てアレンの待つ『万能乗用車』に乗って家に帰った。


アレンもドリス同様、『万能乗用車』を運転できるように設定変更を施し、【次元収納ボックス】の扉も同様にアレンが操作出来るようにした。


アレンがハヤトと会う時から執事服に身を纏っていたのは古代人の遊び感覚だったのだろうか?


そんなことを考えながらセリーヌとの昼食を作り始めるハヤトだった。


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