第40話
(しょうがねえなぁ。)
突然コーラス様のお声が聞こえた。
(仕方ないからあたしが少しだけ手伝ってやるよ。(これでアリアに貸しが作れるな。))
何か不純な動機も聞こえた様な気もするが、そんな事を気にしている場合ではない。俺は一心にコーラス様に祈った。どうかアンちゃんを助けて下さい。
(お前はアリアの加護で回復魔法を使えるんだろう。)
使った事が無いので、すっかり忘れてました。
(アリアの加護だけど、あたしが使い方を教えてやるよ。人体の構造はおまえが前居た世界と殆ど同じだ。)
(そして魔法は、まずイメージして、グーっと溜めて、バーっと・・・)
そうだよ!イメージだよ!ありがとうございます。コーラス様。
(おぉう。よく分らないけどもう良いのかい。じゃあ、頑張りなよ。)
女神様のおかげで何とかなりそうだ。よーし。先ずはイメー・・・。
(そうそう言い忘れてたけど)
びっくりしたー。油断している所を突いて来るのは止めて頂きたいです、コーラス様。
(前にも言ったけど、その子との相性いいんだから早くものにしちまえよ。じゃあな。)
・・・コーラス様。最後のお言葉で良い女神の印象が台無しですよ。
*****
回復魔法。アリア様から頂いた加護。正直どの様な効果が表れるのか分からない。アンちゃんは強いし体さばきも優れているから、今までこんな大けがを負った事がない。だから使う機会が無かったのだ。もっと早く練習しておけば良かった。
ただ、コーラス様が仰った様にこの世界で魔法を使うにはイメージが大切だ。最も重要と言っても良いだろう。幸い俺には
「細胞が増殖し、切れた血管、神経、筋肉繊維が元通り繋がる。それらを包んでいる膜組織も再生する。骨折している所も元通りにつながる。皮膚も再生して傷口もふさがる。内出血で体内で固まってしまった血は取り除く。それ以外は周りの組織に吸収される。体内に入った毒素、悪性の菌やウィルスなどは除去。・・・」
俺は今思い出せる範囲で出来るだけ詳しくイメージした。
「アンちゃんの怪我、治ってくれ。」
そう言って俺はアンちゃんの手を握った。何か手を握った方が直りが良い様に思えたからだ。気休めかも知れないが、手当てって言うしね。
直後、アンちゃんの体が淡く発光した。ぶっつけ本番だったけど、上手く行ったのか?アンちゃんの体を確認すると、少なくとも外傷はなくなっていた。
俺はアンちゃんに水と少量の薬酒を飲ませたあと、ボロボロになった服を着替えさせた。俺の替えの服だからサイズが合わないが、仕方ないだろう。
アンちゃんが寒くない様に、焚火に枯れ枝をくべた。
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