第175話 学年末試験 ①

【 真理愛side 】


よかったぁ~

もし『拾ってた場所に戻してきなさい ! 』 と、母さんみたいな事を言われたら どうしようかと思ったよ。

これから一緒に暮らすのに、余計なトラブルは 起こしたくないからね。


んっ ?

こたつ兼テーブルの上には、教科書とノートが広げられていた。


「 感心 感心 皆で勉強中だったのかニャ ? 」

私が、真面目に勉強している仁ちゃん達に感心していると


「 来週から学年末試験なので、勉強してたで~す

カエデの対策問題は、凄いで~すね 」


「 あちゃー ! 最悪のタイミングで帰って来ちゃったかぁ~

…………モノは相談だが、楓クン 高一用の対策問題は あるのかな ? あるのなら私にも融通して欲しいのだが 」


その時、楓クンの目が妖しく光った気がした。


「 今から高一用の学年末試験の対策問題を作るとなると

特急料金が発生しますけど、大丈夫ですか ? 」


「 きっ 君は、将来 家族に成るかも知れない人から報酬を取るというのか ?」


「それは、それ。 これは、これ。

一応、真理姉だから安くしますけど どうします ? 」



【 アリスside 】


鬼で~す 悪魔で~す カエデで~す !

流石、カエデは 容赦無いで~すね。


ヒトミもユウキもジンも呆れていますで~すね。

とにかく、交渉はアチラに任せて 私達は 黒猫の名前を決めるのですね。


『 クロ 』『キキ』『 夜空よぞら』『 オスカル』


名前の候補が上がりましたで~す。

ちなみに順番は、ジン ヒトミ ユウキ 私(アリス)の順序に考えたで~すね。子猫は女の子でしたね、ジンは モテモテで~す。

今、子猫は ジンに甘えているで~す !

ユウキとヒトミが羨ましそうに見ていますが、どちらを羨ましく思っているのか考えると面白いで~すね。


結局、子猫の名前は『タビ』に決まってしまったですね。

マリアが

「靴下を履いているみたいだから『 クツシタ 』が良いにゃ !

そうだよね、クツシタ ! 」

と、言ったら無視されたで~すね。


「 真理姉ぇ~ ………いくら何でも『クツシタ』は可哀想だよ

靴下 靴下……白い履物はきものを履いているみたいだから『 タビ 』は、どうかな ? 」

ジンが言うと、


「 ウニャァ~ ニャァ ニャァ 」

と、子猫が返事したで~す。




【???side 】


転校生の真理愛とは、直ぐに意気投合した。

彼女とは何故か『馬が合う』と云うか、昔からの親友みたいに感じる。

彼女との下校中に捨て猫を見つけてしまった。

最近は見なくなったのに、まだ捨てる馬鹿がいるのに腹を立てていたら真理亜愛が 子猫を連れてきた。


未紗みさ、この辺りに保護センター みたいなモノはあるの ?」


「 知らないわ ! 少なくとも、この辺りには『捨て犬、捨て猫』の保護をする組織の話は聞いた事は無いわ 」


と、言っても私も数年前に引っ越して来たから詳しくは知らないんだけどね。


真理愛は、少し考えた後に


「 本当は アタシが二匹共引き取れば良いんだけど、これからお世話になる仁ちゃんに あまり無理を言えないから、一匹は未紗が引き受けてくれるかな ? 」


真理愛が、私に拝みながら頼んできた。

犬か猫を飼う事を考えていた私達家族は、ペットショップを考えて見に行って 『お値段』に驚いて二の足を踏んでいたから、


「 ちょっと、お母さんに聞いてみるから待っていて ! 」

家に電話をしたら、即 OK を貰えた。


残って居た子猫は、二匹共 女の子だった。

黒猫を真理愛が、白猫を私が引き受ける事になった。


「 未紗、 もし もしだよ 仁ちゃんが駄目ダシをしたら……」


会ってから、何時も余裕綽々な感じだった真理愛が弱気なのが面白かったが、


「 その時は、連絡して ! お母さんが、猫なら二匹くらいまでなら大丈夫だって言っていたから 」




家に子猫を連れて帰ったら、お母さんも仕事から帰って来たお父さんもメロメロになっていた。


夜になってから真理愛からメールが来て、向こうも飼う事になってお互いに喜んだのは、ご愛嬌よね。


真理愛のトコの黒猫が『 タビ 』に決まった事を聞いて、

ウチの子猫の名前も決まった。


「 今日から君は『 流山ながれやま ミルク 』だよ

よろしくね、ミルク ! 」


今日、私達の家族が増えたことに 家族皆で喜んだのでした。


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