第21話 お仕事と兄がチートな件

 今日は兄も一緒にお城でお仕事です!




 早速父の執務室に子供用の机が二つ用意されていました。




「本当に僕もやるんですか?」




「すまんな」




 父に言われて諦めたのか、兄は黙々と仕事を始めた。


 ふっふっふ。今日の私には秘密兵器があるのですよ!


 材料提供・作成はスイ。加工・仕上げ作業はハル。




 その秘密兵器の名前は




 SO・RO・BA・N!




 ソロバンですよ!


 作ってくれちゃいました!今日はこれで頑張ります。




「…それ、何?」




 ソロバンをパチパチしている私に興味津々な兄。あ、うるさかったかな?


 兄にソロバンの使い方を説明すると、大人2人もいつの間にか後ろにいてビビりました。我が家には忍者もどきが多すぎますよ。気配消すな!ビックリするんだから!




 兄は暗算超早いから、ソロバンなんて要らないんじゃない?と言ったんですが、使いたいご様子。




 結局スイとハルがもう一個作ってくれました。


 兄、もう使いこなしています。くそう、頭のいい奴はこれだから!




 私が睨んでいると、ドヤ顔をされました。おのれ、兄!負けないぞ!!




 私と兄が本気になって処理した結果、昼前には仕事があらかた片付いてしまいました。疲れたけど、結果オーライです。




 勝負の結果?…引き分けですよ。初めてのソロバンでソロバン検定上級者な私と互角ですよ?兄は色々おかしいですといったらロザリンドにだけは絶対言われたくない、と言われました。解せぬ。




 とりあえず、父の休憩を兼ねてまったりティータイムしていると、悲しい大人達の会話が耳に入ってきました。




「こんなまともに休憩して茶が飲めるとか、いつぶりですかね」




「…覚えてない」




「茶って、ぬるいの持って来させて一気飲みするものじゃなかったんだなぁ」




「そうだな。ぬるくない紅茶を最後に飲んだのはいつだったか…わからん」




「父様、いつでも手伝います」




「こき使ってください」




 私達が、ちゃんと休憩取れるようにしてあげるからね!私と兄の心は一つになった。










 さて、これからどうしようかなと思案していると、来客があった。昨日会ったバカ殿…じゃなくてアルディン殿下である。




「あ、遊んでやろうと思って来てやったぞ!」




「頼んでません、お引き取りください」




 兄、一刀両断リターンズ。懐かしいなぁ、私もやられたわ…まだ1ヶ月なのに昔のことのようです。


 バッサリやられたバカ殿は涙目です。あれダメージでかいよね。わかる、わかる。




「ぶ、無礼だろう!」




「お言葉ですが、僕らは遊びに来ているわけではありません。仕事をしております」




 兄、対応冷たすぎない?一応アレは王子ですよ?


 こんな対応でいいの?と父とアークに視線を向けると父は頷き、アークからはてへ☆話しちゃった☆とのお返事が…


 いい大人がてへペロとか誰得…ではなく!




 それが原因か!私は慌てて兄に話しかけた。




「兄様、私は怒ってません。しっかりやり返しました」




「うん。ロザリンドは黙ってなさい」




 5歳に私、負けました。完全敗北です。兄の笑顔は大迫力でした。


 私が勝てないのに、バカ殿が勝てるはずありません。




 バカ殿は泣きながら、また第1王子に回収されました。第1王子、なんかゴメン。慰めてあげてくださいね。

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