第20話そして月日は流れ…

私とリア様がリセを預かってからはや7年が過ぎた。

彼は15歳の青年になり、そして彼女を妻として迎えた。


「リセー!キョンー!ご飯できたわよー!」

「分かりました!すぐ行きます!リセ、今日の鍛錬はここまでにしましょう。」

「はい!ありがとうございました!」


彼はやはり、力こそ世界でも異質なレベルだが基礎が全くできていない状況だった。

その為私が技術を教え続けた結果、桁違いの力を使えるようになった。


「フフ!今日はローストチキンよ!」

「まじ!?よっしゃあ!」

「ほらほら、落ち着いてください。ホコリが舞いますよ。」


こんな平凡な日々を過ごしていたある日、事件が起こった。


リア様が誘拐されたのだ。

隣の国であるペルシア帝国の賊の仕業だった


リセがもし、親の、家族の愛を受けて育っていたのならこんな事にはならなかったのかもしれない。


「リセ、落ち着いて。姫は力こそ出せませんが防御力はとても高いのでちょっとやそっとでは傷ひとつつきませんよ。」

「師匠、あいつらは俺からリアを奪ったんだよ。俺より弱いのに喧嘩をふっかけてきたんだ。なら雑魚は雑魚なりに散るべきだ。」


リセは怒っていた。これほどまでに怒っているりさを初めて見た。しかし、未だに捕えられている父親の安否を考えると暴れるのは得策ではない事は理解している様だ。


「師匠、ごめん」


そう言ってリセは遠いペルシア帝国へと飛んでいった。

リセは思考共有でペルシア帝国全国民に話しかける。


「ペルシア帝国国王に告げる。お前達の国の大臣が誘拐した俺の妻であるリアを即刻返せ。さもなくば、この国の国民を全員殺す。

お前らの様な雑魚はいくら来ても無駄だ。

これはまだ警告だ。俺も無駄な殺しはしたくない。」


千里眼で覗くと国王は大急ぎでリアを探し出す。まぁ国を滅ぼされる一大事だからな。当たり前か。

しかし、肝心なリアを誘拐した奴らはデマだと思って笑って返そうともしない。


「…ペルシア帝国全国民に告げる。君達は脳みその詰まっていない大臣が俺の忠告を無視したせいで君達には死んでもらう。恨むならそいつを恨め。」


技の準備をしていると1人の兵士が空を飛んでいるこっちに矢を撃ってきた。当たるわけもないのに今更。しかし、その後ろには赤子を抱いた女がいた。恐らく夫婦なのだろう。

しかし、喧嘩をうったのはそっちだし弱肉強食の世界で弱い者が強い者に狩られるのは当然の話だ。



「死ね」


放たれた魔術はその国の生物の体内から発火していき、やがて死に至るという魔法だ。


そしてリアを迎えに行く。


「大丈夫?怪我はない!?」

「…リセ。なんであんな事したの。」

「?人が神に逆らったら天罰を加えるだろ?おんなじ事だよ。」

「違うよ!何にも悪い事をしていない人達まで殺す必要は!」

「でも俺に会う前に俺とは比べ物にならないくらい殺してるリアがそれをいうの?それにこいつらは結局敵なんだからさ、どうせ死ぬ運命だったのがちょっと早まっただけだよ。」

「でも、でも。やっぱりこんなこと...」


昔自分がやってしまったからこそリアは言いづらそうに言い返してくる。


「リア、俺だって殺したいわけじゃない。

…リアが俺の家族みたいな扱いにならないで欲しかっただけなんだよ。」


彼は泣きそうな顔で私に謝罪した。










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目が覚めたらそこは別の世界でした? リアス @00000aoto

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