第136話

 7の日は陛下も宰相閣下もそれほどスケジュールが詰まっていないのかも知れない。エルフの秘薬を調査するためファラド王国へ行く事を相談したのも、7の日の4の鐘の後だった。7の日に予約が取り易いのなら、アンちゃんの実家へ行く時の事は7の日に相談しよう。この件は私事だしね。お仕事の邪魔をしては申し訳ない。


「結局ドナルドからも同じ事しか聞けなかった訳けか。」

「はい。その時に来た冒険者はもうファラド王国へ帰ってしまったとの事ですので、我々が行って調査して参ります。」


 もううちのアンちゃんが行く気満々だからね。久々に活躍するわよ、何て言って張り切っている。いや、喧嘩しに行く訳じゃないから。


「そのまま迷いの森へ行くつもりか?」

「そこは判断が難しい所です。秘薬と言うからには、何か対価を要求されるのではないでしょうか。」

「あり得る話だな。」

「そうなった場合、我々で対処可能であれば良いのですが、無理そうであれば一旦こちらへ戻って参りたいと存じます。」


*****


 殿下方の魔法はどうすれば上達するのか。エルフの秘薬は本当にあるのか。あったとしてどの様な効果なのか。何故アンちゃんは俺の心が読めるのか。なんて事を考えながら眠りについた。そのせいだろう。夢に女神様がお出ましになられた。


(お久し振りね、ジローさん。)

 これはアリア様ではありませんか。またこちらの世界へいらっしゃったのですね。


(あら、私では不満なの?)

 決してその様な事はございません。前回コーラス様にお会いした際に、大層お怒りのご様子でしたので。


(それなら大丈夫よ。こーちゃんはね、ああ見えて美味しいものを沢山食べさせると機嫌が良くなるのよ。私がケーキを沢山作って来て食べさせてあげたら、機嫌は直ぐ良くなったわよ。)

 その様な事でご機嫌を直して頂けるのですね。ところで今日はコーラス様はいらっしゃらないのでしょうか?まさか、またお薬を?


(またあたしに隠れて二人で悪だくみをしてるのか?)

 決してその様な事は致しておりません、コーラス様。前回もアリア様にはお力をお貸し頂いて、大変感謝致しております。至らないのは私めにございます。平にご寛恕頂きたくお願い申し上げます。


(そうよ。この世界の平和を守ったのだから、悪い事はしていないわ。)

(おまえなぁ。)

 本日はコーラス様にお尋ねしたい事が御座いまして。宜しいでしょうか。


(ん、何だ?アンナの事なら加護は与えてないぞ。あれは純粋な女の感ってヤツだな。)

 それも不思議に思っていた事の一つではありますが、お尋ねしたいのはその事ではございません。


(じゃあ、何が知りたいんだ?)

 エルフの秘薬について、でございます。


(エルフの秘薬?なんだそれは?)


 コーラス様がご存知無いのであればやはり噂、ガセネタなのだろうか?



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