第13話 パーティーでダンジョン制覇

ハヤトとセリーヌは神級魔法や精霊術を訓練して町中を驚かしてしまったが何食わぬ顔をして翌日冒険者ギルドの扉を開けて一番近いダンジョンの場所と名前をキャロルに聞いているところだった。


「この街から一番近くにあるダンジョンは”蒼のダンジョン”と言って、西門を出て3キロほど北に行った小高い丘が連なった所に屋台が出て入り口には衛兵もおりますのですぐわかると思いますよ」


「もう、踏破はされているのですか?」


「いえ、未だ3階層までで4階層以上はどなたも踏破されておりません。ですから地図制作も依頼しますのでよろしくおねがします」


「それじゃ、行って来ます」と言ってセリーヌと西門を出たら二人は【飛翔(フライング)】であっという間に”蒼のダンジョン”の入り口に着き、衛兵にカードを見せて二人で降りていく。


ハヤト達二人は入り口が洞窟のように狭く暗い中を入ると、急に眼前が開けてしかも魔石のお陰か照明もいらない程明るい。


【サーチ】を掛けながら進むと最初にホーンラビット10匹が群れでいる。


『白兎』で首を切り落として行く。


10匹を全て刈り取り、止血をして【次元収納ボックス】に入れた。


更に進むとソルジャーアントの数百匹の群れが来る。


ハヤトは【ファイアボム】3発で殲滅させた。


「ハヤト様、たまには私の方にも獲物を回してください。少しは弓や精霊術の練習もして見たいですよ」とハヤトに愚痴るセリーヌ。ハ


更に進むと先に入った五人組のパーティーが岩に座り込んで休憩しているがソルジャーアント達にやられたと見えて皆、満身創痍の状態だ。


見るに見かねて、【回復魔法(ヒール)】で治してあげて、ハヤト達が先に行くことにした。


2階層に行くと森林のステージで直ぐに【サーチ】に引っかかったのがファングウルフの群れで15頭が向かって来る。


セリーヌが精霊術で土の精霊ノームによって【土針(アースニードル)】で5匹を串刺し、後は火の精霊サラマンダーに頼んで【ファイアボム】を放ち15頭を殲滅した。

15匹を【次元収納ボックス】に回収して更に進む。


【サーチ】に引っかかったのはウォーターベアだ。


セリーヌが弓を構えて頭と首と胸に連続して放たれた矢は全て狙った所に当たり簡単にウォーターベアを倒して【次元収納ボックス】に入れた。



3階層は海が目の前に広がっている。


【サーチ】すると先ず近くにクラーケンが1匹と1キロ先にケートスがいることがわかった。


【地図(マッピング)】と【ウォータースプラッシュ】の合成魔法でクラーケンとケートスを倒し、セリーヌが水の精霊ウンディーネの力で水の竜巻を起こして二人のいる陸までクラーケンとケートスを飛ばしてもらった。


クラーケンとケートスを【次元収納ボックス】に回収して二人で【フライング】で海を渡り4階層の入り口に到達した。


4階層は草原ステージでそこにはオーガがいる。


かなりでかい剣を構えてのそのそと向かって来る。


動きはさほど早くはないが歩幅が半端ないのでハヤトとの間合いは直ぐに詰まった。


ハヤトは顔めがけて【ファイアボール】を普通の威力で抑えずに放つと首から上が吹っ飛び一瞬で倒した。


胴体を回収して次に進む。


相変わらずセリーヌは呆れ顔でハヤトを睨んでいた。


5階層は岩場ステージ。


岩竜がいて岩の塊を口から吐き出して飛ばして来る。


当たれば常人は即死だ。


ハヤトは岩竜が岩を飛ばす瞬間を狙いすまして『白兎』で首を切り落として【次元収納ボックス】に入れた。


6階層は密林ステージだ。


暑さと湿度が凄いが、ハヤトは神様からもらった黒のコートを羽織っているために耐熱、耐湿度、耐寒、耐打撃等特別性のコートだ。


蒸し暑さも気にせず動ける。


猛毒を持つスフィアフロッグがいる。


セリーヌが人差し指から【ファイアスプラッシュ】を魔力調節を小さく先鋭化して放った。  


炎の針がスフィアフロッグの目を射抜いて頭を貫通して葬った。


更に進むと幹に絡みつくポイズンスネークの大蛇がいる。


ハヤトはシールドを洋服のように纏ってそれでも飛ばして来る毒液を避けながら間合いを詰める。   


毒液が落ちた地面は溶けてボコボコと穴があく。


【ウォータースプラッシュ】で頭を打ち抜き再生を防ぐために先端を焼いて再生できなくして殺した。


このポイズンスネークの大蛇も回収し6階層までは踏破した。


7階層は砂漠ステージでハヤトとセリーヌは砂漠の30センチ上を滑るように【飛翔(フライング)】魔法で移動して行く。


移動しながら【サーチ】をしてサンドワームが襲って来るのを検知した。


ハヤトを飲み込む勢いで砂から飛び上がりハヤトの足を襲ってきた。


【サーチ】を掛けていても危うく体ごと飲み込まれる素早さだ。


一瞬の差で高く飛んで避けることが出来た。


砂の中に再び潜り込む瞬間を逆に狙いすまして、【ファイアボム】を飛ばして頭部

を吹っ飛ばして回収した。


更に進むとサンドスコーピオンが待ち伏せている。


【シールド】を掛けて警戒しながらゆっくりと進みハサミを出してきた瞬間を狙って『白兎』で頭部を切り取り何とか殺すことに成功した。


8階層はジメジメして死臭が立ち込める洞窟のステージだった。


床に罠が仕掛けられている。


【サーチ】でそれを検知したハヤトは【解除(ディスペル)】魔法で罠を取り除いて慎重に進めて行く。


【照明(ライティング)】で照らしながら進むとスケルトンが数十体が剣を持って襲ってくる。


ハヤトは【聖魔法】で一気に浄化して消し去った。


次に現れたのは、ミイラ20体程だ。


今度はセリーヌの出番だ!ここは火の精霊サラマンダーにお願いして【ファイアボール】で全て焼き尽くした。


やっと9階層にたどり着いた。  


古い建物が破壊された遺跡跡のようだ。


建物として形をなしているものは一つもなく石の崩れた瓦礫が散乱している。


石に溶け込むようにガーゴイルがいた。


【サーチ】を掛けてないと石の彫刻と見分けがつかないくらいだ。


『白兎』を構えて羽を先ず切り落として逃げれないようにした。


3体いるので1体ずつ狩って行く。

 

ゆっくり1体ずつ首を切り落として回収した。


そのうちの1体は首を落とす前に口から炎を吐きハヤトに放った時には驚いたが神様のくれた黒のコートでそれを防いで、何事もなく首を落とした。


ついに10階層にきた!


10階層は火山が噴煙を上げ、硫黄の匂いが強烈に臭って来る。


近くには、赤くドロドロした溶岩流がながれている。


溶岩流の向こう側に、大きな黒い影が見え、禍々しい魔力を感じた。


【身体強化】で1メートル程の溶岩流の流れをジャンプ一番飛び越えて黒い影に近づくとそこにいるのは竜の仲間でも上位に属する赤龍だ。


ハヤトはシールドで身を包み、『白兎』を構えて間合いを詰めた。


セリーヌは目の前に炎を防ぐ岩の壁を二重にして見守っていた。


”人間よ、よくぞここまでたどり着いた。お主が最初で最後であろう人間だ!”


「何故人語を話せるのだ?上位種の龍は人語さえも話すことができるのか?」


”我ら赤龍は人語など容易いことよ、ところでお主は本当に人間か?違う匂いがするが・・・”


「俺は、此の世界に呼ばれた転生者だ!少し人間と違う匂いがするかもしれん」


”死に行く人間を気にしても詮無いこと、そろそろ戦いを始めて、さっさと終わりにしようぞ!”


そう言うと赤龍は口に【火炎咆哮】の珠を貯め始め次第に大きくして行く。


ハヤトはそれを放つ前に【飛翔(フライング)】魔法で赤龍の首の高さまで飛び『白兎』を一気に首めがけて打ち下ろした。


赤龍の鱗は物凄く硬く通常の剣など刃が折れて太刀打ち出来ないのだが、ハヤトの一撃は紅型の秘伝『兜割』だ。


スパッと赤龍の首が切れて次第にずれて行く。


”おおお主は人間では・・・”と唸りながら地面に首がズドンと落ちた。


赤龍の逆鱗の部分の魔石を無属性魔法【奪取(スティール)】で取り出すとスゲー大きな魔石でランクが10もあった。


此の『ダンジョン』にはそういえば途中に罠が一箇所しかなかったが何やら箱が置かれている。


これがいわゆるダンジョンの宝箱と言われるものらしい。


開けるときに罠に気をつける事とラノベの異世界本で読んでいたのでハヤトは

【サーチ】して罠を確認する。


”箱を開けると毒針が顔に刺さり死亡する”と出たので【ディスペル】で罠を解除してから開けると、中に球体のキュービックのようなボールが出てきた。


【鑑定(アプレイザル)】を掛けて見ると、”思い描く全てのマジックアイテムを作り出す、各ボタンによってアイテムの種類が異なる”とでた。


武器・防御・生命・食物・生活の5つのボタンに分かれていた。


何やらとても”レアなマジックアイテム”のようだ。


名前は『マジックアイテム創造ボール』となっている。


【次元収納ボックス】に入れた。


宝箱の隣にダンジョンコアが有り、かなりでかいコアだ。


これも回収して10階層に置かれている転移盤に乗って入り口に転移して出てきた。


衛兵に『蒼のダンジョン』を制覇した事を告げて、冒険者ギルドにゆっくり歩みを向けた。


冒険者ギルドの裏の素材置き場にまず行って、討伐した魔物の山を【次元収納ボックス】から取り出し山積みにしたらチーフのクリフォードが飛んできて、


「ハヤト、早々に『ダンジョン』を踏破したのか?して、どこのダンジョンだ?」とクリフォードが興奮して聞いて来る。


「はい、此の近くの『蒼のダンジョン』です」


「あの未踏破のダンジョンは最後の魔物は・・・、やはりドラゴンか!しかし凄い

量だな。小1時間精算するのにかかるから納品書ができるまでギルドの食堂でお茶でも飲んで待っててくれ」


ハヤトはギルドの受付のキャロルを探したが、他のお客の対応をしていたので

もう一人の獣人族の猫耳の可愛いアルマという子に『蒼のダンジョン制覇』を告げて、ダンジョンコアと10階層迄の地図を見せた。


アロマはコアを見て慌てて「少しお待ちください」と言って2階のギルマスの部屋

に上がって行った!


2階からマスターのケントが降りてきて顰めっ面しながら、


「やはりダンジョンに潜ったのか?10階層はドラゴン?此のコアの大きさから見て赤龍だったのか?」


「ええ?流石ケントさん、よくわかりますね!でかい赤龍でした。

しかも人語をしゃべれてそこそこ強いのでしょうが『火炎咆哮』を吐く前に首を切り落として刈り取りました」


「これが依頼された10階層迄の地図とダンジョンコアです」と言ってハヤトはケントにコアと地図を渡した。


「それと、ケントさん、僕とパーティーを組んでくれるセリーヌさんです。ケントさんはもしかしたらご存知かもしれませんが、今後二人で頑張りますので宜しくお

願いします」


「ハヤト、どこで”滅亡の弓”のセリーヌと知り合ったか知らんが二人とも上位ランクの冒険者だから余り他の冒険者を刺激して問題を起こすなよ」


「僕なんか目立たないようにしているんですから問題なんて起こしませんよ」


そんな会話をしていたら、納品書が上がってきて、それをケントに渡した。


「おお、すげ〜量の魔物だな、一人や二人が半日でやれる内容ではないな!本当にハヤトは人外だな」とケントがぼやいている。


お金は猫耳のアルマちゃんから白金25枚金貨87枚、銀貨55枚銅貨30枚を

受け取ったがそのうちの白金25枚、金貨80枚、銀貨50枚、を冒険者カード

に入れてもらい一気に冒険者カードの金額が増えた。


アルマちゃんが「ハヤト様、カードには白金も加わり可成の金額になって、称号にドラゴンスレイヤーの称号がつきました」と言ってきた。


冒険者カード内の貯金額を白金25枚、金貨106枚、銀貨85枚にして、残りは

ハヤトのポケットにいれた。


途中で財布を購入すると言って二人で小物屋に入りすぐ出し入れできるように財布

を買って銅貨50枚をカード払いでした。


先ほどのダンジョンの金額の残りをその財布に入れて金貨7枚銀貨5枚銅貨30枚

を入れた。


”へー、ドラゴンを倒すとドラゴンスレイヤーっていう称号がつくんだぁ!”と感激

するハヤトだった。


セリーヌとハヤトの冒険者カードにはドラゴンスレーヤの称号がついた。


またマジックアイテムとしてとんでもなく貴重な『マジックアイテム創造ボール』を手に入れてセリーヌと二人で少し遅めの昼食をギルドのそばに有るダニーの定食屋で昼ご飯を食べることにした。


「ダニーの親父さん、定食2人前お願いします」と言ってカードを出した。


「毎度あり〜、きょうはマナバイソンステーキ300グラムだ、パンは食べ放題で

スープはケルピーのスープだから美味いぞ!」


二人で美味しく食べてダニーの親父さんにお礼を言って、宿に向かった。


宿に着いた二人は早々2階の自分達の部屋に入った。


「セリーヌ、何か欲しい物ある?マジックアイテムでも良いし・・・、お金幾らか

持っていた方が良いから今度ダンジョン制覇したら全てセリーヌのカードに入金すれば良いかな?」


「本来私はハヤト様の奴隷の身だったのでお金などハヤト様が持って入れば良いのですが」


「でも、アクセサリーとか色々洋服も含めて買い揃えたいとか希望が有るでしょ?そ

んな時自由に使えるお金が有った方が良いよ、それと持ち運び便利なマジックリングで腕に嵌めて収納無限のアイテムを作るから待ってて」


そういうと、ダンジョンで手に入れた宝物の『マジックアイテム創造ボール』の生活のボタンを推して”次元収納リングで容量無制限”を念じながら待つこと数秒。


ハヤトの目の前に綺麗な彫刻を施した腕輪が現れた。


「セリーヌこれを嵌めて見て」


「ちょっとサイズが大きい気がしますが、あれっサイズが小さくなって私にぴったりのサイズになりました」


「ちょっと僕のところに入っているセリーヌの洋服関係を出すから入れて見て」


そういうと、ハヤトから受け取って洋服類を触ってリングに入れるイメージをするとサット消えてリングに入ったようだ。


セリーヌが再びスラックスを頭の中でイメージして出す気持ちになった瞬間目の前にスラックスが出て来た。


「ハヤト様、すごいです。これなら弓矢もダガーもこの中に入れて移動できるし

お昼も私用に野菜を入れて置けますわ」


「このマジックリング は時間が止まっているので熱い飲み物は熱いまま、新鮮な肉とか野菜は新鮮で腐らないからね。それとこれはセリーヌ専用にしたので他の人間が盗んで使おうとしても使えないマジックリング だから」


「ありがとうございます。肌身離さずつけておきます」


二人はその後交互にシャワーに入って夕食の前にケーキタイムでセリーヌにはチョコレートケーキ、ハヤトは昔から好きなサバランを出して紅茶でいただくことにした。


明日の予定はダンジョンではなくクエストを見て依頼達成をしようと話しあった。

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