その2 彼女が見切りを付けた訳①

その2


私には大好きな幼馴染と、大切な親友が居る。


こんな勉強しかできない私と付き合ってくれる親友は大好きだったし、そんな私に必死に追い付こうとしてくれる幼馴染が恋愛的な意味で大好きだった。


「ねぇ、どうすれば良いと思う?」

「うーん、またなんだね。どうにか決着を着けたらどうなの、香織ちゃん…」


私はよく親友の間桐まとう かえでによく相談していた。


その内容は、『どうやったら幼馴染である半崎 直人と付き合えるか?』だった。


勉強は誰よりも出来る自信はあるが、恋愛面ではクソ雑魚ナメクジなのは自覚している。


だから、よくモテている親友の楓ちゃんに相談していたのだ。


「早くしないと取られるよ?」

「うぅ、解ってるけど…」


未だに今の関係を崩す覚悟がない。


だが、確かにその通りだ。


「うん、決めた!今日、呼び出してみる!」

「あはは、一旦決めると真っ直ぐなのは相変わらずだね…」

「それが私だもん…」


そう決めたら、どう告白するか考えなきゃ!


私の頭はその事でいっぱいになっていた…


「あっ、メール…」


だから、見逃していた。


こう呟いていた時の楓の顔を…


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「ダメだった…」


先程、呼び出そうとしたが断られてしまった。


どうやら、用事があるらしい。


はぁ、この昂ぶった気持ちはどうしよう?


そんな事を思っていると…


「あれ、楓?」


何かソワソワとして周りを警戒しながら歩く親友を見かける。


何をしてるんだろう?


私は気になって、後を着いていった。


すると、そのには…


「来てもらってごめん…」

「うん、大丈夫だよ…」


直人が居た?


えっ、何?


もしかして、用事ってこれの事?


一体、何の用事…


「単刀直入に言う。俺と付き合ってくれ!」


えっ、何それ…


直人が好きなのは楓…


そんな…


だが、それだけでは終わらなかった。


「…はい。」


嘘…


嘘だよね、楓?


私が直人の事を好きなのを知ってるよね?


何も考えられず、頭の中が真っ暗になっていく。


私に出来たのは、その場から逃げ出す事だけだった…


「あはは、バカみたい…」


こうして、私は失恋した。


告白さえも出来ず、私の親友に好きな人を奪われるという形で…


…とんだ道化だ。


続く

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