第44話 勇気の青春 ⑤

【 水戸 桐子side 】


 よっしゃぁー ! 勝ったぁー !

 あの霞ヶ浦かすみがうら 勇気に勝てた。

 こんなにスッキリ勝つなんて、プライベートも鍛練たんれんに費やして良かったぁー。


 仲間の所に戻ると友人や後輩にお祝いされた。

 もちろん、まだ練習中だから静かにだ。


 しばらくすると今日の練習試合が終わり、

 私は、勇気の所に行こうとした。


 ライバルとしてはげますためだ。


 勇気は…………えっ~と、何処にいったのかなぁ ?

 相手選手側を見ても、勇気が居ない。



 あれっ ?

 鉾田 聖子や麻生 秋奈が、同じ方を見ているような…………

 そちらの方を見ると………


 うん、見間違いだな。

 目をゴシゴシこすって、もう一度 見た ?


 おかしいなぁ~

 勇気が、男の子に抱き着いて なぐめて貰っている。




 ぽん !


 私の肩に誰かが、手を置いた。

 振り返ると、麻生や鉾田がニヤニヤしながら居た。


 私は、震えながら

「 ねえ ! アレ 何 ? 」

 勇気を指差しながら聞くと


 秋奈

「 あの男の子は、勇気の婚約者だよ」

 麻生がニヤニヤしながら答えた。


「 こ、こ、こ、こ、こんやくしゃぁー !」


 聖子

「 そっ、 つまりアンタは、試合に勝って 勝負に負けたんだよ ! 」

 鉾田が、勝ち誇ったように答えた。


「 勝負って、何の勝負よぉー ! 」


「「 女の勝負だよ ! 」」



 その後の事は、あまり覚えていない。

 気がついたら、泣きながら自分の部屋にいた。



 私なんか、片思いなのに勇気に婚約者がいるなんて。


 よぉーし、

 私も告白して彼氏をつくってやるわ。

 女としても勇気には、負けたくない。


 明日といわずに直ぐに行動 !

 これが、私のポリシー。


 隣の幼馴染みである 土浦つちうら あきら


 彼の部屋に(勝ってに)上がり彼を見た。

 ベッドに座り壁に背を寄りかけていた。


 ドォーン !

 彼の側の壁をたたく。


「輝、私と結婚して !」


「はっぁーー ? 」


「 結婚して ! 」


「 ちょっ !

 桐子、おまえ 自分が、何を言っているのか解っているのか 」


「 解っているから、結婚して ! 」


「 あのなぁ~ 桐子、お前………

 私は、有無を言わさずに『 キス 』をした。


 よしっ !

 これで、既成事実 OK

 私も男の子 GET !

 勇気には、負けない !




 この後、私は輝に しこたま怒られ説教された。

 だけど、恋人同士になることが出来た。

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