第249話 封じられた龍と森に響く魔法
「見えましたね」
ハルカが言い、エリアス達の視界にゴブリン達が映る。向こうもこちらに気づいたようで、こちらに向かって走り出す。
「美女が3人もいれば走り出すのも納得ですが、当然死んでもらいましょう」
ナビゲーターが余裕の声で前に出る。
ナビゲーターが軽く指を振った直後に、周囲の木からツタが伸びてきてゴブリン達を絡めとる。
そのままツタで口を塞ぎ、首を絞めてゴブリンの命を奪い去った。
「素晴らしい手際ですね。これなら、他の魔物に気づかれることもないでしょう」
パチパチと手を叩きながらハルカが評価する。
「レンを見てるみたいな魔法だったよ」
「ええ、私もマスターが魔法を使う所を見ているので似ているのかもしれないですね」
そこから、しばらく進みナビゲーターが立ち止まって周囲を見回した。
「どうしたの?魔物とかはいないみたいだけど」
「ああ、エリアス。申し訳ありません。ここは、私とマスターが初めてこの世界で踏み出した場所なんです」
エリアスの疑問にナビゲーターが答える。そう、ここがレンとナビゲーターがアプリの運営とやらが用意したチュートリアルを乗り越えてやって来た場所なのだ。
「封龍の森からのスタートとは、なかなかハードですね。私は、王城でしたので安全でしたが」
さすがに森からのスタートは、当時のハルカでは厳しい様子だ。
「すぐに頭上を龍が通った時は驚きましたね。マスターは、異世界に来たという実感が湧いて楽しそうではありましたが」
「龍を見て楽しそうにするなんて、さすがレンだね。それに私はレンがここに来てくれたお陰で生きれてるから感謝したいなぁ」
とエリアスが答える。レンに出会った時は、すでに精神的に限界が近かったエリアスだ。レンとの出会いに運命すら感じる。
「きっと、マスターにとってもエリアスとの出会いは運命そのものですよ」
とナビゲーターが微笑むのだった。
「とりあえず、真っ直ぐに進めば大丈夫です。方向がズレたら私が修正しますので」
とナビゲーターが言う。
「助かります、ナビゲーター殿。この森を迷わずに突破するのは難しいものです」
「そういえば、ここの封龍の森って名前は龍が関係しているんですか?」
エリアスがハルカに聞く。
「マスターも龍が封印されてそうとか言っていましたね」
「ええ、レン殿の推測の通りですね。名前が安直ですから考えつくとは思いますが」
ハルカが魔物を警戒しつつ答える。
「じゃあ、黒龍が出てきたのも関係があるんですか?」
モンスターパレードでの黒龍の出現を考えエリアスが呟く。
「あの時の黒龍は、たまたま森に住み着いていたのだと思います。ですが、この森のどこかには、さらに強力な龍が封じられていると言われています」
「それは、なかなか興味深いものですね。マスターが聞いたら探したがるかもしれません」
ナビゲーターの反応にうんうんとエリアスも頷いている。
「あまり森の広大さ故に、未だ誰もその封じられた場所を見つけられてないので難しいと思いますがレン殿ならあり得るかもしれませんね」
「その内にレンと探してみたいね、ナビゲーターさん」
「ええ、楽しそうですね」
楽しげな会話が続いていたが、それを邪魔するかのように音がなる。
ドォォォォォン!
遥か前方で炎が上がったのが見えた。
「あれは、魔法ですね!」
「誰か人がいるってことですか?」
ハルカが走り出したためエリアス達もすぐに続く。
「ここまで人が来るなんてことはあり得ないと思いますが、確認しないわけにはいきませんね!」
魔法が発動した場所まで急いで移動した。
「これは、人の生命反応ですね。2人分です、片方は、かなり弱ってます」
ナビゲーターが答える。近くまで来たので探知出来る様になったのだ。
「それは急がないと、ライトニング」
エリアスが魔法を発動して、さらに速度を上げる。
そして、魔法を発動してオークやゴブリンと戦っている人物を捉えるのだった。
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