第237話 遺体と蘇生

 ディザスターを消滅させ、リディエル神聖国の地上にレンは戻ってきた。


 建物もあちこちが崩落していた。


「やったのか?レン」


 アルファードが声をかけてくる。


「はい、完全に消し去りました。魔門も無くなったので、これで戦いは終わりです」


 とレンが言う。


「「「うおおおおぉぉぉぉ!」」」


 と声が上がる。周囲の聖騎士達だ。




「レン・オリガミ殿、感謝する」


 レンに声を掛けてきた人物がいる。それは聖王だった。


「聖王様、怪我が!」


 彼は負傷している。


「かまわん!私よりも、命がけで戦った聖騎士達を優先すべきだ」


 自らの怪我は後回しにしている。


「そうですか」


「この国の全てを代表して、感謝を申し上げたい。リディエル様にも感謝しても仕切れません」


 と一国の王が頭を下げる。


 レンとしては、頭を下げられたことに対してなかなか気まずく感じた。


『大事な子供を守っただけです。それに、失った者も多い……』


 リディエル神の声がする。


 多くの亡くなった者達の遺体が集められていた。当然ながら、レンを守って死んでしまったフェインドラの遺体もある。




 遺体の元へ行き涙を流す者が多い。レンにとって見ているだけで辛いものだった。


『私が留まれるのも後少しの様です。貴方がやりたいことが私にはわかります』


 とリディエル神が言ったため、レンは行動に出る。


 遺体がある場所に近づき、周囲にいる者に下がるように告げる。


「レン殿?一体何を」


 アルキア王子が聞いてくるが、集中するため答えない。



「スキル〈蘇生〉を表示」


 と言うとレンの前に表示された。


『今のマスターなら使用可能ですね』


 ナビゲーターさんの声を聞きながらインストールする。




 インストールが完了し、レンは、遺体の方に向かって手をかざす。


「蘇生発動!」


 レンを中心に、光が溢れて遺体を包み込んでいく。


 一同静まり返った。


 やがて光が収まり……


「私は、一体……」


 フェインドラが起き上がり、周囲の聖騎士達も目を覚ます。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 聖騎士達の喜びの声が上がり、友に声をかけるものや抱きしめる者もいた。



「戦いは終わったのか?」


「はい、ディザスターは消えました。神聖国の災厄は去りました」


 フェインドラの問いにレンは答えるのだった。

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