第54話 村のお祭り ④

【 勇気side 】


 待ちに待ったお祭りだ。

 今日から三日間が村のお祭りなんだ。


 昔は、町内ごとに( 二丁目、三丁目、アヤメ丁、など)山車だしがあり、大勢の大人に交じり子供達が引いていたらしい。


 今年は、二台だけが稼働すると聞いた。

 一台は『 天の岩戸』で もう一台は『 新田義貞にった よしさだ』が山車の上に乗る『シンボル』だ。


 村との関連性は無いらしいけど、地元に関連するなら『 塚原卜伝 』の方が良いと思うんだけどなぁ。

 剣道をしているせいか武将より剣士の方が

 カッコいいと思ってしまうんだよね。


 初日は、じゃんけんの結果、僕の番に成った。

 さっそく浴衣に着替えて ジンを待っていた。

 まもなくジンが浴衣に着替えて出てきた。


 カッコいいなぁ~ 見惚れていた僕に


「 ユウキ、とても似合っているよ………

 うん、とても可愛いよ 」


 自分でも判るくらい顔が朱く成っていくのがわかる。


「 本当に可愛いかなぁ ? 」


「うん、可愛いよ

 僕の言うことが信じられないかな ? 」


「 信じるよ !

 ジン、大好き♡ 」

 僕はジンに抱き着いた。


「 ユウキ………………………♡」


「ジン…………………………♡」

 僕達は、見つめ合いをした。


「さあ、行こうか ユウキ」


「うん、行こう ジン 」

 僕達は恋人繋ぎをしてお祭りに向かっていった。


 ──金魚すくい──

 ジンは下手みたいで一匹も取れなかった。

 隣でチラチラ見ていたけど、僕に良いところを見せようとしているみたいだね。

 そんなジンの気持ちが嬉しかった。

 僕も緊張していたのか、直ぐにアミを破ってしまい収穫 0 だった。

 そんな僕達に金魚すくいのおじさんが、一匹ずつ金魚をオマケしてくれた。


「「 ありがとう おじさん ! 」」


 その後は射的をしたり、ワタアメを食べたり、かき氷を食べさせ合ったりして過ごした。

 楽しい時間は、アッと言う間に過ぎていく。

 でも僕達は帰る家は同じなんだ。


「 楽しかったね 」


「 うん ! ♡」


 僕達は恋人繋ぎをして帰った。

 来年も、その次の年も、ずっと一緒だよ……ジン♡

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