第36話 枕投げ?枕投げ!

 とんでもないプレゼントタイムは終了し、各自部屋に戻ることになるのですが、せっかくディルク様がいるのです。何かしたい。




「ディルク、枕投げしよう」




「枕投げ?」




 首を傾げるディルク様は安定の可愛いさです。




「枕投げとは、基本はお泊りした同年代の子供達が親交を深めるために行う遊びです!」




 まあ、色々と脚色してはいるが間違ってはいないはず。せっかくのお泊りイベントですよ!これで終わりとか寂しいじゃないですか!




「同年代…?」




 参加者は父、母、兄、ディルク様、アーク、コウ、闇様。


 母は止めたのですが聞きませんでした。聖獣様は見学です。ゆったり寝そべってリラックスされています。はう…もふもふ。




「いや、別に年が離れてても大丈夫!」




 ルールは簡単。二組に別れ、枕を投げまくる!


 顔面に当たったらアウトで3分場外。陣地を決め、陣地に落ちてる枕が多い方が負け。


 魔法は禁止。魔法を使った場合も3分場外。


 スイ・ハルが審判で、場外のカウントもします。


 制限時間は30分。




 私と母、兄とコウはハンデで2人で1人カウント。場外なし。




 組分けは、父、母&私、兄&コウチームとディルク様、アーク、闇様チーム。な、なんか人数に偏りが…私が異議を申し立てる前に、無情にもスタートが宣言されました




「でハ、はじメ!」












 10分経過










「兄様」




「なに」




「これは私がやりたかったのと違います」




「だろうね」




 だって枕投げじゃないですもん。枕DEATH☆MATCH的な何かですよ。


 私と兄様は聖獣様をモフりつつ、観戦の構えです。たまに流れ玉ならぬ流れ枕を結界で弾きつつ、もはや参加する気になりません。




 あ、闇様が当たった。コラコラ父様、顔面アウトにとどめを刺すのは止めなさい。




「闇様アウトー」




 言うのが遅いよ、スイ。なんかスタートといい、悪気を隠す気がありませんね?ハルが闇様を場外に移動させる。あ、また流れ枕に当たった。さすがにかわいそうなので結界を張ってあげた。


 威力がおかしいよ。枕なのに壁にめりこんでるよ。ディルク様とアークの顔色が悪いです。避けるだけで手一杯ですよ。ディルク様は獣化を発動。動きが素早くなりましたが、やはり反撃にはいたらないようです。




 さすがにやばそうな枕は私がこっそり魔法で軌道を変えてます。いい訓練になりそうです。




 事の発端は、アークがうっかり母の顔面に枕をぶつけた所からスタートしました。キレた父は凄まじく、更に静かにキレた母の魔力コーティングにより強化した枕+父の怪力により枕投げは別の何かになりました。




 コウだけ普通に枕投げて楽しんでます。当たっても、当てられてもキャッキャしてます。父の流れ枕に当たった時はギョッとしましたが、全然平気。流石はドラゴン様です。




「コウの楽しみ方が普通なんです。あの父の剛速球…枕?はアウトです」




「…うん。後で僕とディルクとロザリンドとコウでやろっか」




 我が家の大人達は入れてはダメだということがよく解りました。30分を待たず、父とアークはマーサに叱られ、強制退去になりました。母は父についていきました。




 汗だくで疲労困憊なディルク様。汗を拭いてあげます。役得ですね。




「枕投げって怖い遊びだったんだね」




「違うから!全く違うから!!私もあんな危険想定外だから!!」




 というわけで、第2戦。ディルク様の疲労はむしろハンデだということに。さらに獣化禁止のルールを追加しました。




私&コウチーム対兄&ディルク様&闇様チーム


 人数少ないので、私は魔法使用可。ただし結界による防壁で完全に枕通さないのは不可。いや、しませんよ?




「やああ!」




「わーい」




 飛び交う枕。当たったり、当てられたり。顔面ルールはスイとハルも参加してしまい、うやむやに。




「楽しい!」




 私はロザリアに代わった。彼女はディルク様が投げた枕をキャッチすると流れるように投げる。投げた枕はディルク様の顔に命中した。




「ぶふ!?」




「うぬ、やるな!」




 振りかぶる闇様に気がつき、素早く枕を叩き込む。出来心で枕を母の様に魔力コーティングしてみた。魔法は使えるようだ。




「あはは、楽しいね」




「そうだね」




 ロザリアが動き、私がサポートする。魔法で枕を逸らしたり、投げた枕を強化したり、身体能力を強化したり。




 最終的に私とディルク様のガチバトルになり、兄が呆れていたのはご愛嬌である。


 私達が疲れるまで枕投げ大会は続いた。

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