第66話
水魔法は帝国との戦いでかなり派手に使ったから、リンキの城壁から見た人も多いだろう。そしてその威力も。あまり威力を弱めると手抜きがバレちゃうな。
「今度は物相手ではなく、人相手でも良いか?」
まあ水魔法は殺傷力は低いから大丈夫だろう。
「承知しました。」
「よし。お前達陣形を組め。」
すると騎士達が陣形を組み始めた。ん?なんか皆さん若い人達ばかりの様な気がする。見習い騎士の皆さんかな?若い人は色々やらされて大変だね。
陣形が整ったようなので団長の方を見ると、やってくれとばかりに頷いた。
「放水!」
俺の掛け声と共に水柱が騎士見習いの皆さんの方へ飛んで行く。密集陣形を組む皆さんの中央付近に着弾だ。着弾した当たりの3、4人が水の勢いで弾き飛ばされた。直撃を受けなかった周りの騎士見習いもずぶ濡れになっている。
あ、水と言っても温度はぬるま湯程度にしています。帝国兵と戦っている訳じゃないので。またあの忌まわしい裸の集団は見たくない。
「おお、騎士見習いとはいえ、数人弾き飛ばすとは。こちらは噂通りの威力だな。」
国王陛下以下、宰相閣下、騎士団長もご満悦のご様子。よし、このまま終わりにして定時退社したい。
「固まった兵たちにはそれなりに有効かもしれませんが、乱戦となった時には使い物にならないんじゃないですか。」
何かいきなり絡まれたぞ。声のする方を見ると、先ほどアンちゃんと模擬戦をしていたフレッド隊長だ。でもフレッド隊長、こちらには陛下もいらっしゃるのにそんなフレンドリーな口調で大丈夫なんですか?
「フレッドか。お前ジローと模擬戦をしたいって言うんじゃないだろうな?」
「出来ればお手合わせ願いたいですね。」
なんでそんなに陛下と親しく口を利けるのか?と思っていたら、宰相閣下からフレッド隊長は王族に連なるひとりなのだとご説明頂いた。俺ってそんなに思っている事が顔に出ちゃう
「それも面白いかも知れんな。」
騎士団長までそんな事言い始めちゃったよ。俺、物理的な力はパンピーと一緒なんですよ。接近戦は無理って言ったじゃないですか。
結局、社長の一声で無謀なプロジェクトが始まるが如く、俺はフレッド隊長と模擬戦をする羽目になった。
「大丈夫だよ。ちゃんと寸止めするからさ。」
ニヤリと笑うフレッド隊長。何だか信じられないんだよな。木刀だって打たれたら骨折するし、下手したら死にますよ、俺。
アンちゃん助けて!と祈ったが、今日ばかりは無理そうだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます