第176話 学年末試験 ②

【 明日香side】


忠夫たちと一緒に勉強をしている。


来週からの期末試験対策の為の勉強だ。


エリートの私には必用無いと思っていたが…………




令子

「 流石の日独ハーフのエリート様も英語は、ともかく古典の漢語までは押さえていなかったようね 」


そう、只今 漢字だらけの教科書とにらめっこ中なのである。


明日香

「 なによ ! この漢字だらけの文書は 。

私は暗号なんて興味無いわよ ! 」


三人とも苦笑いしているのが、またしゃくに障る。


忠夫

「 明日香 『 項羽と劉邦』って、知っている ?」


明日香

「 知らないわよ ! 『 三国志 』なら パパが持っていた漫画で知っているわよ。 最後に『劉備』が勝つんでしょう ! 」


「「「 ??? 」」」


令子

「 最後に勝つのは『 曹操 』の陣営よ 」


「 う~ん、それも『司馬炎 』にクーデターで倒されたから微妙なんですけどね 」


忠夫

「 明日香は、どんな漫画を読んだんだ ? 」


明日香

「 作者なんて覚えていないわ ! 確か『天地を◌らう』と云うタイトルだったけど、パパは途中までの『巻』しか持っていなかったから続きを知らないのよね。

だけど、主役なんだから最後に『勝つ』のは常識でしょう」


アイツ忠夫は、父親の書斎から数冊の漫画を持ってきた。


忠夫

「 親父のコレクション横□光輝先生の『 三国志 』だ

後半部分だけ持ってきたから読んで見てくれ 」


うわっ、◇味な『絵』ねぇ~………読み進めていくと………


明日香

「 なによ、これ ! なによ、これ ! 結局、誰もが勝てなかったパターンな訳なの !信じられないわ 」


令子

「 『 真実は、ひとつ! 』と、眼鏡のガキンチョ も言っていたし、謎が解けたのだから勉強に戻るわよ 」


「 この文書は『 項羽と劉邦』に出てくる『韓信の股くぐり』のお話ですね。

有名なシーンですから試験に出てくる可能性は高いですよ 」



このエリートの私が教わるなんて思わなかったわ。

だけど、数学や英語なら負けないハズよ !………社会(日本史)は少しだけ、少しだけ苦手だけど 何とかなるでしょう。


─── ─── ─── ─── ───

「 もしやと思って質問したけど明日香は『日本史』も苦手みたいですね 」


………バレてしまった………くやしい 悔しい こんな東洋の島国の歴史なんて、録に勉強してこなかったんだから仕方ないでしょう !


みてなさいよ !

こんなの直ぐにクリアしてあげるからね !


お絹ちゃん や令子なら、ともかく あのアホ忠夫にだけは負けたくないわ !




後で知った事だけど、あのアホ忠夫は、お絹ちゃん や令子より成績が良かった事にショックを受けるとは、この時には想像していなかった。

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