第29話 Kobold-Vagrant-Batshit-Bastard4
「おのれぇーニンゲン!次会った時は必ず必ず食い殺してやるぅぅぅぅ」
何とか封印できた。
あの後、召喚契約石の失敗からグダッた戦いを、手のひらから少しずつドレインすることで持ち直し、女傑を仕留める寸前までいったのだ。だがしかし流石は女傑。略してさすけつ。戦闘の最中に《
再びジリジリと、カッコ良さですら負けそうになりつつ打開策を探る中で俺は驚くべき発見をする。《
脱線したが、《召喚契約》を試行回数の暴力で成功させ、流石の女傑も、略してさすけつもとうとう陥落したということである。石ではなく直接俺が魔法を使ったからか、契約の証が下腹部に浮かび上がっている。この証はさすけつ個人を示す紋章というか、魔法で呼び出す際はこの紋様を読み取ってさすけつの肉体を再現しそこに魂を戻すので、さすけつ個人を情報として保存したものというか、とにかく謎パワーで俺とさすけつは一心同体となった。当初の予定と違うが、まあさすけつもこれで寂しくないだろう。
「結婚、おめでとー!」
邪聖少年をきっかけに、おめでとう、おめでとう、と見物客から聞こえてきた。立ち会い人のお坊さんも印を切って祝福してくれている。そういう方向で話を納めるのな。
「姉上、良かった!ニンゲンの子よ。末長く姉上と幸せに。たまには顔を見せてくれたまえワン。種族は違えど、大切な家族。甥っ子姪っ子の顔もみたいワン」
同じ種族同士、一緒にいるのが健全だろう。という配慮なのだろう。皆、さすけつが幸せになることを心から望んでいた。より一層、さすけつの孤独さが際立ち悲しい。が、それはそれこれはこれ。文句も言われないのでそそくさと去るに限る。ハネムーンで忙しくなるから後日親御さんには挨拶すると伝え、我らが初心者の街1へと帰るのだ。捕獲したがまだまだ反抗的だったし、じっくり時間をかけて洗脳していかねば。
街道まで見送りが絶えず、凄く罪悪感湧きながら帰路につく。もう
「ぶるぶるぶるるぅぅぅ」
「
もうすぐダンジョンにたどり着く、という所で巨大なモンスターに奇襲を受けた!盗賊系のスキルが使える奴が3人もいて誰にも気取られずにここまで接近を許すとは。強敵の予感と、パーティーのバランスの偏りに戦慄しつつ
「ひひぃーん。ふひひーん。ぶひひひぃ」
「これは、幻獣?」
「いかんっビューティー!近づくんじゃあないッ!」
「ふおぉおおおおおぶべへっ」
相手が邪聖少年に魅せられている間に
「今の内にダンジョンに潜るぞ!」
「う、うん!」
「「カッコいいー!」」
ふふふ。尻尾が狗っぽくなり、牙なんかも凶暴に生えてる。カッコよかろう。
とにかく、この恐るべき幻獣種、ショタコーンと邪聖少年の対話を防ぐことが出来た。国盗りはまた今度な。
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