小話 その7

「びっくりしちゃったよ本当に!」

「みぃの秘密を知ってしまったのか!」

「2人とも声が大きいってば!」

 里と一緒にとある場所へ向かい、先にいたつばめと合流して、3人で中に入った。

 色とりどりの世界だ。

 可愛いの、クールなの、異彩を放つの、地味なの、シンプルにド派手と多種多様、取り揃えられている。

「まずは店員さん呼ぼう!ちゃんと調べてからじゃなきゃね」

「あー、確かに!」

「うぅっ…」

 店員さんを呼んで測ってもらった。

 それを元に早速どれにするか選び始めた。

 話ながら楽しく選んで1時間は経過していた。



 帰り道。

「決まったねー!」

「本当に夏を満喫する日が来るなんて!」

 元気な2人だなぁ。

「みぃ、大丈夫?」

「バレる、じゃん…」

 恥ずかしくて隠してきたのに…こんな形で…。

「大丈夫だって!あっちだって、うぶだろうし」

「そうかな?」

「上にTシャツ着れば良いよ」

 里のその言葉に「それだ!」と思った。

 良かった、目立たない方法だ!

「でも、もったいないよ」

 もったいない?何で?

 私は首を横に振る。

「出すとこ出さなきゃ!ね?」

「だねー!」

 嫌なんだけど。

 小学4年生から少しずつ身体の変化に気が付いて、最初は戸惑ったけど、そのうち直ぐ止まると思っていた。

 でも、身長はあまり伸びないけど、そこだけは私の気持ちを無視するように成長していった。

 だから、どうにか隠す方法はないものかと、ネットで調べたら見つけた。

 私はそれを買い、ずっと使い続けている。

 おかげで、高校の制服の採寸の時でも使っていた為、そのサイズに合った制服になっている。

 夏の代名詞ともいえる所に行くという、予想外の展開に私はどうすることもできない。

「みぃ?」

みやび?」

 ハッ…!

 我に返る。

「な、何かな?」

 私、不安な顔をしてるんだろうな。

 すると2人は私の頭を撫でた。

「大丈夫、絶対に!」

 つばめ…。

「何かあったら、私らが守るから!」

 里…。

「ありがとう!」

 この2人がいれば大丈夫か。

 ホッとしたら、お腹空いてきた。

「コンビニ、寄らない?」

「良いね良いね!」

「ちょうど喉が渇いてさー」

 みんなでコンビニに寄ってから、帰路に着いた。


 もし、見たいって言ったら、ちゃんと見せようと思う。

 2人きりの時に、ね。

 どんな反応するのかな?

 可愛い、似合ってる、て言ってくれるかな?

 やっと、ちょぴっとだけ、楽しみになってきた。

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