第117話 同時発動と圧倒
『初めまして、私はマスターレン・オリガミのスキル、ナビゲーターです』
金髪の美しい女性が優雅なお辞儀をする。そこには見惚れてしまう魅力があった。
「「「ええええ!」」」
エリアス、ルティアとミラの3人が驚く。これまで存在自体はレンから聞いていたが、まさか実際に会うことになるとは思っていなかった。
『まずは、ボスを倒すとしましょうか。いきますよ!』
と言った瞬間にナビゲーター(レン)の周りに複数の魔法が発動する。
火、水、氷、光、闇の魔法がナビゲーターの周りを浮いているのだ。
「同時発動!ここまでの数を!」
ミラが驚きの声をあげる。同じことをミラもしようとしたことがある。だが技量不足で出来なかったので驚いているのだ。
『ミラ、あなたはいずれ賢者に至ります。これぐらいは出来るようになってくださいね』
と微笑みながら言う。なかなか厳しい人だとミラは思った。
「そのうち、絶対にやってみせるから!」
『その調子です。それにしても初陣でいきなりの強敵ですね』
『ふふっ、そうだろう?まさか、レン君が私の鎖を突破するなんて思わなかったけど、別の人格にでも入れ替わったのかな?』
イージスは、面白そうに言っている。
『勝手に解釈してください。ぱぱっと倒しましょうか。フラッシュ!』
みんなには、何か光ったというような感覚だった。
ガシャン……と音をたてて魔物の小手を装備した腕が地面に落ちる。包丁で切った野菜のように腕が綺麗に切断されているのだ。
「グモォ?グオォォォオ!」
突然のことに魔物も驚き吠える。
『少し外しましたかね?まあ最初はこんなものですか』
「今のは、レーザー光線みたいなもの?強すぎるでしょ……」
ミラは絶句していた。自分の魔法で手応えがなかった相手の腕をあっさりと切り落としたのだ。
「グガァァァァァァァァァ!」
魔物が剣を持ちナビゲーター目掛けて突っ込んでくる。距離が遠いと不利だと判断したのだ。
「まずい、レンさん!」
アイリが守るために前に出ようとする。だが、ナビゲーターは、優しくアイリの頭を撫でる。
『大丈夫ですよ。でもありがとう、守ろうとしてくれたんですね』
と言いながらアイリを撫でているのとは反対の手を魔物に向けてスキルを発動する。
『フリーズ』
その瞬間、魔物はピタリと動かなくなる。時間が止まっているかのように……
「止めた……凄い!」
エリアスが息を飲む。
「反則でしょ、こんなの!」
「レンの……そしてそのスキルの凄さを実感するわね」
ミラとルティアをただ驚くことしかできない。
『これで終わりにしましょうか。マジックバレット』
ナビゲーターの周りに浮いていた魔法が弾丸のように魔物を貫いて穴だらけにしていく。そして停止させられた魔物が力尽きたため消滅していくのだった。
『いやはや、ここまで私の作った魔物があっさりとやられるなんて思わなかったな……だか、おめでとう!これで君たちが最初の50階層の攻略者だ!』
「どうにかなるものね」
ルティアが地面に座り込みながら言う。生命魔法を使ってかなり疲れたようだ。
『これで大丈夫でしょうね。皆さん、また会いましょう。それでは、アカウントチェンジ』
ナビゲーターが言った瞬間に、姿が元のレンに戻る。
「ありがとう、ナビゲーターさん。攻略も成功したし」
『さーてと、早速だがユニークスキルを与えようか。今回、みんな活躍したがやはり1番輝いていたのはレン・オリガミ君、君だろうな』
レンを指差しながらイージスが言う。
「ほとんど、ナビゲーターさんのおかげだけどね」
『私もマスターと一心同体ですので、良いのですよ』
なかなか嬉しい反応が返ってくる。
『それじゃあ、君にユニークスキルを授けよう。すでに最強に近いようだからね。このまま世界最強を目指して欲しいものだなぁ。ちょっと負荷がかかるけど我慢してね!』
イージスがレン達と同じ大きさまで縮んで、レンの頭に手を乗せる。
「ああ……くっぁぁあぁぁ……」
「大丈夫なの?」
『ユニークスキルを与えると言うのも楽に出来ることじゃないからね。ちなみにユニークスキルは、何が出るかわからない。使いこなすことを祈るよ』
エリアスの心配している声が聞こえる。だがイージスが説明してくれる。
そしてイージスが手を頭から話すとアナウンスが流れる。
『ユニークスキル、プログラミングを入手しました』
「これは、なかなか面白そうな奴がきたな!」
早速ユニークスキルに興味を惹かれる。
『試してみたいだろうけど、待ってくれよ?これから君達の勇姿を外に伝えるとしよう』
と言った瞬間に迷宮都市が映し出される。
迷宮都市の人々は、驚いていた。突然空に映像が映し出されたからだ。
『初めまして、迷宮都市の諸君!私は、迷宮イージスの支配者、イージスだ。今回君達に伝えたいことがあってこうやって出てきたのさ』
「あれが迷宮の支配者!」
「まじかよ」
「あんな魔法見たことないからな……本物なんだろうな!」
都市の人々は、揃って驚いている。
『知らせたいことっていうのが、たった今50階層が攻略されたということだ!それもたった5人でだ!彼らの実力はこのイージスが保証する。これからの時代を担う英雄に祝福を!』
と締めくくる。
おおおおおおおおおおおお!
都市の人々が50階層攻略に沸く。完全にお祝いムードだ。
『レン・オリガミ君、君が最終階層100まで登ってくる日を楽しみにしているよ。私も強い敵を用意して待ってるからね』
とイージスが手を差し出す。
「ああ、いつかこの迷宮を完全攻略してみせるさ!」
と言いレンはイージスの手を握る。
そこで都市に映っていた映像が終わる。
レン達の様子は迷宮内にも映されていた。
「やったわね、レン。あなたなら出来るってわかってたわ」
レミが微笑むのだった。
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