小話 その3

「いた、つばめちゃん」

「のんちゃん、やほー♪」


 僕は雅虎まさとらとみぃちゃんのクラスにお邪魔する。

 仮装大会と聞いていたけど、賑やかで華やかだ。

 つばめちゃんのいるテーブルに行き、対面で椅子に座る。


「みぃ達は?」

「諸事情で保健室」


 つばめちゃんは目をパチパチさせて、心配そうな顔に。


「さっきの廊下の騒ぎに繋がる?」

「あ~うん…」


 近かったから聞えちゃうよね。


「おっ挑夢のぞむー!」

「あっ、いそべー君」


 雅虎の親友、磯辺君が声をかけてきた。


「浦島太郎、似合うね~」

「だろう?雅虎には不評だったがね」

「辛口だもんね~」

「お友達?」


 つばめちゃんのことを忘れるなんて、僕はダメだな。


「うん、磯辺いそべ君だよ」

「ちゃっす!磯辺 拓郎たくろうでーす!」


 チャラいな~。


「あーもー、琴坂ことさかさんまでいないなんて、どうなってんの?!」

「おい宮司みやじ、挑夢がなんか知ってんぞー」


 磯辺君が宮司さんを呼ぶと、ドシドシと僕とつばめちゃんのテーブルにやって来た。

 物凄い剣幕だ。

 黙って行ったからそりゃそうだ。

 ここは僕がフォローをしないと。


「宮司さん、えっとさ」

三瓶さんぺい君、2人仲良く消えたんだけどどうして!?」


 うわぁ…怒らないでよ~。


「さっき廊下で騒ぎになってたでしょ?それで2人とも保健室に行ったんだ」

「えっ」


 ポカンとした表情になった宮司さん。


「まさか、不純い…」

「違う違う、心の不調!」


 宮司さんの思考回路が謎過ぎる。面白いけど。


「心の不調?」

「特に雅虎が重症。だから心配で琴坂さんが行ったの」

「そうなんだ…」


 はぁ…説明って大変。


「後で僕と琴坂さんの親友のつばめちゃんと一緒に見に行くから」


 きっとをしているはずだから、もう少し時間を置いてからにしよう。


「そう…なら仕方がないね」


 頭を抱える宮司さん。

 何か困っているのかな。

 そう思った僕はこう言った。


「どうしたの?」


 すると、眉間に皺を寄せて宮司さんは言った。


「人手不足。だから磯辺君には午後も頑張ってもらってるけどさ」


 なるほどぉ…ん?

 目の前にいるつばめちゃんが目をキラキラ輝かせて、ウズウズしている。

 我慢出来なくなったのか、つばめちゃんは宮司さんに近付いた。

 驚いた宮司さんは半歩下がる。


「えっと…」

「あの!良いですか?」

「あっ…はい」


 ポカンとする宮司さん。

 そんなことお構い無しに、つばめちゃんはニパァ~と笑顔になって。


「良ければお手伝い、したいです!」


 大きな声でつばめちゃんはハッキリと言った。

 すると、宮司さん達がつばめちゃんに注目する。


「「「えっ!?」」」

「コスプレ…しーたーいー!」


 ノリノリになっているつばめちゃん。


「ダメ?ダメなの?ね、ね?」


 やりたいオーラ全開だ。

 すると宮司さんはつばめちゃんの手を握り。


「ありがとうございます!是非お願いします!」

「やったーい!」


 立ち上がってガッツポーズするつばめちゃん。


「てなわけで、のんちゃんも♪」

「えっ…僕はー…」


 よそのクラスだもん、ダメでしょ流石に。


「磯辺君、三瓶君貸してって許可貰ってきて」

「がってんしょーちのすけー!」


 磯辺君は僕のクラスに行った。と言っても隣。

 直ぐ戻って来た。


「許可成功ー!」

「んじゃ、三瓶君は受付ね!」

「えっ」


 てなわけで、僕は出張サービスをすることに。

 後で必ずお菓子買ってもらおっと。

 雅虎から徴収せず、僕のクラスメイトからね。

 つばめちゃんは宮司さんと一緒に更衣室に向かった。


「んじゃ頑張ろうぜ!」

「うん」


 これも文化祭の醍醐味と思えばいっか。

 でもやっぱり…早く雅虎、戻って来てね。

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