ヘマトフィリア① ー起源ー
ヘマトフィリア。
自身の中にある、この獣の衝動を言語化するとこの言葉が当てはまるらしい。
言い換えると血液嗜好症。血に執着し、血に興奮し、血を美しく捉える。その中でも私はヴァンパイアフィリア(吸血嗜好)と言うさらに血を飲む事にも執着している。
私は昔から自身の傷を舐めてきた。自身から流れ落ちる血を中に戻そうと。
自分を構成するモノが身から零れ、無くなってしまう感覚は言い知れぬ。
初めてそれを経験した時の自分はとても恐ろしかった。このまま自分からその液体が流れ出て、自分という存在が無くなってしまうのではないかと。
干乾び死んでしまうという知識の無い幼少、死というものに理解の無い年齢の自分はただ理解出来ないその感覚に怯えた。
親が買ってくれた人体の本。小学生の頃に見たその知識、人という神秘に疑問を覚えた最初の切っ掛け。科学と生物学によって記されたその内容は、全てを理解出来なかったとはいえ、それは私を生命の神秘に引き込んだ。
生と死、神秘と科学、未知と理解。
十全に解き明かされていない部分のあった人体の解説を読んだ僕はその時、相反する二つの現象に見たこの世のロマンとリアルの差。
混ざり合わないこの価値観が今の私を作った。
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