第147話 街を探索


「シャルロッテあのお店に行ってみましょう」

「はい!」


 私達は今、カチャ街を探索している。アイザック様とジーニアス様は色々と調べる事があるからと、夕方まで忙しいらしいのでシャルロッテと二人で街をうろうろしているのだ。

 もちろん、探索しながら街の様子も調べる事が出来たらな、等と考えていたんだけど、この時の自分に一言いってやりたい。「女の子友達との街の探索は最高に楽しいよ」と。

 こんなにも楽しいなんて私は知らなかった。


 これはもう楽しむしかない。


「次は美味しい甘味のお店に行かない? 少しだけお腹が空いちゃった」

「ふふふ、ソフィア様。私もです。カチャ街はオレンの実の産地でオレンの実を使った甘味が有名らしいですよ」

「オレンの実!」


 オレンは夏みかんの様な味で、甘いのにサッパリ食べられるから、暑くなると特に食べたくなるのよね。


「わぁ! それは楽しみだわ。早速探しましょう」


 大きな商店街の通りを甘味店が無いか確認しながら歩いていると……女性が沢山集まり賑わっているお店を見つける。

 凄い人気ね。なんのお店なのかしら?


「ねぇシャルロッテ、あのお店が少し気になるから、甘味店の前に寄り道してもいい?」


「はい勿論です。人が沢山集まっていますね、女性ばかりですか?」


「みたいね。何のお店か楽しみだわ」


 店内に入ると、煌びやかなアクセサリーが、美しい什器の上に並べられていた。私達が入店すると、何故か少しお店がザワついたんだけど……何故かしら? 目立つ服装はしてない筈なんだけどな。

 などと不思議に思いながら、並べられているアクセサリー類を見ていると、全て市場価格の半値で販売されている。


「わぁ! 綺麗なのにこんなに安い」


 こんな値段で販売して利益があるのかしら……? アクセサリーに付いているこの宝石は本物?


ピコン!

【鑑定】


イミテーションジュエリー

宝石もどきの贋作。

価値は宝石の十分の一程。



「えっ!?」


 これって偽物じゃない?! 

 んん? このお店は、イミテーションジュエリーのお店なのかしら。


「ふふふ。どれも綺麗ですねぇ。これなんかは、ソフィア様の瞳と同じ紫色の宝石がついていて美しいです」


 シャルロッテが宝石を手に取り、うっとりと見ている。

 シャルロッテもイミテーションに対して疑問に思って無いみたいだし……今はこんなお店が流行ってるのね。


 この時私は、シャルロッテが平民で宝石などの価格に疎い事などを、マルっと忘れていた。後でその事を後悔する事になるなんて、この時は全く思いもよらなかった。





★★★



 シャルロッテと店内を見て回っていたら、後ろから不意に声をかけられる。


「こんにちはレディ。私はこのお店のオーナーで、ガンサと申します」


 振り返ると、恰幅のいい姿に口髭を生やした男性が立っていた。


「こんにちは」


「もし宜しければ、奥に特別な宝石があるので見ていかれませんか?」


 特別な宝石? 本物は奥にあるって事かしら、でももう十分堪能したし良いかな?


「ありがとうございます。ですが、また今度で」


 そう言って会釈をし立ち去ろうとしたら。


「是非ご覧になって頂きたいんです。うちにしかない宝石もありますし……あっそうだ。オレンのケーキをお出ししますので食べながらご覧頂くというのは?」


「えっ?」


 その話を聞いて、シャルロッテと目を合わせる。見て分かるくらいに少し行きたそうにうずうずしているのが分かる。

 シャルロッテったら、ケーキが食べたいのね。

 オレンの甘味を食べに行く予定だったしね。いいか。


「じゃあ少し見せて頂けますか?」


「ありがとうございます! どうぞこちらへ」


 店主に案内され奥の部屋に入ると、中はイミテーションジュエリーを並べてある店内よりも広かった。調度品も豪華に見える。


 シャルロッテと二人、部屋の豪華さにキョロキョロしていると。


「さきにこちらを召し上がって下さい」


 店主がオレンのケーキを持ってきてくれた。スポンジの上にこれでもかと溢れんばかりのオレンの実が乗っていた。


「「わぁ!」」


 思わず感嘆の声が漏れる。


「美味しそうね」

「はい!」


 ケーキを口に入れると、オレンの甘い味が口の中に広がる。


「わぁ美味しい」

「はい。本当に」


 私達がケーキの味にうっとりしていると、店主が宝石を奥から持って来た。


「ケーキがお口にあって良かったです。これが我が店の最高級品です」


 そういって机に宝石を並べていく。

 あれ? 店内で見たイミテーションジュエリーと同じに見えるんだけど? 輝きは確かに増してる様にも思う……あれ? 

 気になり鑑定で見たら、これはやっぱりイミテーションジュエリーだった。


「あの……これって本物?」

「何を言いますやら、我がお店の商品は全て本物のジュエリーですよ! それをお安く提供しているんです」


「えっ? だっ……」


 だって偽物だと言おうとしたら……言葉がでない。瞼が急に重くなって来た。

 なんで?!……どうしよう私はとんでもない事に巻き込まれたんじゃ……重たい瞼を必死に開きシャルロッテを見ると、すでにソファに倒れていた。この後直ぐに私も意識を失った。

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