4.どうにか元気そうで良かったわ
女は、アッシュブラウンの髪をふわりと背中に流した、長身の美人だった。
目鼻立ちも
「ハイ、パパ! どうにか元気そうで良かったわ」
「
「イエース、アイアム! ただいま参上、みんなの身元保証人、
どういう勢いなのか、豊かな胸を張ってサムズアップだ。隣の黒人警官が、
黒人警官と
さっさと
「荷物はもう積んであるから。全部だと思うけど、一応、確認して」
黒人警官は見送りの態勢で、まるで
キャンピングカーが走り出す。運転手は別にいるようだ。良く見れば運転席との間には、仕切りがある。窓もしっかり
「いろいろ聞きたいだろうけどさ! 先に、こっちから聞かせてよ! なになになに? パパ、なにやらかしたのよ?」
「父さんと呼べ。なにも、やらかしとらん。おまえが遅れたせいで、空港でケンカに巻き込まれて、このざまだ」
「その前よ。入国からFBIに完全マークなんて、なかなか経験できることじゃないわ! あたしも昨日から指示に従ってるだけで、くわしいことは全然、聞かされてないのよ」
「FBIっ?」
FBI、連邦捜査局はテロ活動や複数の州にまたがる広域事件、強盗事件などを捜査するアメリカの警察組織の一つだ。なんらかの仕込みがあるとは気づいていても、さすがに、スケールの広がり方が
「不幸な事故のFBI、か……」
「や、やや、やめてくださいよ、
「不倫旅行がバレたとか? それにしたって大げさよね! FBIを
「そんなわけがあるか!」
「『奥さん、離婚ならネバダに行きな。FBIのタマはデカすぎる』『最高よ。あいつのアソコにブチ込む
「はいはい、はーい。なんか、みんなイメージおかしいけど、呼ばれて出てくるFBIでーす。
運転席との仕切りが開いて、男が一人、現れた。運転手は、さらに別にいるようだ。
こんな空気でよく出てくるな、と
男は二十代後半ほど、
「連邦捜査局、捜査官のアシュリー=アーミティッジです。これ、身分証ね。言わないのも不誠実だから言うけど、タマも銃も運転席にあるよ。
「あたしも含めて、善良な日本人よ? この状況で銃を強奪するほど、ワイルドじゃないわ」
巻き込まれたにせよ、空港で乱闘騒ぎを起こした
昨日から指示に従っていた、という
「でもさ、これもめったにない機会なんだから、ちょっとだけ見せてよ! FBIって言ったら、アレでしょ? でっかいリボルバーで、自動車を真正面から吹っ飛ばす、みたいな!」
「それ、どこのFBI? イメージおかしいってば。ぼくたち一応プロなんだから、今時リボルバーなんて使わないよ」
「えー、なんでよ? 銃なんて、
「それ、どこのロサンゼルス?」
「うん。このキャビンは
「本当に囚人のようですわね。それにしては
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