第159話 説明と嬉しい再会
「戦闘が起こっているのが見えたので来てみましたが、何があったのでしょうか?」
路地に入ってきたハルカが言う。
さすがに上空から弓矢が降ってくるようなことがあればさすがに気づく人も出てくるよなとレンは思うのだった。
「話しても大丈夫ですか?」
レンは、クシフォンとフィーズの方を向いて言う。
「そいつは信用出来る奴なのか?」
と訝しむようにフィーズが言うが、
「大丈夫、信頼出来る人だから」
と言うと頷く。
レンは、ハルカに起こったことを説明するのだった。
「なるほど……そんなことがあったんですね」
とハルカが頷く。説明を終えてとりあえずは納得してもらえたようだ。
「ちょっとした事があって一緒に歩いてたら尾行されてたんで路地に入ったらこんな感じなんですよね」
「レン殿の周りでは色々な出来事があって面白いですね」
クスクスと笑いながらハルカが答える。
「巻き込まれる俺はたまったものじゃないですけどね。ですが、今回のことは王都としてもあまり楽観視出来ることではないんじゃないですか?」
人間の王都に魔族……この世界の状況的には良いとは言えないかもしれない。
「ええ、それはもちろんです。今回のことは国王陛下のお耳に入れておかなければならないでしょうね」
やはり、問題がありそうだなと思う。
「はぁ、スティグマとかが絡んでるとしたらさらに面倒になりそうだ」
とレンは呟く。魔族だけの行動だったからそこまで不安に思う必要もないかもしれないが、スティグマが絡んでいるとややこしくなる。
「何……貴様はスティグマを知っているのか?」
レンの呟きを聞いていたフィーズが言ってくる。
「そりゃあ、何度が戦ってるけど……フィーズも知ってるのか?」
「私のことを気安く呼ぶな。……それでスティグマだったか、知っている。この頃魔族と接触を図る動きを見せているからな」
と教えてくれる。いきなり名前呼びは駄目だったかとレンは思った。
「まさかスティグマも関わっているのか……」
「そうですか、スティグマが魔族に接触を……何か起きるはずですので油断が出来ないですね」
とハルカも頷く。
「嫌な連中なのじゃ。妾はもう会いたくもないのじゃ」
とクシフォンは言っている。嫌味でも言われたのだろうか。
「私としては、魔族である貴方方には出来るだけ目立つことがないように王都を出てもらいたいのが本音です」
ハルカがクシフォンやフィーズに向かって言う。魔族絡みの事件が王都で起こるとすると王国としても良くない。
「確かに妾達がいると迷惑がかかりそうじゃな。とりあえず、ここで失礼するのじゃ!」
とクシフォンが言い歩き出す。その後ろにフィーズが続いて行った。あっさりと帰ってくれるものだなと思いつつレンはそれを見送った。
「さて、それじゃあ俺もこれで!」
そそくさとレンも去ろうとする。
「レン殿、お暇そうですね。良かったら私と遊びに行きませんか?」
とハルカが笑顔で言ってくる。
「いやいや〜、おかまいなく!」
レンは走り出そうとしたが、すでに腕をハルカに掴まれていた。
(えっ!外れないんだけど)
「それじゃあ行きましょうか!」
とハルカが言いレンは引きずられる。
(遊びって書いて戦闘って読むんだろうな……)
とレンは思うのだった。
レンがハルカに連れられて来たのはギルドだった。
「いつもの場所を貸してください」
とハルカが受付嬢と話しているのを見ながらレンはため息を吐く。
ギルドは、武道大会が近いということもあり冒険者が多い。その中で、Sランク冒険者であるハルカや迷宮都市での活躍が広まっているレンには多くの視線が集まっていた。
「あれはレン・オリガミだよな。イージスの50階層を最初に踏破したっていう」
「ああ、それに救国の英雄ハルカもいるぞ。一体どんな関係なんだ?」
など、ざわついている。
「さぁ、行きましょうか!レン殿」
と気にする様子もなくハルカが言ってくるのでそれに続いて進む。
ハルカについて入った場所はレンが知る場所だった。
「ここは試験をやった……」
レンとエリアスがBランクに昇格するために試験を受けた場所だ。特殊な魔法道具によって作られた空間だ。
「はい、この場所であれ目立つこともなく戦えます。先に使っている人がいると言ってましたが知り合いですので大丈夫でしょう」
とハルカが言った。
「知り合い?」
そして、試験を行った場所に先にいた人物が見えた。
「あ!」
綺麗な髪を揺らめかせ、弓を放つ美しいエルフ……レンが初めてこの世界で訪れた場所、辺境フェレンスのギルド長、フィレン・アーミラだ。
「あら?ハルカじゃない。それに……レン!久しぶりね!」
とフェレンは、嬉しそうに声をかけてくるのだった。
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