ダンジョン③


 ローズとサラと親しくなれたのはパーティー的には良い事だろう。ただ気が緩んでしまうのはよろしくない。

 サラのマッピングと警戒のお陰で罠にもかかることもなく順調に進んで来られた。


 10階のボスフロアに着いた。通常のダンジョンはフロアボスが10階毎になるそうだ。実習と同様に、手前の部屋で休んでから挑もう。


「なぁ旦那、休憩ならアレやってくれよ」

「休憩だからな、『ポーションミスト』」

「きもちいいニャ~」

「うごきたくなくなってくるぜ~」


 二人とも撫でられた猫の様にリラックスモードだ。まぁ猫獣人だしな。試しに少し撫でてみた。


「だめニャ、ネロにはすこしはやいニャ、もうすこししたらおねえさんがおしえてあげるニャ」

 お前は何を言っているんだ、何の話だ。


 とりあえず休憩時間だからしっかりと休まねば。猫達はほっとこう。

 ポーションミスト内に大きめにウォータークッションを敷いて横になる。ポーション作成もミストへの変換もほぼ無意識で出来るようになっている。

 寝てしまっても問題ないかも‥‥‥ZZZ


ーーーーーーーーーーーー


と、本当に寝てしまった、猫達も寝ている。起こさなきゃ。揺さぶる。


「そこはだめニャ、ネロ。かんじちゃうニャ」

「だんな~、そっちのあなじゃないよ?」

 二人とも何の夢を見ているんだ。全く!


「起きろ!!」

「「ニャ!」」



「安全地帯とはいえ寛ぎ過ぎじゃないか?」

「ネロのアレが悪いニャ」

「おっ! じゃ、あちしが独占だな。旦那、ローズにはもうやらないでいいぜ」

「そんな事言ってないニャ!」

 大騒ぎだ、収拾がつかない。


「もう、行くぞ」

「待ってニャ」

「旦那~」


 さて今日はボスを倒せたら帰ろうか。10階毎にいるボスを倒せれば次回はそこから入場出来るらしい。よし、じゃあボスに挑もうか。


 念のために杖とマントも装備しよう、ボスだからな。ローズもサラも経験があるらしいが、ここのボスはキマイラらしい。

 顔が三つ、獅子と鷲と狼だ。身体は象、尻尾は蛇、翼まで有る。そんな混ぜこぜ面白動物がボスらしい。


 扉を半開きにしてオプション投入、視覚を共有するとまぁよく見える。経験者の二人に聞いてみる、また戦ってみたいか? と。

 即、否定された。出来たらもう関わりたくない、でもネロが挑もうとしているから、とそこまで聞いて。


「ローズ、サラ、任せとけ。俺がやる。何かあればフォローしてくれ」


 二つのオプションから一方的に砲撃、ウォーターバレット、レーザーを乱発する。とりあえず当たれば効くだろう。オプションはノーダメージ、俺が消そうと思わなければ消えることもない。

 つまり現状は安全地帯からの一方的な攻撃、キマイラからすれば攻撃してくる丸い玉に反撃しても何も起こらない。ひたすら攻撃されるだけ。

 完全に閉まっていない扉の先の存在に気付いて反撃出来れば、この状況は改善出来たのであろうが。


 反応が無くなったので扉を全開放して入って確認する、まだキマイラはかろうじて生きていた。デカイ、怖い。三つの頭の眉間を撃ち抜く。キマイラの巨体がキラキラ消滅して大きめの魔石が残る。

「よし、倒したぞ」

「いや、ウチら何もしてないニャ」

「あちき達、半開きの扉のところにいただけじゃんか」


「いや、魔法に集中出来たのはローズ、サラ、二人のお陰だよ」

「なんかよくわからニャいけど」

「旦那がそう言うならいいか」

 二人は納得してくれた。


「じゃ、今日はこれで帰ろう。時間も遅いし」


 ボス部屋の後方の転移陣に乗り、ダンジョン前に戻った。


「じゃ、解散だな。ローズまたよろしく頼む、サラ、また良かったら組んでくれ。じゃあな」

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