第124話 対魔法部隊と追撃
黒いローブを集団が並んでおり、不気味さが際立っている。
「一体、何人いるんだ?」
数えるだけ無駄だろう。ぱっと見で数えるのは難しい。よくアニメなんかで偵察する人はぱっと見で5万とか言えるのだろうか。経験の差か?と考える。
「ようやく呼んでもらえましたか、マグノリア様」
フードを被っていない女がマグノリアに声をかける。直属の部下だろうと思われる。
「私1人でも相手が悪いみたいだわ。光明の魔女も来てるし、最悪ね」
「それほどの実力が!」
と部下も驚いている。
「我々の魔法を結集するわ。炎よ!」
「「「炎よ」」」
マグノリアの合図で、スティグマの魔法部隊が魔法を唱えていく。すると上空にかなりの数の炎が集まっていた。
「まさか……この魔力の多さは、魔法部隊?」
怪我をした都市の人々の治療を行いながらレミが呟く。魔人が戻っていったので治療に専念しているのだ。
「なんだあれは!」
「逃げよう!」
都市の人々は、魔法と反対の方向に向かって移動している。
「怪我人が多いから戻れそうにないわ。レン……お願い」
巨大な炎の近くにいるであろう息子に希望を託す。
「まるで太陽だな!かなり暑そうだ」
装備で対応しているため、レンにとっては熱量などは大したことがない。上空に集まる炎を眺めている。
「都市の一部を軽く吹き飛ばす位の威力はあるわよ!火の海に変えましょう」
魔法部隊全員が手を空にかざして魔法を放てるようにしている。なかなか統率の取れた動きだなと思いつつレンも準備をする。
「あのサイズに水魔法で迎え撃つのも危険だよな」
水蒸気爆発を起こされたら、都市の家々が壊れてしまうかもしれない。
『相手が火で来るなら我々も火で迎え撃ちましょう。ただの火ではありませんがね』
ナビゲーターさんが言うのでレンは、一度剣をしまい杖を取り出してMPを集中する。
「食らいなさい!破黒の英雄。これが我らスティグマの力、エターナルファイヤーよ」
スティグマ総員で魔法を放ってくる。
「お前達の魔法を打ち砕く。闇魔法、火魔法……黒炎!」
スティグマの魔法に対抗してレンも魔法を放つ。
ドゴォォォォォォォン!!
2つのエネルギーがぶつかり合い衝撃波で吹き飛ぶ者もいた。
「燃え尽きなさい!破黒の英雄!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
バァァァァァァァァァァァァン!
と強い音をたてて炎が相殺される。人数をものともせずにレンが打ち勝ったのだ。
「まさか、これでも耐えるというのですか?これは、もう勇者とも言える実力……」
マグノリアの部下が驚きの声を上げる。
「化け物ね。この技は、対城用と言っても良いくらいの威力……人に対して使うものでもないのに破られるなんて」
マグノリアもさすがにここまでのことをやって勝てないのは厳し過ぎると感じた。
「実力差はわかっただろう?今すぐに降参してくれ!無駄に戦うな!」
レンは、スティグマに降参を促す。
「そんなことはしないわ。捕まるわけにはいかないのだから」
「撤退の時間を稼ぎます。全員でかかりなさい!」
部下の指示で魔法部隊が動きだす。
「逃すか!炎の剣、黒炎の剣」
剣を2本取り出してレンは、空中に浮き上がりマグノリアを逃さないために追いかける。剣には、火が付与される。
「ファイヤ!」
「アクア!」
「ウインド!」
レン目掛けて多数の魔法が飛んでくる。
『魔法への対処は私にお任せを!マグノリアを追ってください』
「ああ!」
ナビゲーターさんが魔法を打ち破り、レンが妨害してくるスティグマを倒していく。人数が多いため、キリがない。
「あなたは、何としてでも止めます!」
マグノリアの部下が魔法を放ってくる。
「退いてくれ!」
レンがすぐさま剣で迎え撃つが、それを回避される。レンは、相手が空中戦にかなり慣れているように感じた。
「スティグマに仇なすものは、許しません。それにあなたも消耗しているはず!ここで相討ちになってでも倒してしまいます」
と言いレンに向かって真っ直ぐに突っ込んでくる。特に秘策があるわけでもないようなただの攻撃にレンは、手を前にかざして一言発する。
「フリーズ」
空中で1人、マグノリアの部下は時間が止まったかのように停止した。
レンはそのまま、通り過ぎてマグノリアのいる方に向かっていく。
だが、正面の方でマグノリアは、転移の準備を完了していた。
「まさか、私が逃げることになるなんてね。シャンを馬鹿に出来ないわ……また会いましょう、破黒の英雄!次は勝たせてもらうわ」
と言い転移しようとしている。
この距離じやフリーズでも届かない。せめてもう少し、ダメージをあたえられたと思う。
『僕が力を少し貸すよ。多少なら使えるだけの強さが付いてきているからね』
突然、声が割り込んできた。
「覚悟しなさい。スティグマを敵に回したことを」
と言ったマグノリアにレンはスキルを使う。レンの髪は、真っ白に染まっていた。
「デリート!」
レンの声が響くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます