第7話 キャバ嬢と有名人 

キャバクラにはにいろいろな世界にいる人たちが来ます。

 大会社の偉い人、政治家 芸能人、その他著名人などいっぱいきます。

 それで、お客さんとキャバ嬢の関係って、親しくなると友達どうしみたいになってることがよくあります。先ず ”ちゃんずけ”をします。

 びっくりするような偉い人に、平気でずけずけ言っちゃたりしています。

 私もちゃんずけで呼んでる人が、20人くらいいます。もっと多いかな、30人くらいかな。


 でも普通は、学校の先生や会社の上司を「やっちゃん、げんちゃん」とは呼べないよね。(高校のときひとりだけ〈淳ちゃん〉って呼んでた先生がいたけどこれは例外です)

 やっぱり、私たち恵まれてると思います。

 相手の懐にすぐに入っていけます。


 お客さんの側からみても許す気になれる存在なのね、きっと。

 それを上手に使える子と上手に使えない子がいます。

 上手に使える子って実は,一般の社会では女の子どうしの中では嫌われることが多いタイプです、(男に媚びるいやな女)と言われるタイプです。女の多い職場ではよくあることです。


 実は私がそうでした。会社に努めていたころは女友達は少なかったです。

 今なら、いじめの対象になってたかも知れないです。

 それがアルバイトでこの世界に入ったら、パーッと世の中が明るく見えてきました。この世界で生きていこうと決めたのはこのときでした。


 今日のお客さんは私がこの店に入って初めて、同伴出勤をしてくれたお客さんです。

 店の外で話をする機会ってほかにはアフターもあります。でも私はアフターが少ないので同伴の時がお客さんと外で会う機会です。    

 知ってるとは思うけど参考までに、同伴出勤とは店の外で会って一緒に店に入ることをいいます。

 店にとっては、確実にお客さんを連れてくるわけだから、メリットあります。

 で、お客さんのメリットってなんだと思います?


 私はお客さんを、デートしている気分にさせてあげることだと思ってます。

 恋人のように振る舞い、他人の目には自然なカップルのようにみせます。

 もちろん、これは疑似恋愛です。当然だけどお客さんもそんなことは知ってます。

 案外、年配のお客さんは、同伴出勤をしてくれます。


 疑似恋愛と知ってる人とだけ同伴出勤が許されます。

 本気になってしまう人とは同伴出勤はしちゃダメです。当然ですね。

 もし、奥さんがいる人だったら家庭崩壊の元です。


 で、実はここでキャバ嬢の性格がでます。お客さんの性格とか家庭とか立場を考えずに同伴出勤をせがむ子がいます。お店にも責任はあると思います。

 同伴出勤を月5回以上とか10回以上とか、義務付けてる店もあります。

 もう一つの問題、それはね買い物などをおねだりする子がいるってことです。

 お客さんは多分なにもいわずに買ってくれると思います。

 でも、ほんとうの心は分かりません。

(実は私もいちどだけ口紅を買ってもらったことがあります、シャネルの高いヤツ)


 このタイプの子がはじめに書いた(お客さんの懐にはいるのが上手な子と下手な子)がいたわよね。下手なタイプが世間一般では常識があって真面目な子と思われていることが多いです。でも、そんな子が問題を起こすことが多いです。疑似恋愛でなくなってしまうのもこのタイプです。十分ご注意ください。


参考までに同伴出勤のキャバ嬢のメリットは同伴指名料、普通の指名料よりすこし高くなります。時給にも影響します。


 参考までにアフターとは、閉店後に食事などをすることです。

 これは店のメリットはないから、当人どうしの関係だけできまります。

 帰りのタクシー代だけが目的でアフターする子もいます。

 おたがい十分ご注意ください。


 今日、同伴出勤をしてくれたお客さん諸岡さん〈もっちゃん〉って呼んでいます。

 もっちゃんは結婚してるけど子どもはいません。

 奥さんは元、アイドルタレントだった人です。

 きっと名前をいったら知ってる人いると思います。


 で、もっちゃんが私を指名してくれるきっかけは、もっちゃんの、仕事の関係で付き合いのある有名芸能人さんと一緒だったのです。

 そのとき私、その有名芸能人さんを普通のお客さんとして応対してました。

 

決して「あ、なになにさんですよね?」なんて決していいません。

[逆に『テレビに出ている○○さんですね』と言わないとご機嫌そこねる人もいます〕

 相手の懐にすぐ入っていけるからって、いったのとは矛盾するんだけどその時はこの人、浮気が発覚して騒がれていたときだったのです。


そんなときってきっと、有名人であることを知られたくないんじゃないかと思ったので、話題を全部男性ならきっと、皆さんが好むだろうと思われるものにしました。

敢えて有名人であることを避ける話題にもっていこうとしました。

 その人も、もっちゃんもさすがでした。私の見え透いた心を見抜いていました


「いいんだよ、もうなにがあっても平気だから」と言って逆に私を救ってくれました。

 緊張でぎこちなかった私が一瞬で自分に戻りました。

 あとはもうすっかり友達になっていました。

 もっちゃんはそのとき同伴出勤を約束してくれました。

 有名芸能人さん、もっちゃん、ほんとうにありがとうございました。


 それじゃあ、今夜もお休みなさい。。
































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