第101話 猫の早起きは憎らしい
みゃぁう〜。
カリカリカリ。
最近、源之助によって強制的に早起きさせられている。
源之助は碧と一緒に寝ているのだが、とんでもなく寝起きの悪い碧は源之助の顔ふみふみ攻撃にも負けず爆睡し続けるらしい。
携帯の電子音には反応するのに、猫の鳴き声やぺろぺろ攻撃もふみふみアタックもスルー出来るなんて理解を超える。
ウチに来て数日は碧を起こそうと頑張った源之助だったが、連敗が続くうちに諦めて私の所にさっさと来る様になってしまった。
食卓に乗るなという指導は覚えない癖に、碧を起こすよりは私の安眠を邪魔する方が手っ取り早いと学びやがって。
時折、猫って凄く憎らしく感じる。
お腹が空くのかとタイマーで蓋が開いてフードを提供する自動餌やり機を買って朝の5時半に餌が出てくる様にしてみたのだが、一応出てきた餌に口はつけているもの6時過ぎに私の部屋に来て外で鳴いて扉をカリカリと引っ掻くのに変わりはなし。
シロちゃんやクルミに相手して貰うだけで満足してればいいのに、どうも朝一に撫で回して貰いたいらしい。
寝ていても碧に擦り寄れば多分寝ぼけていても撫でるだろうから、それで良いじゃないかとも思ったのだが・・・ダメらしい。
マジで我が儘。
実際のところ、私の部屋に来なくてもみゃ〜みゃ〜碧の部屋で必死に彼女を起こそうと鳴いている音で起きてしまうので、こっちの部屋に来ようが来まいが私の睡眠時間にあまり違いはないんだけどね。
明るくなるのがいけないのかと自動餌やり機を止めて家中のカーテンを遮光カーテンにしても10分程度しか源之助の起床時間に変化は無かった。
源之助の体内時計はかなり正確なようだ。
就寝時間を1〜2時間ずらしても起床時間が10分程度しか変わらないってどんだけ頑固な体内時計なのか。ある意味羨ましいかも知れない。
私を早朝に起こす方向に機能してさえいなければ。
朝の3時ぐらいに一度餌やり機を動かしてお腹を膨らませてみてもあまり変わりは無かった。
碧が起きればいいんだと覚醒の術を掛けようとしたら白龍さまに妨害されちゃうし。
どうやら安眠妨害は白龍さま的には許されないらしい。
私の安眠は妨害されるのに〜。
源之助に睡眠の術をかけることも考えたが、子猫なのでうっかり魔力を込めすぎると永眠しちゃうかもと思うと怖くて掛けられない。
私の部屋の扉の方に、触れると眠くなる術もかけてみたのだが・・・源之助は朝一にはかなりの興奮状態なのか、子猫にも安全な程度に弱めた術ではダメだった。
そんなこんなで今朝も6時過ぎに起こされた。
今日は・・・木曜日。
朝1に授業は無いので、まだまだ起きる必要はない。
と言う事で扉のところまで行って源之助を抱き上げ、撫でながらリビングまで行ってソファの上に下ろす。
「シロちゃん、任せた」
小型ゴーレムを起動させて源之助の注意を引き、その間にリビングを出て扉を閉める。
何故か一度抱っこして撫でればそれで朝の挨拶が済んだ気分になるのか、その後だったらゴーレムやシロちゃんで注意を引けるんだよねぇ。
ちゃんとリビングの扉には高い符を買ってしっかり防音の術も掛けてあるので、バタバタ走り回っても私の部屋までは音が入ってこない。
碧の部屋は源之助が自由に出入りできる様に扉を開けているので音が漏れるし、防音の術をかけていても私の部屋の扉をカリカリ掻かれると音が響くんだけど、リビングに閉じ込めればなんとかなる。
最初はリビングに連れて行ってシロちゃんに任せて寝ていたら、遊んで走り回っていた源之助が私の寝室の方に来て、閉まっている扉を自分への挑戦と受け取ったのかカリカリ、カリカリ、カリカリと執拗に引っ掻き続けたので、今ではリビングの扉を閉めている。
視野に入らなければそれなりに忘れていてくれる。
なんかもっと効率的に起こされない術を編み出せないか、また後で考えよう。
ちょくちょく二度寝の前のうつらうつらした状態で色々思いつくんだけど、大抵起きた時には覚えていないんだよねぇ。
まあ良い。
取り敢えずは、二度寝だ。
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