第235話 リディエル神と神の制御
『貴方の祈り、確かに届きました。ありがとうマルテリア』
天使の翼、白い髪に赤と青の瞳を持った、美しい女性だ。彼女は、神女マルテリアにお礼を言った。
「でも聖騎士長が……間に合わなかった……」
悔しそうに神女が言う。その瞳の先には、身体を貫かれ息絶えたフェインドラがいた。
『ええ、これは私の責任です。これ以上の被害を出さないように戦いを終わらせなければ』
リディエル神が前の方に手をかざすと、白い光が溢れ出す。それは、すぐさま王都に駆け巡り黒い煙を浄化していく。魔門から出てきた悪魔のような魔物達もそれを嫌って空に飛び上がる。
「身体が動く……これなら」
アルファードが立ち上がる。その瞳は激しく燃えていた。
「ギギギギィ……カミ、メザワリ」
ディザスターが声を上げる。
『目障り?それはこちらのセリフです、ディザスター。ここで滅ぼします』
とリディエル神は、宣言する。
『マスター、無理はいけません。暴走します。それに神もいますので、勝機の方が大きい』
剣を構えるレンにナビゲーターがささやく。怒りに任せても仕方がないと言うことだろう。
『いえ、レン・オリガミ。貴方は、貴方の気持ちをディザスターにぶつけなさい』
気がつくといつの間にかリディエル神がレンの隣に立っている。
「全力で良いんだな?」
『ええ、私がサポートしましょう。神の力を持って貴方の力を制御して見せます』
落ち着いた口調でリディエルが告げる。どこか神の言葉は暖かい。
「リディエル神!」
マルテリアが驚きの声を上げる。それは、リディエルが光となってレンに合わさっていったからだ。
「身体が、今までで1番動きそうだ……」
リディエル神が合わさったお陰が、レンは自らの身体が軽くなるのを感じた。ここまでの疲れによる身体の重さも感じなくなった。
「全て消し去るくらいの気持ちで力を解放する……うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
レンからもとてつもない光が溢れていく。
「こりゃ、すげ〜な!とんでもない奴だ」
アルファードが笑う。今、目の前で起きていることはとても信じられる光景ではなかったが、確かに現実だ。
「カミめ……ヨケイなコトを」
とてつもない光を受けディザスターが苛立ちを出す。
「デリート」
一言、直後にディザスターの身体の一部が消失した。
「バカ……なァァア」
「おおおお!」
周囲の聖騎士達も驚きの声を上げる。
光が収まり、そこには……
真っ白く伸びた髪、背中には、リディエル神と同じ翼、強力なオーラを纏ったレンが立っていた。
「レン殿……神のようだ」
アルキア王子がレンの姿を見て言う。
「ここに神託は成った。白き英雄が災厄を討つ!」
レンは、剣をディザスターに突きつけて言うのだった。
「カミめ……」
と言うディザスターに向かってレンが歩を進めると当然のように攻撃が来る。これまで何度も苦しめられた触手の攻撃だ。
「消滅の剣」
だが、レンの剣の前では触手はあっさりと斬られていく。剣が触れた部分から消滅させていると言うのが正しいが、誰からもスパスパと切り捨てているように見える。
「バカな……バカナ。ガァァァア!」
あっさりと触手を切られた怒りか、ディザスターが声を上げる。
『貴方のユニークスキルも強化されています。存分に振るいなさい』
「ああ!」
リディエル神の声にレンが答える。
「さあ行くぞ、ディザスター!インストール」
ユニークスキルを発動するのだった。
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