第57話 育つ子

彩南が小学校四年生、彩幸が小学校二年生、彩斗が小学校一年生になり、愛彩は、保育園があと二年で卒園となった。


五人目の子供は、女の子だった。

生まれるときは、潤が立ち合いだった。

すごく安産だった。

お名前は

「裕彩」

ゆあちゃんと名付けた。

裕かで彩りある人生でありますようにと。


首が座ったころに、潤も仕事が忙しくなり、私はまだ復職まで二か月あった。

子供たちもある程度自分のこともしてくれるから、とても助かっている。



実は裕彩が生まれるまで、春樹と何度か会っていた。

春樹は身重な私にすごく気を遣ってくれた。

本当は私のことを気に入ってくれていたことも話してくれた。

その勢いで、やっぱり潤とは結婚はやめようかと何度も考えた。

お腹の子供が生まれて、落ち着いたら必ず連絡してねと、言われていた。


彩南、彩幸、彩斗は元夫が見てくれるし、愛彩は実家の母が見てくれる。


私は潤が帰りが遅いことが好都合だった。

昼間のうちにやることを済ませては、久々にお友達と会うからとかそういう理由を付けて、裕彩をつれて春樹と会った。

もちろん男女の関係もあった。


むしろ、春樹とは男女の関係でないといられなかった。


春樹は、子沢山である私と、結婚とかそこまでは考えなくとも付き合いたいとずっと言い続けてくれていた。

結婚したからと思ったけど、私の貞操観念はめちゃくちゃだった。


したいときにしたいことをする。

子供は可愛いけど、いうことを聞いてくれなかったら、イライラして、全員暗い部屋に閉じ込めて、春樹とメールのやり取りをしていることもあった。


そう、私は自分が一番かわいいんだと思う。

大切な子供たちのこともあるけれど、自分の欲望とてんびんにかけてしまうことがある。

その時によって優先するべきことが違うことがある。


私は育つ子供たちに家事を次々に教え、彩南と彩幸は夕飯の一品や二品は作れるように教えたし、洗濯のしかたも教えていた。


子育てに教科書なんてないからこれもいい勉強だと思った。

でも、目的は春樹に会いたいと思ったりもして、いい動機ではなかった。



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