第28話 Kobold-Vagrant-Batshit-Bastard3
正体を明かしたので腰布とチューブトップを脱ぎ捨て、いつもの濃紺の
どうにも、俺が嫁取りのために女傑のもとまで出向いて来たということで噂を流したらしい。例え負けても、若者が健闘してここまで食らいついたのだから、認めて結婚したらどうか。という話に持っていってそのまま勝とうが負けようが関係なく拐っていく作戦だ。何しろ過去生では闇の君主とか呼ばれていた奴である。敵地で味方を作ることなんて造作もないのだ。悪辣で実に良い。
「ふふ。勝ったら総取りとは言ったが、しかしお前をどうしてくれようか」
「その時は大人しくお前の下について、ここで布教だな。向こう側から避難民でも来たら助けてくれよ」
「何だ。結局私は帰依するのか?ふむ。それも悪くはないか」
まあ俺は負けないがな。
お坊さんの掛け声と共に前進。毒を警戒した女傑は距離を取って斬りつけ、近づかせてくれない。しかし、こっちは
「目からビーム!」
「なんとぉ!」
声にしなきゃまだ出せないが、目から強力な光魔法を放てるようになったぜ。もはや《
動揺した隙に
今生の俺は足が長過ぎて内臓が無いんじゃないかってくらいだからな。余裕でリーチ勝ちする。精気と魔力が主食だから、本当に内臓少ない可能性があるが。どうなってるんだろう。生物学的に興味がある。錬金術士のマッドな過去生が鎌首をもたげてきたので慌てて握り潰す。好奇心を勃起させている場合じゃない。さすけつ相手には命取りだ。
握りが弱い。
「なぁめるなぁぁぁぁ」
こちらの安心を気取られたのか、武人たるさすけつは誇りを刺激されてぶちギレた。片手のみの連撃だがとても防ぎきれずこちらは傷だらけになる。もしやと思い《
「まぁだだぁぁぁぁっ」
剣を捨て懐に入り込んでくる。衝撃が腹に響いた。こっそりと外套の下に着込みを用意していたのだが、お構いなしにダメージが通る。再び《隠忍雀》を見てみると、使えるスキルが《肉球拳加速装置》に変わっていた。それは無理かな。武器も取り落としたしこれは勝てない。両手の肉球での掌打をぽむぽむと全身に浴びて、敗北を認めてしまう。
「負けないで!B兄ちゃん!!」
兄弟の応援に意識を取り戻した。そう言われちゃ、お兄ちゃん頑張るしかない。俺の体は意識しだいで、出来て当然と思うことで幾らでも姿を変える。目からビームも出るし、掌を肉球に変えることだって造作もない。こんなの簡単なことだぜ。
《隠忍雀》を発動。決闘の広場に、見物人達の肺腑を震わせる程のぽむぽむが響いた。ぽむぽむ合戦ぽむぽむ合唱だ。
今まではダメージを抑えつつ後だしで同スキルを発動することで、高ステータスのゴリ押しもあって強敵達を打ち倒して来た。だがこのぽむぽむラッシュは素手のスキルということもあってスキルの連続発動が可能だし何より俺のが食らってるダメージデカいのでこのままじゃさすけつに負ける。だから更にもう一手。腹からひり出したそれを舌先で潰す。
「
「ハッハァ!ナマイキ
小さな円盤状の石が回転を始め、光り輝く演出がはいり、そして光も回転も止んだ。
「…」
「…!」
「「…?」」
「あ、これわかりづいんだけど捕獲失敗でゴザル」
癖歪み忍者、実家で馬を捕まえるのに良く使っていたらしい。さすけつ含め、他は貧乏人か田舎者なので使い勝手を良くわかっていなかった。マジかよ!失敗するアイテムなのかよ!!
「ピンチの姿も絵になります尊いです教父さま」
言ってる場合じゃねぇよ!
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