第16話 リスト
――
眠る前に詩絵は言い訳するように言っていた。
復讐相手について順に説明してきたけれど、背背のことを僕に話すかどうか悩んでいた。
だから一度に教えてくれなかったのかと思えば納得できる。
実際に姉妹を虐待していた
弁護する
僕が有罪になるよう仕向けた
自分の醜悪な欲望を僕に投影して責め立てた刑事
母を死に追いやった憎むべき男。卑金の秘書
そしてその背背と接触していたという
これらが僕らの復讐の相手だと。
娥孟に関して詩絵たちは自身の復讐だと言うが、娥孟の悪行を押し付けられたのは僕だ。僕の復讐で間違いない。
対象はわかった。
次はこれらをどうするのか。
少なくとも僕は社会的には前科者で、仮釈放されているけれど刑期そのものはまだ残っている。
目立つことをすれば不利になるのは目に見えている。
「焦れば失敗します。失敗は許されません」
「だから慎重に、冷静に。ね」
僕よりずっと長く敵を観察して計画を立ててきた二人の姉妹。
彼女らの示す道は正しい。
「相手が清廉潔白であれば難しいものですが、そうではありませんから」
詩絵の計画を聞いて、その遂行を助ける。僕にできることはそれくらい。
「後ろ暗いことがある人間相手です。ひとつずつ確実にやっていきましょう」
「うん」
僕たちは正しい。
真人間の面で邪なことをする人間を炙り出して、本来いるべき地獄に送る。
正しいことに向かうのは、気持ちが軽くなるものらしい。
◆ ◇ ◆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます