第105話 運動会参加と賢者様
今日は午前は学校、午後騎士団です。
ようやくマトモに授業が受けられます。賢者のジジイは奥方様にしこたま怒られたらしい。いい気味だ。流石に今日はマトモにやるだろう。
そう考えて教室に入ると、不本意ながら子分に無理矢理なった獣人2人が私に寄ってきた。
「「姐御は体育祭参加しますよね!?」」
クラス内の親睦会も兼ねて、この時期に体育祭をやるそうです。日にちを確認。特に用は無いので、頷く。
「姐御はやめて。体育祭は出ようかな」
「ッシャアアア!」
「姐御が居れば、優勝はいただきだぁぁ!」
だから姐御はやめろってば。聞いちゃいないな。獣人の…いや、クラスが…テンション皆してハンパない。なんでだろう?
「優勝しますと、クラス全員で旅行と夏休みの宿題無しだそうですわ」
全くクラスのテンションについていけない私に、ミルフィが教えてくれた。
「ミルフィ、私はミルフィの為なら優勝します」
「…ロザリィは本当に実現しそうな気がしますわね。私は運動は不得手なので応援いたしますわ」
最近ツンがないミルフィはマジ天使です!
ちなみに、種目は徒競走・リレー・騎馬戦・障害物競争・綱引き・玉入れ・借り物競争だそうです。
「姐御は何に出ますか?」
「リレーっすか?」
「全部」
「え?全部?」
「マジっすか!うおお、姐御かっけぇ!」
仕方ないじゃないか。ロザリアがやりたいって言うんだもん。
「大丈夫ですの?騎馬戦は獣人の上級生も居ましてよ?」
普通の気遣いがむしろ、私が普通でない証明な気がする…しかし正直な私は説明した。
「うん…SSランクモンスターより強い上級生は居ないかな…ここの上級生ならモンスターに例えるとどんなに強くても、よくてBランクかな…」
「…ああ」
納得された。悲しい。こら、ラビーシャちゃんや。盗み聞きして主人の不幸を笑わないの!
「よし!勝つぞ、皆!!」
いつの間にかクラスを仕切ってたらしいアルディン様。さすがは未来の国王様。立派なリーダーですな。
そして、授業。ジジイはちゃんと来ました。
ざわつく皆。まぁ、そうなるよね。ジジイ、見た目若いからね。中身ジジイだけど。見た目は透き通るような銀髪と赤い瞳の美少年です。中身ジジイだけど。
賢者の授業は普通でした。良くも悪くもなく普通でした。
「…普通だな」
「姐御の授業のが面白かったです」
「賢者より姐御が授業したほうがいいんじゃないですか?」
こらこら、アルディン様と自称子分達よ。ジジイがへこむからやめなさい。
「ありがとう。でも、前回は賢者様がいきなり授業をボイコットしやがったからしただけ。2度とやらない」
「「そうだったんすか」」
呆れた視線を向ける自称子分とアルディン様。
「ロザリンド、君どんな授業したわけ」
説明しました。しゃがみこむジジイ。なんか変だった?
「この非常識弟子!」
「常識について語るのでしたら、ボイコットして弟子に押し付けるのはやめて下さい。お師匠のが非常識です」
「…屁理屈弟子!」
「…いや、今の正論だろ」
アルディン様からツッコミ入りました。
「つーか、自分がサボっておいて文句言うとかねーわ」
「うん。ないわ。しかも授業つまんない」
言葉の暴力…いや自業自得だけど、ジジイがフルボッコです。
「…賢者様がこんな方だったなんて」
さりげなくトドメを刺したミルフィ。ジジイ涙目です。
「なんなの!?これが噂の学級崩壊!?」
「いや、普通にじい様がディスられてるだけです」
ちょっと前、学級崩壊手前だったのは黙っておく。ジジイは涙目で私に文句を言う。
「こないだのことを根に持って、根回ししたんだろ!」
「してません。したのは奥方様へのチクリと、授業評価のハードルを上げたのと、論文の押し付けです」
「予想以上に色々してるじゃないか!」
「私の座右の銘は恩は倍にして返せ。恨みは10倍にして返せです」
「恨みの倍率がおかしい!」
「いいえ。次を絶対起こさせないために、細やかな嫌がらせをしただけです」
「なんて奴だ!」
「先にやらかしたのはじい様ですよ。大人なのにやらかした事に謝罪もしてないじゃないですか。奥方様にチクるからな」
「すいませんでした!」
ジジイは見事な土下座を披露した。奥方様に叱られるのが1番嫌なんだよね。
「…どういう師弟関係なんですの?」
「…こういう感じ?基本自習ですが賢者様が興味があることに引っかかれば教えてもらえます。対価は家事です。賢者様の家は基本お部屋ではなく汚部屋なんで、掃除して必要な物ごと捨てて賢者様とケンカになったり、賢者様がなんかやらかして私が奥方様にチクる感じです」
「「「「なるほど」」」」
全員に納得されました。
後書き編集
普段からケンカしてますが、賢者様とロザリンドはなんだかんだ新しい魔具作成では素晴らしい連携を見せます。
仲は悪くないのですが、仲いいねと言われると即座に否定します。
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