研究室


「どれ、じゃあネロ君、君の出来ることを確認させてくれ」

「はい、出来るのは水の発生と消滅、水の浄化、水の操作、水の抽出、水温水圧の調整、水の分解ですね」


「‥‥‥、さすがは神級だな。そこまで色々とは普通は出来まい。聞き慣れない言葉もあったが、とりあえず一通り見せてくれるか?」

「はい、とりあえずこれが生成と操作です」


 手をかざし手の前に水の塊が浮く。

「浮いてるぞ?」

「操作してます、してないとバシャッと落ちます。タライとか水瓶とか有りますか?」


「よし、持ってこよう」

 学院長が水瓶を持って来た。そこにバシャッと落ちる。


「操作しないと、こう落ちます。ここで生成だけだとこう出ます」

 ジョーっと水を注ぐように出る。


「魔力の入れ方でこう調節出来ます」

 チョロチョロと出す。


「これが水生成です、出した水は消せます」

 水瓶の水を消す。


「次は浄化ですね、外のドブに行きましょう」

「わかった、こっちだ」


「ドブの上でこう手をかざして‥‥‥」

 汚い水が綺麗な水になる。

「すごいな、清流の様だ」


「水操作はこう、ここの水でも生成した水でも使えます」

 綺麗にした水を動かす。棒状にして動かす、触手だ。

「見事なものだ、こんな事誰にも出来まいて」

 

「水温水圧は触ってみて下さい」

 学院長が触手を手で握る。温度を少しずつ上げていく。

「冷たかったのが温まっているのがわかる」

水圧を上げると触手が固くなってくる。

水圧を掛けたホースが固く感じる様なものだな。

「圧が高くなるから固くなる訳だな。固体という訳ではないが」


「更にこんな事も」

 触手の先から水がビュッと出る。見ようによっては卑猥だ。

「高圧の水を飛ばす事で攻撃も出来そうだな」

 はい、もうそれやってます。


「超高圧にすると鉄も切れますよ」

「な‥‥なんと」

 知らなかったのかな、そこまでの技術はこっちの世界にはないか。


「そして水の分解なんですが」

「待て、それがわからない。水を分解する?」

「そうですね、これは見た目ではわからないので理論の説明をしますね。研究室に戻りましょう」


「じゃあ学院長、説明を始めます」

「あ、研究室ではマチルダと呼んでくれ」

「じゃマチルダ先生で」


 原子と分子の話をする。まるで前世の化学の講義の様だ。

「するとこの水も服も私も全て小さい粒で出来ているということか?」

「そうです、こう言った話を聞いた事は?」

「こんな事誰も知らないぞ‼︎ 大発見だろう‼︎」

 味噌とか醤油とか米とかあるので誰か転移転生先輩がいるらしい、水神様も言ってたし。だからこう言った話も伝わっているかと思ったが。


「では実践しましょう。ごく少量なので室内で大丈夫でしょう」

 ごく少量の水を生成、それを水素と酸素に分ける。そこに目に見えない大きさの氷二つを互いにぶつける。

「ポン‼︎」

静電気が発生して水素と酸素の反応、水素爆発だ。


「いや~、実に充実した時間だった。君と話していると実に楽しい」

「それは良かったです」


「今後も来てくれるな?」

「はい、バイトなんで」


「そうだった、コレが今日の謝礼だ」

 重い、大金だ。開けてみたら10000Cだ。

「多くないですか? もらい過ぎの様な‥‥‥」


「大発見だったからな、他の人には話すなよ」

 他の人は理解出来ないんじゃないかな?

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