第115話 精霊さん達とご近所さん達

 ルラン奪還の話し合いの後、私は新しい精霊、クーリンを皆に紹介することに。


 聖獣様と闇様も呼びました。




「新しい加護精霊のクーリンです。属性は水。水の精霊とバハムートのハーフだそうです」




『基本属性を異端でコンプリートしたか。集めて「いません!たまたまです!」




「ぼくもそうだけど、今回も事故みたいなものだったからね」




『ロザリンド…』




 コウの言葉に呆れた視線の聖獣様。うん。これは仕方ない。




「学習しない女と呼んでください…」




「アルジ、ワルクナイ」




「もふ丸…!」




 なんと心優しい毛玉なんだ!私はもふ丸を抱きしめた。




「ママ、ずるい!アリサもぎゅう!」




 可愛い我が娘!もちろんぎゅーしてあげますよ!




「ぎゅー」




「きゃあ!」




「ロザリンド、ままなの?」




「違うよ。あのアリサはロザリンドの魔力とマグチェリアから生まれた精霊だからだよ。僕はスイ。緑の精霊とエルフのハーフだ」




「俺はハル!風がメインだけど、全属性の精霊だ!ロザリンド、俺も混ざる!ぎゅー!」




 ハルも皆まとめてぎゅーしてやる。




「ぼくはコウ。火の精霊とドラゴンのハーフだよ。よろしくね。お姉ちゃん、ぼくもぎゅー!」




 コウも来ました!最近撫でてなかった気がするよ。ひんやりスベスベです。そわそわするクーリン。来る?よく見たら、スイと闇様もそわそわしてるし!




「ボクは土の精霊ともぐらの獣人のハーフだよぉ。名前はハクだよぉ。よろしくねぇ…ボクもじゃれるとディルクさんヤキモチやくよねぇ…」




「今日だけ解禁!スイもおいで!」




「し、仕方ないから行ってあげるよ」




 妖精さん姿でスイも来ました。




「じゃあぁ、ちょっとだけねぇ」




 ハクは私達をすっぽり包んでしまいました。




「きゃー」




「我はロザリンドの加護予定精霊だ!属性は闇。ケツァルコアトルでもある」




『我はこの国で聖獣と呼ばれておる。属性は光。我もロザリンドの加護予定精霊だ』




「おねえちゃん、かごたくさんなのね」




 そんなクーリンの声を聞きながら、ふと畑を見ると、兄が作業の手を止めてこちらを見ていた。微笑ましい、と言わんばかりの慈愛に満ちた表情でした。




「闇様、クーリン、聖獣様もカモン!」




 闇様はいそいそと、クーリンは喜んでぎゅーされに来た。聖獣様も私の足元。




 そして、テンションが上がったのか、闇様がケツァルコアトルになっちゃいました。でかいなー。これ下手したら、襲われて巻き付かれてるみたいだよね。






 あ、兄の表情が引き攣ってる。そういや闇様のケツァルコアトル姿が怖いんだっけか。更にコウが多分ノリでドラゴンになりました。久しぶりだね。あれ?前よりでかくね?しかもトゲ…いや…ツノ増えてる!栄養良すぎたか!?




「がおー」




 ノリで火を吹くコウ。兄の顔色が悪い。




「クーリンもおおきくなる!」




「え」




 水色金魚はあっという間に巨大魚…魚か?少し竜っぽい…になった。ああ、ゲームで見たよ!リアルバハムートでけぇぇぇ!




「でっかぁぁぁぁ!?」




 クーリンはでかくなれるみたいです。大人が何人…いや、2~30人は乗れそうだ。


 兄が悟りをひらいたみたくなってる。兄がむしろ大丈夫!?




「ワタシモ、オオキイ、ナル」




「は?」




 もふ丸も巨大化しました。




「えええええ!?」




 クーリンはバハムートのハーフだからなんとなくでかくなる気はしてたけど、もふ丸、お前もか!




「はぅ…もふもふ」




 しかしモフ心地は変わらず最高です。




「ロザリンド!無事なの!?」




 もふ丸で隠れて見えなくなった私を心配したのか、農作業ルックの兄が駆け寄ってきました。




「大丈夫、もふ丸は私達に怪我させたりしないよ。ね、もふ丸」




「ウン」




 兄は明らかに安堵した様子になりました。心配かけてごめんなさい。




「とりあえず、ご近所から巨大モンスターが我が家で暴れてるとか通報されたら困るから、皆元のサイズに戻ろうか」




「…皆、戻って!」




 そして全員元の姿になったところで、ディルクから通信魔具による連絡が来た。




「あのさ、ローゼンベルク公爵邸に巨大モンスターが多数出没って情報が殺到してるんだけど、多分ロザリンドの精霊とかだよね?ドラゴンはコウだろうし。後は闇様辺り?」




 既に通報されてたぁぁぁぁ!!事情が解っているディルクが対応してくれて助かった!騎士団に余計な仕事をさせるとこだった!!




「あと、新入りの精霊さんと魔獣さんもです」




「……わかった。ご近所の人もびっくりしたんだね」




 ディルクは納得してくれて、騎士団派遣は不要と判断してくれました。




「ロザリンド、ご近所にお騒がせした謝罪と説明、行こうか」




「はい…」




 私はその後、今日ローゼンベルク公爵邸に現れたのは私が飼っている魔獣であるという説明をお詫びの品と共に兄と一緒にまわった。マーサも付き添いをしてくれた。


 ご近所の反応は、ロザリンドちゃん達が無事ならいいんだよ、いやぁびっくりした…ぐらいの反応だった。なんか軽くないか?とマーサに聞いたら後悔した。




「最近ローゼンベルク公爵邸では、巨大な樹木が生えたり消えたり(ユグドラシルさんが成長したとき見られてたらしい)サボテンが敷地に放し飼いになってたり(放し飼いではなく遊びにきてる)ドラゴンが火を吹いたり(コウだね)野菜が走り回ったり(兄作成の野菜。たまにしゃべる)しているので、ご近所の皆様も慣れたのでしょう」




「「……」」




 何も言えませんでした。ご近所の皆様、すいませんでした!

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